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「型の理論」入門 (4) 論理的推論(1)-- 判断と論理式を公開しました

【「型の理論」入門 (4)  論理的推論(1)-- 判断と論理式を公開しました 】 https://youtu.be/1QnJRWLgOvI?list=PLQIrJ0f9gMcPC8_eEnysTwZm14VRaQWCT スライドのpdf資料は、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/1hTC2avZPGWTz4I-uoeliENEBmrW8BEkN/view?usp=sharing 今回の「型の理論入門(4)」から、「論理的推論」のトピックを二回に分けて紹介します。 ここで取り上げるのは、ゲンツェンの Natural Deductionというシステムです。(正確にいうと、30年代半ばのゲンツェンの仕事を、60年代にプラヴィッツが整理したものの、かつ、その命題論理版です) 20世紀に入ってすぐ、ゲンツェンに先立って、ラッセルやヒルベルトが論理的推論の公理化に取り組んでいたのですが、それらのシステムは、必ずしもわかりやすいものではありませんでした。ゲンツェンのシステムは、それらと比して直観的で自然なものでした。このシステムを「自然な演繹」システムと呼んだのには、そうした背景があります。 今回のコンテンツには、「論理的推論」というテーマから少し離れているように感じられるかもしれませんが、重要な論点が含まれています。 それは、「判断」と「命題」の区別という論点です。そうした議論は、数理論理学というより哲学的議論に近いものですが、この議論を展開したのが、「型の理論」の最大の貢献者の一人である、マーティン・レフでした。90年代のことです。 ある命題がある命題を論理的に含意することの基礎に、ある判断からある判断が論理的に導出されるという構造があるという指摘です。 今回は、こうした立場で整理された「命題の構成ルール」を紹介します。ほとんど、自明に思われるかもしれません。しかし、こうしたステップが、論理的推論の前提だと思って見て貰えばいいと思います。 次回、論理的演繹のルールを紹介します。 今回の動画とスライドは、次のページからアクセス出来ます。 https://www.marulabo.net/docs/type-theory-talkie/ ページのリニューアル、少しずつですが進んでいます。

「認識の理論」関連ページのまとめを作りました

【「認識の理論」関連のポインター・ページを作りました 】 MaruLaboサイトの構造を見やすくするために、関聯したページのポインター・ページを作っています。 今日は、こちら。 https://www.marulabo.net/marulabo-philosophy/ ページを独立したコンテンツにする作業を続けているのですが、YouTubeのコンテンツの説明も、セミナー紹介になっていることに気づきました。YouTubeの方も、できるところから、セミナーから切り離した説明に変えようとしています。 あっちもこっちもで、もぐらたたきのようで、消耗して、肝心のポインター・ページはスケルトンのままです。また手を入れます。ごめんなさい。

「量子通信入門 -- 量子ゲートで学ぶエンタングルメント」をリニューアルしました

【「量子通信入門 -- 量子ゲートで学ぶエンタングルメント」をリニューアルしました 】 2020年の8月のマルゼミの資料として、「量子通信入門 -- 量子テレポーテーションと entanglement swapping」の名前で公開されていたページを、「量子通信入門 -- 量子ゲートで学ぶエンタングルメント」として、かつ、単独のコンテンツとして利用できるようにリニューアルしました 。ご利用ください。 https://www.marulabo.net/docs/teleportation-2 / YouTube版の再生リストはこちらになります。 https://youtu.be/Jn_mKsz9pfk?list=PLQIrJ0f9gMcMbRmR1e02VskbnDz7_NNrS 次の9つのショートムービーから構成されています。  ● Bell State を生成するBell State Gate (1)  ● Bell State を生成するBell State Gate (2) 計算練習編  ● Bell State を計測するBell Measure Gate (1)  ● Bell State を計測するBell Measure Gate (2) 計算練習編  ● Bell State GateとBell Measure Gate  ● 量子回路上での量子状態の「交換」  ● Superdense Coding  ● Entanglement Swapping  ● 量子テレポーテーション 今月、「量子ゲートで学ぶエンタングルメント」というセミナーを開催しようと思っていたのですが、このテーマは以前のこのコンテンツで十分だと判断しました。今月開催予定だったセミナーは中止します。 何回でも再利用可能な内容なのですが、それぞれのビデオの冒頭に「8月のマルゼミの資料です」といったアナウンスが入っているのが、耳障りです。ご容赦ください。 何故、今、MaruLaboサイトのリニューアルに取り組んでいるかについては、前にものべましたが、サイトがが毎月のセミナーの資料置き場になっていて、全体の見通しも悪いし、各ページも独立したコンテンツのかたちになっていないことを改善したいというのが大きな理由です。 今回のビデオを再利用しようとして感じた「今月のセミナーの資料です」という、今

「型の理論」入門 -- 型付きラムダ計算

【「型の理論」入門 (3)  -- 型付きラムダ計算 を公開しました 】 https://youtu.be/0b2pHO6RuQQ?list=PLQIrJ0f9gMcPC8_eEnysTwZm14VRaQWCT スライドのpdf資料は、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/1hdqE-UCP6hInkntEIgsuvJt0qbfNEwxw/view?usp=sharing 前回の「型のないラムダ計算」では、主に、ラムダ表記を使った「関数の抽象化(abstraction)」と、ラムダ式同士の、変数への代入を引き起こす、「適用(application)」についてみてきました。 今回は、いよいよ、ラムダ式が型を持つ「型付きラムダ計算」の紹介です。 基本的には、型σから型τへの関数は、型 σ → τ を持つと考えます。また、あるラムダ式 e が型 τ を持つことを、e : τ と表します。 この、矢印 → を含んだ型の表現は、関数型言語を知っている人には見慣れたものだと思います。ただ、気がついていない人もおられると思いますが、重要なことは、関数型言語でのこうした型表記は、すべて、チャーチの「型付きラムダ計算」が起源だということです。 以前に行ったセミナー「論理学入門 II — ラムダ計算と関数型言語」 https://www.marulabo.net/docs/logic2/ では、この型付きラムダ計算というアイデアが、現代の関数型言語  ・LISP  ・Haskell  ・OCaml  ・Coq に、どう受け継がれているかを、各言語ごとに詳しく見ています。こちらの資料も、あわせてご利用ください。 「論理学入門 I — 命題論理の演繹ルール」 https://www.marulabo.net/docs/logic1/ は、命題論理の演繹ルールを解説したものです。 「型の理論入門」も、次回の「型の理論入門(4)」から、「論理的推論」のトピックを取り上げます。次回以降は、この「論理学入門 I 」も参照ください。  動画とスライドは、次のページからアクセス出来ます。 https://www.marulabo.net/docs/type-theory-talkie/ ページのリニューアル、少しずつですが進んでいます。

「量子論と量子コンピュータ関連ページ」を作成しました

【「量子論と量子コンピュータ関連ページ」を作成しました】 MaruLabo ウェブサイトの改善作業を続けています。 「量子論と量子コンピュータ関連ページ」を作成しました。 https://www.marulabo.net/marulabo-quantum/ ご利用ください。 次の4つのセクションから構成されています。  ● 量子論の基礎を学ぶ  ● 量子コンピュータ入門  ● 量子アルゴリズムを学ぶ  ● 量子情報 このポインター・ページが参照しているページのリニューアル・独立コンテンツ化は、これからです。 手始めに、ページ「量子コンピュータの現在 — 量子優越性のマイルストーンの達成 」を、独立のコンテンツ化してみました。ご利用ください。 https://www.marulabo.net/docs/q-supremacy/ ページ「ケット |k> で理解する量子の世界」も、少し手を入れました。 https://www.marulabo.net/docs/ket-talk/ ここでの「ケットのレシピ」が、僕は気に入っていたことを思い出しました。ご参照ください。

12月の丸山の活動について

【  12月の丸山の活動について 】 現在、丸山は、MaruLaboページのリニューアルに取り組んでいます。 これまでのMaruLaboページは、毎月告知して開催してきたマルレク・マルゼミの内容に興味を持った人に向けられたものでした。ページは、「今月のマルレク・マルゼミ」というコンテキストの中で、その時々のセミナーの資料を公開する場でした。 ただ、こうしたコンテキストを離れて、以前のセミナー告知の際には興味がなかった人や、初めてMaruLaboサイトを訪問した人が、これまでのMaruLaboのページを見ると、背景説明もなく過去のセミナーのはだかの資料が置かれているだけの無愛想なページに見えたと思います。 MaruLaboページのリニューアルの目標のひとつは、それぞれのMaruLaboページを、セミナーとは独立した、それ自体完結したコンテンツとして、アクセスしたユーザー誰にとっても、読んでもらいやすいようにすることです。 もうひとつ改善したいことがあります。 MaruLaboのセミナーは、毎月様々な異なるテーマで開催されてきました。それ自体は、悪いことではないと思います。ただ、それらの資料ページでMaruLaboのサイトは構成されているのですが、サイトのトップページの印象は、あれもあればこれもあるといった、乱雑なものに見えていたと思います。 MaruLaboは、どのようなテーマに主要に関心を持っているのか、また、あるページと関連するページがどこにあるかは、すぐにはわかりません。内容が難しいページもあれば初心者を念頭に書かれたページもあります。 リニューアルの目標として、これまでのようにセミナーごとに資料を置くだけでなく、それらを横断する構造を示すことができればと考えています。 現在、「エントロピー」「エンタングルメント」「計算科学と計算複雑性」といったMaruLaboの主要な関心に関連するページのポインター・ページを作り始めています。(実は、「量子論と量子コンピュータ」というテーマの関連ページのまとめは、ページの数が一番多くて、まだ手がついていません。ごめんなさい。) MaruLaboのリニューアルには、さらにもうひとつ課題があります。 現在のMaruLaboのもっとも活発なユーザーは、YouTube経由でMaruLaboのコンテンツにアクセスする20代の若者です。た

「たとえ話で理解する量子の世界 」ページを更新しました

 【 初めて量子論・量子コンピュータを学ぼうという人に 】 MaruLaboの量子論・量子コンピュータ関連の講座で、もっとも入り口の講座である、「たとえ話で理解する量子の世界 」ページを、全面的に更新しました。 https://www.marulabo.net/docs/quantum-talk-new/ 初めて量子論・量子コンピュータを学ぼうという人に知ってもらいたいことを、数学抜きでまとめたものです。  量子論については、「0 であると同時に 1 でもある不思議な状態」とか、「観測すると状態が変わる奇妙な観測」というように、その「不思議さ」「奇妙さ」を強調した、初心者向けの解説をときおり見かけるのですが、ここでは、そうしたことは私たちがよく知っている日常の中でもあることだということを「たとえ話」で説明しています。 量子論の「奇妙さ」「不思議さ」で足が止まった人もいらっしゃると思います。そうした経験がある人は、是非、お読みください。 確かに、量子の世界は不思議なもので、それを理解するのには「数学」の手助けが必要なのは事実です。ただ、「不思議」からいきなり「数学」にジャンプするのも、不親切な話です。そのスキマを、少しでも埋められたらと考えています。 その取り組みの一環で、次のページを作成しました。今回の「たとえ話で理解する量子の世界 」をお読みになった方は、このページへお進みください。  「量子の状態をベクトルで表現する — 量子論の三つの原理」 https://www.marulabo.net/docs/q-youtube/#Lesson_0「量子の状態をベクトルで表現する_-_量子論の三つの原理」 このページは、先日作成した「YouTubeで学ぶ量子論の基礎」の先頭に追加したものです。 https://www.marulabo.net/docs/q-youtube/ こちらもご利用ください。 現在、MaruLaboのページの見直しを進めています。まだ、量子論関連のページのリニューアルとまとめページの作成はできていないのですが、年末頑張ろうと思っています。お待ちください。

意味を考える1 -- ペンローズの「皇帝の新しい心」

ペンローズの「皇帝の新しい心」(1989年)の冒頭には、お母さんがコンピュータ科学者、お父さんがコンピュータを破壊しようという、今でいう「テロリスト」を両親に持つ子供が登場する。これって「銀河鉄道999」のメーテルの家庭環境と同じだ。 舞台は、国をあげて開発した、その国の全ての人間のニューロンの数より多い10の17乗個の論理ユニットを持ち、その知能は想像もつかないほど高いと言われている、巨大コンピュータUltronicの火入れとお披露目の場。 その子は、お母さんが有力な開発者だったので、お母さんと一緒にセレモニーの前から三列目にいる。(お父さんは、爆発物が見つかって拘束されている)。司会者が、「誰か、Ultronicに、最初の質問をしてみませんか?」と会場に声をかける。みな、自分の無知を晒されるのがいやと思ったのか、誰も手を上げない。 その子は、Ultronicの開発と一緒に育ったようなものだったので、「彼」が何を感じているのか自分のことのようにわかるように思っているので、臆せず手を挙げる。司会者が彼を指名する。 その時、何かが起きる。 約400ページほど省略すると、あれ、これってネタバレ? でもネタバレしないと話が進まないな。まあ、いい。会場で起きたことについては、次のポストで書く。 それは、コンピュータによる「意味」の理解に関連した、とても面白い寓話だ。 (ちなみに、ペンローズの次の本「心の影」の冒頭にも寓話が掲げられているのだが、それは、プラトンの「洞窟の喩え」を寓話にしたものだ。彼は、数理哲学的には、プラトン流の「実在論者」なのだ。) ペンローズのこの本は、30年前のものだけど、人工知能論としては、頭三つぐらい飛び抜けている。サールらの「強いAI」論の批判などは、痛快なものだ。 僕は、人工知能論では、「計算主義」の立場に立つのだが、この本は、全力で「計算主義」を批判している。ペンローズの「計算主義」批判は、避けて通れない問題だ。 ある意味皮肉な話だが、個人的には、この本が出た頃、哲学では飯が食えなくて、僕は哲学からITの世界に転進する。この本が扱っている問題は、当時の僕の哲学的関心には、とても身近な話題だったのだが、ITの問題としては僕は真面目に考えてはいなかったと思う。それは、僕の視野の狭さのせいだと思う。 ITの世界に30年いて、最近は、人工知能がある意

9/4 マルレク「量子情報とエントロピー」講演ビデオ公開

【 9/4 マルレク「量子情報とエントロピー」講演ビデオ公開 】 9月4日に開催したマルレク「量子情報とエントロピー」の講演ビデオ公開しました。 解説資料、講演資料、講演ビデオは、次のページからアクセスできます。ご利用ください。 https://www.marulabo.net/docs/info-entropy3/ 【 なぜ、「エントロピー」が重要なのか 】 20世紀は、科学・技術が飛躍的に発展した時代でした。特筆すべきは、20世紀前半の量子論・相対論の成立を画期とした科学的自然認識の拡大と、20世紀後半のコンピュータ・通信技術の成立・発展による、技術的情報世界の拡大です。 自然科学が対象とする「物質の世界」と、IT技術が対象にする「情報の世界」は、異なる世界のように見えます。ただ、21世紀の科学・技術は、この二つの世界の交差するところで発展するだろうと、丸山は考えています。 物質の世界と情報の世界という二つの世界を結びつける、重要な概念が「エントロピー」です 【 なぜ、「量子情報」なのか 】 今回のセミナーで伝えたかったことの一つは、「量子の世界」に飛び込んだ時、「物質の世界」と「情報の世界」のつながりが、より一層明確に見え始めるということです。 こうした現象は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて、科学・技術の非常に広い分野で確認できることです。 このセミナーの第一部では、20世紀の後半に明らかになった情報の世界は物質の世界とが 密接に繋がっていることを示す次のようなエピソード達を紹介しようと思います。  ・エントロピーの再発見    1950年代 -- シャノンの情報理論    ・なぜ、コンピュータは電力を消費し、熱くなるのか    1960年代 -- ランダウアーの原理    ・エントロピー概念の三つ目の起源    1970年代 -- エントロピーとコルモゴロフ複雑性との接点  ・情報過程は物質過程である    1980年代 -- Church-Turing-Deutsch Principle 【 講演ビデオの構成 】 講演ビデオは、次の4つの動画から構成されています。  ● Part 0 「物質の世界」と「情報の世界」 https://youtu.be/xNxVeNTd_Qs?list=PLQIrJ0f9gMcOujPfbCOKdbM1t

Veovodsky の「最後」の論文

<< 4年前のFacebookへの投稿です >> 2ヶ月前に亡くなった数学者のヴォヴォドスキーが、「最後に」、どんなことに興味を持っていたのか調べ始める。 いったん、「晩年のヴォヴォドスキー」と書きかけたのだが、事故やその他の理由で突然死した人に(彼は動脈瘤が破裂して51歳でなくなるのだが)「晩年」というのは、あまり馴染まないなと気になって「最後に」に書き換えた。 ただ、「最後に」は、短い時間しか指し示さない。最後の論文は、最後の一つの論文だ。それに対して、「晩年」には、時間的な幅がある。いくつかの論文を対象にできる。「晩年」でもいいのかな?  「晩年」には、年齢制限もあるのかも。若くして亡くなった尾崎豊やエイミー・ワインハウスには、「晩年」は、似合わない。(突然死だから?) でも、子規は30代で亡くなっているのに、「晩年」といってもおかしくない気がするのはなぜだろう?(ずっと、病床にあったから?) どうでもいいことで本題から外れたが、ヴォヴォドスキーが最後に取り組んでいたのは、"C-System"という対象のように見える。 "C-System"の'C'は、Contextual Categoryの'C'で、Contextのことだと思っていい。わかりやすい説明は、ここにある。 https://ncatlab.org/nlab/show/context 平たく言えば(そう解釈できるという意味でしかないのだが)、コンテキストの意味論の形式化をやっているのだ。 僕は、現在の人工知能技術が、言語の意味理解と数学的推論能力という二つの点で人間の壁を乗り越えられていないと感じているのだが、それは、「シンボル」レベルの抽象を持たない、べったりした「コネクショニズム」還元論というディープラーニングの方法論自体の限界だと考えている。 グロタンディック=ローヴェール=ヴォヴォドスキーという、現代数学の、いわば、極めて抽象的なレベルでの探求が、こうした人工知能技術の具体的な課題と結びつくかもしれないと考えるのは、とても楽しいことだ。 少し、「意味の意味」、あるいは、その数学的把握である「意味の形式的理論」と言われるものを、紹介したいと思う。 ---------------------------

「型の理論入門」ページのリニューアルを行っています

【「型の理論入門」ページのリニューアルを行っています 】 現在、MaruLabo のページのリニューアルを行っています。 その一環として、以前公開した動画には音声が入っていないサイレントなものがあるのですが、そうした動画に音声での解説を入れ始めました。 今回、最初に選んだのは「型の理論入門」のページです。 「型があるウログラム言語」と「型のないプログラム言語」があることを、多くのプログラマーは知っていると思います。また、その「どちらがいいか」という「論争」があることも知っていると思います。自分が、日常的にどの言語を使うかは、自分で決めればいいことだと思います。 ただ、「計算」と「プログラム」の本質的な特徴を知るには、「型の理論」が不可欠だと丸山は考えています。 今回公開したのは、チャーチの「型のないラムダ計算」の前半部分です。 https://youtu.be/s-HrEz8a4B4?list=PLQIrJ0f9gMcPC8_eEnysTwZm14VRaQWCT 今回の話は、けっして難しいものではありません。 これを入口として、多くのプログラマーが「型の理論」を知ることを期待しています。 まとめページは、「型の理論入門 (トーキー版)」 https://www.marulabo.net/docs/type-theory-talkie/ です。まだ、トーキー版完成していません。 少しお待ちください。

11/30 平原ゼミ第四回 講演ビデオ公開しました

【 11/30 平原ゼミ第四回 講演ビデオ公開しました 】 11/30 平原ゼミ「Coq スタートアップセミナー 」第四回「VsCoqのセットアップ」講演ビデオ公開しました。ご利用ください。 https://youtu.be/jFmOMsGMUXc?list=PLTCzV3aLjJ1QyzxQPF5LPS2VERiiHTn4g 講演資料は、次のページからアクセスできます。 https://www.marulabo.net/docs/coq-startup4/ これまでの平原ゼミ「Coq スタートアップセミナー 」は、こちらからアクセスできます。  ● 第一回「Coq環境の紹介」 https://www.marulabo.net/docs/coq-startup/  ● 第二回「CoqIDEのセットアップ」 https://www.marulabo.net/docs/coq-startup2/  ● 第三回 「jsCoqのセットアップ」 https://www.marulabo.net/docs/coq-startup3/  ● 第四回 「VsCoqのセットアップ」 https://www.marulabo.net/docs/coq-startup2/

「エンタングルする自然」講演ビデオ公開

【「エンタングルする自然」講演ビデオ公開 】 MaruLaboが行った有料セミナーの講演ビデオは、順次、全編無料公開することにしているのですが、3月の「エンタングルする自然」の講演ビデオは一部しか公開されておらず、4月の「エンタングルする認識」の講演ビデオは、公開されていませんでした。 12月に「エンタングルメント」についての基礎的なセミナーを予定しているのですが、その準備を始めようとして気づきました。 3月のセミナー「エンタングルする自然」の講演ビデオ、全編公開しました。 「エンタングルする自然 / エンタングルする認識   I 」のページ https://www.marulabo.net/docs/science-entanglement/ から、アクセスできます。ご利用ください。 12月の「エンタングルメント」セミナーの背景知識として役に立つと思います。 ここに収録されているのは、次の四本のビデオです。( Part I は公開済みでした )  ● Part 1  エンタングルメントの発見 — 「逆理」から「原理」へ https://youtu.be/YdL8ARu0W7k?list=PLQIrJ0f9gMcOzHD2qVN9n1xb6d-Eq-Ep5  ● Part II  20世紀の自然科学 https://youtu.be/mPsOHYCqp_E?list=PLQIrJ0f9gMcOzHD2qVN9n1xb6d-Eq-Ep5  ● Part III  量子論と相対論の「対応」の発見 https://youtu.be/9WiSZebzT98?list=PLQIrJ0f9gMcOzHD2qVN9n1xb6d-Eq-Ep5  ● Part IV 「時空」を生み出す「原理」としてのエンタングルメント https://youtu.be/tPOCywrULQ8?list=PLQIrJ0f9gMcOzHD2qVN9n1xb6d-Eq-Ep5 「エンタングルする認識」の講演ビデオも、タイミングをみて公開します。こちらの公開は、いま少しお待ちください。

11/26 マルゼミ・11/27 小又ゼミ、講演資料公開しました

【 11/26 マルゼミ・11/27 小又ゼミ、講演資料公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識」の講演資料公開しました。 次のページの「講演資料 公開」からアクセスできます。ご利用ください。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ セミナーへのお申し込みは、次のページからお願いします。 https://philosophy02.peatix.com/ お申し込み、お待ちしています。

MaruLabo 「計算科学と複雑性」関連ページを作成しました

【 MaruLabo 「計算科学と複雑性」関連ページを作成しました】 マルレク、テーマが毎月いろいろ変わるので、全体として何を伝えたいのかわかりにくかったかもしれません。 マルレク+MaruLaboは、「技術と科学の未来講座」を目指しています。未来の若者(基本的には「未来のIT技術者」を念頭に置いています)が学ぶことになるだろうと僕が考えていることを提示しています。 現在、そうしたイメージをわかりやすくするために、関連するトピックスをまとめたページを作成しています。 今回は、この間のMaruLabo での計算科学と複雑性に関連したトピックを取り上げたセミナーのまとめページ「計算科学と複雑性関連ページ」を作成しました。    https://www.marulabo.net/marulabo-complex/ このトピック、ページが多いので「複雑性」と「開発方法論」と「チュートリアル」の三つに分けました。 これで、マルレク+MaruLaboのポインター・ページは三つになりました。  ● 「エントロピー」関連ページ   https://www.marulabo.net/marulabo-entropy/  ● 「エンタングルメント」関連ページ    https://www.marulabo.net/marulabo-entanglement/  ● 「計算科学と複雑性」関連ページ   https://www.marulabo.net/marulabo-complex/ 丸山が、フォーカスしているテーマは主要にこの三つですので、ポインター・ページの作成は、当面、これで終わりです。 このポインター・ページがポイントしているページのコンテンツを、より利用しやすいものにする作業を、現在、進めています。(ごめんなさい。まだ手が回っていません) マルレク+MaruLaboのページを、いつでも、またどのページのどの部分からでも「読める資料」として整備していきたいと思っています。基本的には、ネットのコンテンツで、自分のペースで自分で学ぶという学習スタイルを想定しています。

形式手法 -- 次の30年

昨日Springerで買ったのは「形式手法 -- 次の30年 ( Formal Methods – The Next 30 Years) 」という今年10月に行われた国際学会の論文集だった。 冒頭の招待講演の内容にすこしゲンナリする。 形式手法は安全性を「証明」するだけでなく、安全性を改善するためにも用いなければならないという。まあ、それはいいのだが、学部の一年生から正規表現と有限状態マシンのことをきちんと教えるのがいいという話で話を締めくくっている。 「そこじゃないだろう。エライ人かもしれないが、話はピンボケ。」 生意気な自分の院生時代のことを思い出した。ピンボケと言われるのは、今度は自分の番なのに。 気を取り直して、次の論文「形式手法における人間」を読む。 この論文の主要な関心は、どうやったら仕様を書くことを人に教えられるのかということ。教育の問題に対する目配りは、広い。また、どうしたらそうした層を、子供からリタイアした人にまで、広げられるのかという「形式手法の民主化」という問題意識はいいなと思う。 次の論文は、形式手法で検証済みのマイクロカーネル seL4 を作ったアンドロニックのもの。彼は形式手法の受容の基本的問題を「アカデミックな研究」と「IT業界の実践」のギャップと捉えている。そうした分裂を克服した "One Team"の必要について、seL4開発の経験を交えて語る。それは、突き詰めれば「社会的要因」の問題だとする。 ここまでは良かった。 ただ、この二つの論文以降は、ずーっと、技術的な論文が並ぶ。どこにも「形式手法 -- 次の30年」の話はない。 だまされたみたい。 冷静に考えれば、若手だろうがベテランだろうが、「形式手法 -- 次の30年」なんてテーマの論文を「学会誌」に投稿しても、絶対、受理されるされるわけないんだから。「学会」の「表現」は「不自由」なものだ。 それに、「次の30年」って、長すぎると今気がついた。 僕だって、30年後のITを語ることはない。それは30年後の社会や、100年後の地球環境を語るより多分難しい。僕の視界は、長くて 10年か20年(適当に言っている)。 タイトルに、釣られたんだと悟る。 二つの論文のために、一万数千円はらったことになる。まだ、24時間経っていないので、クーリング・オフできないかな。 ====

コミュニティとしての大学・メディアとしての大学

明日、あるところで頼まれて大学問題で講演する。大学について考えたり語るのは久しぶりだ。いただいたお題は「クラウドサービスを積極活用した 大学の未来像 」というIT寄りのものだったのだが。 講演の準備で、この間、HarvardやStanfordやMIT等の大学サイトを調べていた。 日本と比較して、いろいろと考えさせられることがあった。特に、大学の情報発信の多様さと豊かさ、それを維持する情熱とそれを自発的に支える人の広がりに、息を呑んだ。これらの大学は、優れたコンテンツを持った、巨大なネットワーク・メディアを形成しているのだ。 大学の規模の問題ではない。多分、これらの大学より規模の大きな大学は、日本にはたくさんある。また、おそらく「広報予算」の大小の問題でもない。「広報・宣伝」の組み立て方が、全然違うのだと思う。 今日はちょっと忙しく、詳しいは展開できないので、すこし抽象的になるのだが、要点だけ、まとめてみようと思う。 キーワードは二つある。「コミュニティとしての大学」「メディアとしての大学」である。(「同窓会があります」とか「大学の広報・宣伝に、沢山お金をかけています」というのを念頭において読んでもらうといいのかも。) (当たり前と思うかもしれないが、大学コミュニティの中にも社会は入り込んでいる。学生は、一時的に大学を通過するだけかもしれない。放っておけば、大学コミュニティのまとまる力は存外弱いのだ。) ・社会の中に、 大学という「コミュニティ」がある。 ・社会の中でのこのコミュニティの中心的ミッションは、 「教育と研究」であり、その主人公は学生である。 ・大学コミュニティへの帰属意識は、「我々は、こういうコミュニティなのだ」という自発的なものである。 ・それを維持する上で、大学からの 「情報発信」は、不可欠な役割を果たす。 ・大学は、社会の中で、メディアになり、コンテンツ・ホルダーになる。 ・その不断の情報発信を支えているのは、コミュニティのメンバーの自発性である。 ・メディアとしての大学にとって、大学の内外の区別は、大きな意味を持たない。むしろ、誰もがアクセスできるのは、大きな武器になる。 ・こうした大学のあり方を、Social化・Global化したネットと、IT技術が可能としている。 ================= 2014年11月20日  FBへの投稿

JaynesのMAXENT -- Gibbsの論理の不思議なパワー

 【 JaynesのMAXENT -- Gibbsの論理の不思議なパワー 】 11/26 マルゼミ「認識について2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」の動画と資料です。ご利用ください。 https://youtu.be/IGiPmn8c5IQ?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX 動画のスライドは、 https://drive.google.com/file/d/1_nTAnVhWXotbHA_6CEK40YKgGk189OWb/view?usp=sharing からアクセスできます。 本投稿のもっと詳しい情報は、こちらからアクセス出来ます。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ 現代のBayesian理論の最大の貢献者は、 E.T.Jaynes です。相対エントロピー の重要性を最初に指摘したのも彼です。 このセクションでは、Jaynes  の 「MAXENT = 最大エントロピー原理」を紹介します。 それは、統計理論の枠を超えて、科学の方法論、さらには、認識の理論としも、大きな影響力を持っています。 ここでは、JaynesのMAXENTのアイデアの出発点となった、Gibbsの方法とその不思議なパワーについて述べてみようと思います。 Gibbsの方法は、不思議なパワーを持っています。 たとえば、ある系のエネルギーについて考えてみましょう。 我々は、ある系がどのようなエネルギーをもつかを、観測によって知ることができます。 しかし、それだけでは、明らかに情報が不足していて、その系がどのようなエネルギー分布に従っているかを知ることは出来ません。観測された平均的なエネルギーだけから、系のエネルギー分布を知ることは不可能です。 ところがGibbsは、この不可能を可能にしました! 我々が知っていることは、系の平均的エネルギーが E であるということだけです。系の確率分布をp_iとすると、この条件は式で表すことができます。 もう一つ、我々が知っていることがあります。それは、p_i の和が 1になることです。 ただ、あきらかに、情報が不足していて、この二つの式だけから p_iを求めることは不可能です。 Gibbsは、欠けている情報を、利用できる他の情報で補おうとします。

MaruLabo「エンタングルメント関連ページ」を作成しました

【 MaruLabo「エンタングルメント関連ページ」を作成しました 】 この間の、MaruLabo でのエンタングルメントに関連したトピックを取り上げたセミナーのまとめページ「エンタングルメント関連ページ」を作成しました。ページのリンクだけでなく、それぞれのコンテンツの見出しにもリンクを張りました。ご利用ください。   https://www.marulabo.net/marulabo-entanglement/ 現在、少しずつですが、MaruLabo のホームページの改善を進めています。 これまでのMaruLaboのページは、ビデオのコンテンツを前面に出していたのですが、これからは、まず、pdfの資料にアクセスしやすいページにしようと考えています。 同時に、YouTubeのコンテンツについては、「チャプター機能」を利用して、動画の必要な場所に、すぐジャンプできるようにしていきたいと考えています。 今回、「エンタングルメント」に関連して、細かなリンクとチャプターのタイムスタンプを作成できたのは、次の二つのページだけです。全体については、作業を進めますので、少しお待ちください。  ● 「エンタングルメントで理解する量子の世界 https://www.marulabo.net/docs/entangle-talk/  ● 「密度行列 ρ で理解する量子の世界」 https://www.marulabo.net/docs/rho-talk/ 何年か前に、IT技術者を対象として量子論の基礎と量子ゲートの働きを教えたことがあるのですが、その人たちに次のステップとして、「エンタングルメント」を基礎から解説しようと思っています。もちろん、あたらしい人、歓迎です。

「エントロピー関連ページ」を作成しました

【 MaruLabo「エントロピー関連ページ」を作成しました 】 この間の、MaruLabo でのエントロピーに関連したトピックを取り上げたセミナーのまとめページ「エントロピー関連ページ」を作成しました。ページのリンクだけでなく、それぞれのコンテンツの見出しにもリンクを張りました。ご利用ください。  https://www.marulabo.net/marulabo-entropy/ 現在、少しずつですが、MaruLabo のホームページの改善を進めています。 これまでのMaruLaboのページは、ビデオのコンテンツを前面に出していたのですが、これからは、まず、pdfの資料にアクセスしやすいページにしようと考えています。 先のコンテンツへの細かなリンクの設定も、ビデオを「見てもらう」ページから、資料を「読んでもらう」ページに重点を移すのに役立つと思っています。ビデオを開かなくても、簡単に資料の一部分を確認することができます。 資料のpdf Viewer は、画面にカーソルをおけば、上下に資料のスクロールが可能です。 もちろん、動画の配信は引き続き頑張っていこうと思います。 MaruLaboのページからも、資料のタイトルをクリックすれば、すぐにYouTubeが開きます。 動画中心にアクセスしたい方は、丸山のYouTubeチャンネル "Maruyama  Lectures" https://www.youtube.com/c/MaruyamaLectures の方が便利かもしれません。こちらへのチャンネル登録、よろしくお願いします。 ======================= 先の「エントロピー関連ページ」は、次のページたちへのポインターになっています。 是非、資料として、ご利用ください。  ● 「情報とエントロピー入門」 https://www.marulabo.net/docs/info-entropy/  ● 「情報とエントロピー」 https://www.marulabo.net/docs/info-entropy2/  ● 「量子情報とエントロピー」 https://www.marulabo.net/docs/info-entropy3/  ●  「量子、情報、物理 — 量子情報と物理学入門 」https://www.marulabo.

Deep Learning と相対エントロピー

【 Deep Learning と相対エントロピー 】 11/26 マルゼミ「認識について2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」の資料です。ご利用ください。 ページの構成変えました。下のリンクに飛べば、pdfのviewerに着地しますので、そのままでスライドの資料が読めます。viewerのタイトルをクリックすれば、YouTube 動画をみることができます。お試しください。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/#Deep_Learning_%E3%81%A8%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%94%E3%83%BC 本投稿のもっと詳しい情報は、こちらです。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ ====================== 11/26 マルゼミへのお申し込みは、次のページからお願いします。 https://philosophy02.peatix.com ====================== 【 「学習」のBayesian的解釈 】 前回見た「認識の発展」解釈とは逆に、もしも、最初から正しい分布q を、何らかの方法で我々が知っていて、実験 𝑝(𝑡)を繰り返すのなら、 H(𝑞||𝑝(𝑡)) は、実測値𝑝(𝑡)から、正しい答えq に至るために「学習しなければいけない情報量」を表すことになります。 q は、「常に正しい」と仮定しているので、それは時間には依存しません。qは、tを含まないことに注意してください。 ここでは、 H(𝑞||𝑝(𝑡))=0 は、「もはや、学習すべき情報が残されていない」ことを意味して、その状態で、学習は終わります。 【 クロス・エントロピー 】 ディープラーニングでコスト関数として利用される「クロス・エントロピー」は、こうした「相対エントロピー」の一種です。 「正しい」分布をq、実測値を pとしたとき、クロス・エントロピー 𝐻_𝑐𝑟𝑜𝑠𝑠 (𝑞, 𝑝)は、次の式で定義されます。   𝐻_𝑐𝑟𝑜𝑠𝑠 (q, p)  = ∑  q_i  log ⁡p_i   シャノン・エントロピー H

グロタンディーク七周忌

【 グロタンディーク七周忌 】 7年前の今日、グロタンディークが亡くなった。 日本風に言えば、今日が七周忌だ。 もっとも、そんなこと覚えていたわけではない。 Facebookの「過去のこの日」「思い出」というページに、7年前の僕の短い投稿が残っていた。 ---------------------------------------- グロタンディークがなくなった。 Toposも、最近のHomotopy Type Theoryも、彼なしには生まれなかったと思う。ただ、それは彼の仕事が及ぼした影響の一部に過ぎない。彼のビジョンは、今もまだ、生きている。 東京から稚内に行こうとしたとき、友人が、SGAをプレゼントしてくれた。 一番嬉しいたむけだった。 冥福を祈る。 ---------------------------------------- Facebookの「過去のこの日」の機能は、素晴らしい。なんせ、自分が忘れたことを覚えてくれているのだから。でも、グロタンディックが亡くなってから、Facebookに彼について投稿したことを思いだした。 Facebookへの投稿は、タイムラインの流れとともに消えていく。改めて、シェアし直したところで、やはり、いっときは何人かの目には止まるだろうが、やはり消えていくだろう。悪いことに、自分だって何を書いたのか忘れてしまうこともある。すこし、虚しいと思う。 いくつかのFacebookへの投稿を、自分のblogに再収録しようかなと思っている。 グロタンディック 追悼投稿 「無言の誓い」   「有名な数学者も間違える」 丸山 blog https://maruyama097.blogspot.com/

有名な数学者も間違える

難しい論文を、ウンウンわかったつもりになって読み進んでいたら、途中で「なんちゃって」とか「うそピョーン」とか書かれていれば、やる気は失せるだろう。 1983年のグロタンディックの仕事 ‘Pursuing Stacks’ は、ある分野(presheaf Topos)のホモトピー論について、非常に多くの問題を論じている。それは、600ページもある。グロタンディックは、数週間にわたって、夜通しタイプライターに向かっていたと思う。 グロタンディックだって、疲れがたまれば間違いを犯す。朝になると、グロタンディックは、前夜に行った証明・説明の誤りに気づく。ただ、彼は、前夜の間違いを草稿から消そうとせず、それはそのままにして、訂正された証明・説明を朝には草稿に付け加えて、仕事を続けたのだ。 グロタンディックのこの草稿を、どのような形で世に出すべきかで、ローヴェールとグロタンディックで意見の違いが起きてしまう。ローヴェールは、良心的な編者としては、間違った部分は削除し、それについては編者のコメントをつけて出すべきだと言ったのだが、グロタンディックは、草稿の間違いをそのまま残すことに固執した。 その理由が面白い。 「そうすれば、学生たちに、有名な数学者でさえ間違いを犯すということを学ばせるいい機会を提供することになる。」 ローヴェールは反対する。学生に提供すべきは、そんなことではなく、この本をちゃんと学生たちに読んでもらう機会を作ること。科学的な対象は、それでなくとも学ぶのが難しいのに、罰ゲームみたいな回り道を学生にさせる必要はないと、譲らない。 両者の議論は平行線で(そういえば、二人とも頑固そう)、結局、ローヴェールが編者になって、グロタンディックの‘Pursuing Stacks’ を出版するという世紀のプロジェクトは幻に終わった。 (僕が、そうした試みがあったことに、ようやく気づいたのは、今年の夏だった。もっとも、2013年のローヴェールの発言 "FAREWELL TO AURELIO" http://www.acsu.buffalo.edu/~wlawvere/FarewellAurelio.htm   まで、そのことを知っていた人は、ほとんどいなかったはずだ。) ただ、無茶振りをしているかに見える、グロタンディックの「数学者も間違える」ものだという認識は

無言の誓い

グロタンディックに頼まれたカルボーニは、自分のアルファ・ロメオにローヴェールを乗せ、南仏の田舎のラベンダー畑の中のグロタンディックのボロ家に、彼を連れて行った。1989年のことだ。 2013年にカルボーニが亡くなった時、ローヴェールは、追悼文の中で、今まで知られてなかった事実を、初めて明かしている。 この時、グロタンディックはローヴェールに、自分が書きためた "Pursuing Stacks" の草稿の編集と出版を引き受けてもらおうとしていたというのだ。僕はローヴェールの「おっかけ」だったので、この「人選」は妥当なものだと思う。 (IT業界でたとえれば、ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブスが、大事なビジネスの話で密会したようなもの) グロタンディック後期の代表的な論稿 "Pursuing Stacks" は、1983年頃に書かれたものだ。ただ、数学のアカデミーに背を向け田舎に隠棲していたグロタンディックのこの草稿の存在が広く知られるようになったのは、1990年代に入ってからだと思う。それは、草稿のコピーの形で人から人へと回覧された。 ローヴェールとグロタンディックの1989年の話に戻るが、面白いのは、この時、グロタンディックは、宗教的な「無言の誓い」の行の真っ最中で、話すことも数学について語ることも自分に禁じていたらしい。 人に頼みごとをしようとしていて、「無言の誓い」もないものだが、こんなすれ違いが起きるのは、グロタンディックの家には、電話がなかったからだと思う。(ビル・ゲイツが貧乏で、電話を止められていたと思えばいい。) でも、ローヴェールの突然の訪問が、嬉しくないわけはない。グロタンディックは、紙に "Bill !" と書いて、ローヴェールに示したという。 二人が会って数学の話をしないわけはない。数学については語らないというグロタンディックの誓いを、彼は自分で破ることになる。でも、しばらくは、筆談で数学の話をしたらしい。 最初から前途多難だが、まだ、続きがある。それについては、次回に。 ============================= 4年前( 2017年11月19日  )のFBへの投稿から

prior と posterior で認識の発展を記述する

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【 prior と posterior で認識の発展を記述する 】 11/26 マルゼミ「認識について2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」の資料です。ご利用ください。 ページの構成変えました。下のリンクに飛べば、pdfのviewerに着地しますので、そのままでスライドの資料が読めます。viewerのタイトルをクリックすれば、YouTube 動画をみることができます。お試しください。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/#Prior%E3%81%A8Posterior%E3%81%A7%E3%80%8C%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%AE%E7%99%BA%E5%B1%95%E3%80%8D%E3%82%92%E8%A8%98%E8%BF%B0%E3%81%99%E3%82%8B 本投稿のもっと詳しい情報は、こちらです。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ ====================== 11/26 マルゼミへのお申し込みは、次のページからお願いします。 https://philosophy02.peatix.com ====================== 【 相対エントロピーの直観的意味 】 直観的に言えば、相対エントロピー H(q||p) は、あるシステムが確率分布 p に従っているという仮説的認識から出発して(これが ‘Prior’ です)、 その後、そのシステムの「正しい」あるいは「実際」は、確率分布 qに従っていることを学んだ(これが‘Posterior’)時に、得られる情報量です。 【 コイン・トスを例に相対エントロピーを計算する 】  Case 1:例えば、コイントスに使われるコインが、かたよりがなく公正なものだという仮定から出発して、実際に、コインの表がでたとすれば、その相対エントロピーは、log 2 となって、我々は1bitの情報を得たことになります。 Case 2:しかし、コインは常に表が出るという仮説から出発すれば、表が出たとしても、我々の得る情報、すなわち相対エントロピーはゼロになります。 【 PriorとPosteriorで「認識の発展」を記述する 】 認識のある段階で、我々はあるシス

確率的推論での「認識の発展」の議論に入る前に– 前節までのまとめと補足 —

【 確率的推論での「認識の発展」の議論に入る前に– 前節までのまとめと補足 — を公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/LP71tgM-W5g?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1WVW9DXtNxhqKGjxtN_zb6bATvs7paJYG/view?usp=sharing  からアクセスできます。 【 Grzegorczyk と Kripkeのモデルの背景 】 Grzegorczyk と Kripkeのモデルには、共通の背景があります。それは、1963年のJ.P.Cohenの仕事です。 Cohenは、Cantor以来の難問であった「連続体仮説」を、それが集合論ZFから独立であることを示すことによって、否定的に解決します。Hilbertが20世紀の数学が解くべき問題の筆頭に挙げた問題がついに解かれたのです。 Grzegorczyk と Kripkeのモデル構成の試みは、この20世紀の数学史上の大きな出来事を、どのように理解するのかという問題意識と、直接的・間接的に結びついています。 【 Grzegorczyk と Kripkeのモデルと 「直観主義論理」】 Grzegorczyk と Kripkeのモデルは、彼らの論理式の否定の解釈によれば、ともに、「認識の発展」の論理が「直観主義論理」に従うことを主張しています。次の二つの式は、同じことを言っています。 これは、とても興味深いことです。 もちろんCohenのForcing methodも直観主義論理に従います。 【  情報は命題として表現される 】 Grzegorczyk と Kripkeのモデルは、もう一つ大事な共通点があります。それは、両者のモデルにおいて、情報は「命題」という形で表現されていることです。 Grzegorczykの場合は、直接的です。「情報 𝛼がアトミックな論理式𝜙を成り立たせる」のは、𝛼 ⊳ 𝜙 ⟷ 𝜙 ∈ 𝛼 の時です。 Kripkeの場合は、すこし間接的です。 「世界Xで、ある論理式Aを証明する十分な

Stan

Spotifyで歌詞が出るので、エミネムだって歌えるかもしれないと思っていた。彼の新曲 "I walk on water" https://goo.gl/2VxDv5 がランクインしたので、さっそくやって見たが、あえなく敗退。 この曲は、彼にしてはそんなに早口ではない気がするのだが。舌が回らないのもあるのだが、歌詞を読んでも、すんなりとうまく訳せない。(Googleニューラル機械翻訳だってうまくいかないに決まっている) 何度か読んでるうちに(聴いては無理だった)、だんだん、自分のこと、自分の曲作りのことを歌っているのがわかってきたのだが。 ベラスケスやピカソが、絵を描く画家の絵を描いたのと同じだ。 よくわかったのは、ビヨンセが歌うメロディ・ラインの歌詞。  I walk on water  But I ain't no Jesus  I walk on water  But only when it freezes  'Cause I'm only human, just like you  ..... "only when it freezes" という歌詞を見た時、思わず吹き出したのだが、どんな感情でここを歌うのかと思うと、きっと笑うところではない気もする。 でも、聞き取れなかった最後の歌詞 "I wrote 'Stan' " を見て、少し、しびれる。この曲の「ラス・メニーナス」は、Stan だったんだ。 https://goo.gl/TbQFKq 歌を聴くのと、歌詞を読むのは、違うことだ。 ============================= 4年前( 2017年11月15日)のFBへの投稿から

黒板とチョーク

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4年前(   2017年11月13日)のFBへの投稿から ============================= 30年近く、講義・講演はプロジェクターを使って来た。ビジュアルな情報があった方が、聴く方にもわかりやすいと思うし、話す方はデータが再利用できる。 でも、話せば伝わることとビジュアルな表現で伝えた方がいいこととの区別は、どこにあるのだろう?と考えたら、こんな例を思いついた。 図1は、先頃亡くなっらVoevodskyの証明の一部(だと思う) https://goo.gl/3y79Zb から。これを、口でしゃべったら、絶対うまく伝わらない。 (ただ、この例は、すごいのだ。僕は、カテゴリー論をちょっとかじったことがあるので二次元のdiagramなら、少しは追えるのだが、Voevodsky は、三次元で証明組み立てている!) ただ、こうしたdiagramをプロジェクター用に、LaTexで組むのは大変なのだ。(もちろん、根性があればできるし、データは再利用できるのだが) 図2は、Deep LearningのKarpathyが、RNNを使って、Stack Theoryの分厚い教科書を学習させて、数学論文の「モノマネ」をさせたもの。 https://goo.gl/FGtFGS (グロタンディックをおちょくってるのかと思うけど、ま、面白いから許す。) それはさておき、左側は見事に数学論文のマネをしているのだが、右側の上の方を見て欲しい。明らかに、diagramをマネる事に失敗している。ざまあみろだ。 Voevodskyがすごいのは、図1のような証明を、コンピュータにやらせるシステムを作ろうとしていた事。それは、この図を冒頭に掲げた彼の論文 "The Origins and Motivations of Univalent Foundations" https://goo.gl/3y79Zb を読めばわかる。 じゃ、Voevodskyは、論文やプロジェクターではなく、講義をする時には、どうしていたのだろう。 答えは、簡単である。 黒板にチョークで図を書いていたのである。 2011年ごろ、プリンストンの彼の講義のビデオをみて、ディジタル万歳の僕は、ちょっと軽いカルチャーショックを受けた。 でも、黒板とチョークの方が、合理的で効率的なのだ。間違っ

Maria Popova "10 Learnings from 10 Years of Brain Pickings"

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5年前( 2016年11月12日)のFBへの投稿から ============================= Brain Pickingのマリア・パポーバが、「Brain Picking 10年の10の教訓」というのをまとめている。 https://goo.gl/uJAXcV  1. 自分の心を変えるという、愉快ではない贅沢を許しなさい。  2. 名声や地位やお金や承認欲求のためには、何もしないこと。  3. 寛大であれ。  4. 自分の人生の中に、静寂のポケットを作りなさい。  5. 「あなたは何者なの」と問う人がいたら、その人を信じないこと。  6. 現実は、はるかに複雑で、芸術に値する。生産性よりも。  7. 実現に長い時間を要する価値あるものに期待しなさい。  8. あなたの精神を拡大するものを見つけ出しなさい。  9. 理想主義者であることを恐れないこと。  10. 皮肉なものの見方に、ただ抵抗するだけでなく、それと戦いなさい。 Brain Pickingが話題になった頃、サブスクライブしていたのだが、ちゃんと読み始めたのは、少し時間に余裕ができてからだ。僕のいるITの世界とは、ずいぶん違う世界かもしれない。 マリアは、ニューヨークで活動しているが、ブルガリア人だ。まだ、32歳。こうしたヨーロッパの知性をアメリカは受け入れてきた。 僕の好きな数理物理学者のJohn Baezのおじいさんは、メキシコからアメリカに移ってきた。(フォーク歌手のJoan Baezのおじいさんでもある) 今年、女性で初めて数学のフィールド賞をとった、マリアム・ミルザハニは、スタンフォード大にいるが、イラン人だ。 同じく、僕の好きな Scott Aaronsonの昨日のblogは、悲痛なものだった。彼のblogの名前は、彼の父祖が住んでいたヨーロッパのユダヤ人の街から取られている。 https://goo.gl/bLrwMn   I will sadly understand if foreign students and postdocs no longer wish to study in the US, or if foreign researchers no longer wish to enter the US even for conferences and vis

Bayesian inferenceと相対エントロピー 1

【 「Bayesian inferenceと相対エントロピー 1」を公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/OiSjknU_aHc?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1SkdpVjU2CqGB85xDYzrJTSQOVD9sWQCQ/view?usp=sharing  からアクセスできます。 【「相対エントロピー」とは何か? 】 ある確率分布 p(x)が与えられた時、そのエントロピー Sは、シャノンの定義で与えられます。 ただ、どんな確率分布についても、アプリオリに一つのエントロピーが先の公式で天下り的に定まるということに、すこし違和感を持つ人がいるかもしれそもそも、確率分布がアプリオリに与えられるものかは、自明ではありません。 そういう人には、次の「相対的なエントロピー」という考え方の方が、納得が行きやすいと思います。 「エントロピー」は、絶対的な確定したものではなく、事前に知っていたこととの関係で決まる、相対的なものだと考えるのです。 事前に知っていた確率分布をpとし、実際に、観測して得られた新しい確率分布 qとします。 この時、確率分布pに対する確率分布qの「相対エントロピー」 H_rel (q,p)を定義します。 こうした考え方は、Bayesianのものです。 「相対エントロピー」というのは、アプリオリな「シャノンのエントロピー」を、Bayesianの考え方で、相対化したエントロピーと考えることができます。 エントロピー=情報量のこのBayesian的な解釈は、人間の認識で得られる情報量の解釈には、とても向いています。 Prior の pという仮説的な確率の認識は、Posterior のqという確率の認識に「発展」したと考ることができるからです。 11/26 マルゼミのもっと詳しい情報は、こちらです。https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ ====================== 11/26 マルゼミへのお申し込みは、次のページからお

啓蒙時代の暗褐色の星

2年前( 2019年11月10日 )のFBへの投稿から ============================= シェイクスピアの「オセロ」は、将軍オセロが部下イアーゴの奸計にはまって、嫉妬心を爆発させ、無実の妻デズデモーナを自ら手にかけて殺し、自滅する話だ。この戯曲は、17世紀の20年代に初演されている。 「オセロ」の舞台はヴェニスで、将軍オセロはトルコ軍と戦っている。ただ、時代はわからない。当時のヨーロッパで、黒人のオセロが将軍になることが実際にありえたのか、ちょっと引っかかっていた。 この間聴いていた二つのオペラ「エフゲニーー・オネーギン」と「椿姫」の原作をチェックしていて、面白いことに気づいた。何に気づいたかというと、二つのオペラの原作者には、黒人の将軍の血が流れていたのである。 チャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」の原作は、19世紀のロシアの「国民的詩人」プーシキンの同名の韻文小説(1825-1832)だ。 ヴェルディのオペラ「椿姫」の原作は、「三銃士」や「巌窟王」で有名なアレクサンドラ・デュマ(大デュマ)の同名の息子アレクサンドラ・デュマ(小デュマ)の「椿姫」だ。 プーシキンの曽祖父は黒人で、ピュートル一世の時代のロシアで軍人として活躍し少将だった。デュマ(小デュマ)の曽祖母は黒人で、黒人との混血の祖父は、ナポレオンの時代のフランスで、中将にまで昇進する。 プーシキンの曽祖父、アブラム・ペトロヴィチ・ガンニバル(ハンニバルだ!)は、7歳の時、コンスタンチノープルの奴隷市場で売りに出されていた。彼に目をつけたのは、トルストイの曽祖父だったという。ピュートル一世は、彼をフランスに送り、教育を受けさせる。 「パリで、彼は啓蒙時代の象徴ディドロ、モンテスキュー、ヴォルテールと親交を結んだ。ヴォルテールはガンニバルを、『啓蒙時代の暗褐色の星』と呼んだ。」優秀だったのだろう。 プーシキンは、この黒人の曽祖父を非常に誇りにしていた。「1830年に「私の系譜」という短い詩を書いているが、600年に渡る父方の祖先については35行で書いた一方、アブラムだけで20行の詩を捧げている」 (そういえば、先日ビデオで見た、オペラ「エフゲニー・オネーギン」のパリのサロンの場面で、黒人士官が白人女性と一緒に参加していたような気がする。ビデオが手元にないので、確認できない

Kripkeの「可能的世界」 4 -- 認識の特徴を表現するモデル

【 Kripkeの「可能的世界」 4  --「認識の特徴を表現するモデル」 公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/F0OT-wt_21w?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1QmNcUrYTbjz8grIjHshlH0Ij8HRqbq9t/view?usp=sharing  からアクセスできます。 【 認識の特徴を表現するモデル 】 Kripkeのモデルが興味深いのは、このモデルにある性質を持つことを要請することで、認識あるいは論理の、いくつかの特徴を記述・表現することができることです。 これまで述べたことと少し重複するのですが、Kripkeのモデル(G,K,R)の特徴を見ておきましょう。Gは「現在の世界」を表します。KはGを始点とするすべての「可能的世界」たちのツリー構造です。Rは二つの可能的世界を関係づける関係です。 このモデル(G,K,R)で、関係Rは、次のような性質を持ちます。  反射性:HRH 世界Hで我々の持つ情報は,どんなに長い間そこHにとどまっていても、我々がうるすぺての情報であるかも知れません。HRHと考えることが出来ます。  推移性:HRH’で H’RH’’ なら HRH’’ 関係Rの推移性は、直観的に明らかです。 例えば、我々がGからH2に移動し、その後H2からH3に移動したのなら、我々はGからH3に移動したことになります。この時、GRH3 が成り立つことになります。 このモデルに、次の性質を持つことを要請したとします。  「すべてのAに対して𝜙(𝐴,𝐻)=𝑇 で、HRH’ なら𝜙(𝐴,𝐻′)=𝑇である。」  この要請は,もし,我々が,HでAの証明をすでに得ているなら,いかなる後であってもAを証明されたものとみなしてよいことを意味しています。 別の言い方をするなら、この要請は、このモデルでは、「我々は、一度知ったことは忘れない」という特徴、すなわち、知識が「累積性」を持つことを表現しています。 ビデオでは、直観主義論理の解釈が、このモデル(G,K,R)で可

Kripkeの「可能的世界」 3 --「可能的世界」へのジャンプ

【 Kripkeの「可能的世界」 3  --「可能的世界へのジャンプ」 公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/b7NkAWtDGAM?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1QUiHDNy7y5U9IA-VQoCYQZpjVuBNioA8/view?usp=sharing  からアクセスできます。 【 可能的世界へのジャンプ 】 世界間の関係と、それぞれの世界が持つ情報が与えられているとします。この時、世界から世界へ、我々がジャンプした時、何が起きるかをみてみましょう。 G 一我々の現在の世界一では我々はPを情報として持っていたとします。 我々がそれに満足するなら、何も別の世界にジャンプする必要はありません。ジャンプをしないという選択もあり得ます。我々の知るすべてのことによっても,何も新しい情報が我々にもたらされないなら,我々は,いくらでも長いあいだじっとGにとどまるかもしれません。 世界の情報がPだけだというのに我慢できず、思い切って世界Gから可能的世界H2にジャンプしたとします。世界H2 では,Pに加えて新しくQの情報を我々は得ることができました。 世界H2には、可能的世界H3がありました。新しい情報をえようとH2からH3にジャンプしたのですが、そこにある情報はPとQで、H2にあった情報と同じままでした。 残念なことに、この世界では、ジャンプ元のH2に戻ることは許されていません。もうひとつ残念なことは、世界H3には、それ以上ジャンプ可能な世界はありませんでした。G -> H2 -> H3 という経路でジャンプを選択したならば、我々は、この世界H3にとどまるしかありません。 それでは、世界H2は世界H3と同じ世界でしょうか? 確かに、その世界が持つ情報  P, Q に関して言えば、世界H2と世界H3は同じ世界です。 ただ、もし、H2にH3とは異なる可能的世界H4が存在して、H4にジャンプすれば情報 Rが得られるとすると事情は変わります。 なぜなら、世界H2は、今は情報 P, Qしか持

Kripkeの「可能的世界」 2 — 可能的世界と情報

【 「Kripkeの「可能的世界」 2 — 可能的世界と情報」公開しました 】  11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/4sVmXyfZSZI?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1PtCZXDjVA6_i0Eo45Hvy52HqsN65k_Lj/view?usp=sharing  からアクセスできます。 【 可能的世界と情報 】 「可能的世界」のそれぞれの世界は、時間の流れの中で、我々がそこでさまざまな情報を受け取る世界を表現していると考えることができます。 「可能的世界」の枠組みは、基本的には、我々の認識は発展することを表現しています。 「可能的世界」のそれぞれの世界を、区別し特徴づけるものは、それぞれの世界が持つ「情報」なのです。 ある世界を特徴付ける「情報」の表現として、「世界Xで、ある論理式Aを証明する十分な情報が存在する」ということを、次の式で表現してみましょう。   𝜙(𝐴,𝑋) = 𝑇 もしも、こうした情報が欠けている時、   𝜙(𝐴,𝑋) = 𝐹 としましょう。この式は、「世界Xで、論理式Aが偽である」ことを主張しているわけではありません.。「世界Xで、論理式Aが真である十分な情報」が足りないことを意味しているだけです。 𝜙の役割を明確にするために、状況を次のように、少し単純化して説明してみたいと思います。ある論理式Aが、三つのatomic formula P, Q, R から構成されているとします。 𝜙(𝑃,𝐺) = 𝑇  なら、命題Pを証明する十分な情報が、世界Gに存在するということですので、Pは世界Gが持つ情報と考えることができます。この時、世界Gの上に、Pを書き加えます。 𝜙(𝑄,𝐺) = 𝐹  なら、命題Qを証明する十分な情報が、世界Gに存在しないということですので、Qは世界Gが持つ情報とみなすことはできません。この時、世界Gの上に、Qを書き加えることはしません。 こうして、可能的世界たちが、それぞれ、ある情報を持つ表現された図形で与えられた時、可能的

Kripke の「可能的世界」 1

【 Kripke の「可能的世界」1 を公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/mwgSKyUo_l4?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1PL9wFPN2OPHieHUM5YJkwEcN_aRQ8Qfc/view?usp=sharing からアクセスできます。 【 Kripkeの「可能的世界」】 Kripkeは、ある世界から可能な世界を考えます。 現実の現在の世界をGとしましょう。未来に向かう時間の中で、Gから可能な世界が複数あるかもしれません。また、Gから派生した複数存在しうる可能的世界の一つHを考えれば、同様に、Hから可能な世界も複数あるかもしれません。可能的世界の全体は、Gを始点として、時間の中で枝分かれを繰り返す、巨大なツリー構造を形成します。 といった話をするとまるでSFのようですが、このSF的「可能世界」のイメージを、キチンとした数学の理論に落とし込んだのが、Kripkeです。 あろ可能的世界Gとある可能的世界Hが、「Gの可能的世界がHである」という関係で結ばれている時、その関係をG R H と表現しましょう。 Kripkeは、この関係 Rの性質によって、ある図形で表現される複数の世界のあいだの「可能的世界」という関係が変化することに気付きます。 Kripkeは、関係Rの性質に注目することによって、複数の「様相論理」の体系の関係を、見事に整理しました。その時、彼は高校生でした。残念ながら、彼のこの仕事を、今回は紹介できません。 次回は、こうしたKripkeの可能的世界論での「論理的なもの」のモデルの構成法を紹介しようと思います。 ====================== 11/26 マルゼミへのお申し込みは、次のページからお願いします。 https://philosophy02.peatix.com 11/26 マルゼミのまとめページは、こちらです。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ ====================

YouTubeで学ぶ量子論の基礎

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【YouTubeで学ぶ量子論の基礎】 Lesson 1 内積と正規直交基底 ( slide )   Lesson 2 線形演算子と行列 ( slide  ) Lesson 3 観測と射影演算子 ( slide ) Lesson 4 エルミート演算子とユニタリ演算子 ( slide )   Lesson 5 スペクトル分解定理  ( slide ) Lesson 6 観測演算子の一般化 POVM (slide) Lesson 0 量子の状態をベクトルで表現する  ( slide  )

Grzegorczykの「科学の探究」モデル 3 -- Forcing Method --

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Grzegorczykの 「科学の探究」モデル 2 -- 情報の順序関係 --

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【 Grzegorczykの 「科学の探究」モデル 2 -- 情報の順序関係 -- 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/GTxay6owcx4?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1GIL63NkdusDhxDUAGQJFtGMeX_bn7rqB/view?usp=sharing  からアクセスできます。 Grzegorczykは、科学的に得られた情報と科学的な論理との関係を次のように考えます。   ある情報がある論理式の成立を「強制」する こうした考えは、実は、「連続体仮説の独立性」を証明した J.P.Cohenが導入した独創的な「強制法」  Forcing Methodによるものです。 Grzegorczykは、CohenのForcing Method を「科学の探求の論理」として、解釈できることを示そうとしました。 そのためには、少し準備が必要です。 まず、科学の探究𝑅上の情報 𝛼, 𝛽,… に順序 ≻ を定義して(今回はここまでを扱います)、その上で、情報と論理式の「強制関係」を定義します。 科学の探究𝑅上の情報 𝛼, 𝛽,… は、探究が進むにつれ、ツリー上に枝分かれするかもしれません。探究𝑅上の任意の情報 𝛼, 𝛽について、𝛼 ≻ 𝛽 あるいは𝛽 ≻ 𝛼 のどちらかが成り立つとは限りません。こうした順序関係を「半順序」といいます。ただし、ある情報 𝛼 から出発した探究の枝の上の情報 𝛽 は、 𝛽 ≻ 𝛼 で、 𝛼の情報を全て含んでいます。 ====================== 11/26 マルゼミへのお申し込みは、次のページからお願いします。 https://philosophy02.peatix.com 11/26 マルゼミのまとめページは、こちらです。 https://www.marulabo.net/docs/philosophy02/ ======================

Grzegorczykの 「科学の探究」モデル 1

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【 Grzegorczykの 「科学の探究」モデル 公開しました 】 11/26 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」の第二部「認識の発展のモデル」のショートムービーです。ご利用ください。 https://youtu.be/x15hZSj9cgk?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX スライドは、 https://drive.google.com/file/d/1FhU_auiV-x8TpTf3WUAAiwpfT78eR5Zo/view?usp=sharing   からアクセスできます。 Grzegorczykは、「科学的探究」を次のようなものとしてとらえます。 「科学的探求(たとえば,実験的研究)とは,我々の探求の方法によって得られた,新たに確立された諸事実によって,データの集合を継続的に豊富化することに存する。」 我々が得たデータの集合は、我々が持っている「科学的知識」「科学的情報」と考えて構いません。 現時点で我々が持つ科学的情報をαで表すことにします。そのαから予測できるかもしれない複数の仮説を、β1, β2, ... , βnとします。彼は、このβの全体をP(α)で表します。彼は、科学的実験・検証を、P(α)に属するβ達から一つのβを取り出すことだと考えます。 こんな言い方をしています。 「我々は,自然に、可能な解答の集合を提供する。」 情報αの段階での「可能な解答の集合」がP(α)です。その要素β1, β2,, …の中から、 「自然はひとつを選ぶ。」 と。 大事なことは、P(α)に属するβ達は全て、αに含まれている情報を含んでいるということ。要するに、一度、科学的情報として得られた情報は,「科学的探究」のプロセスで、その情報がいかに拡大されても,元の情報はなくなることはないということです。これは、科学情報の「累積性」と言われる性質です。 もっとも、これだけですと、数学的アプローチというより、科学の探究の素朴な記述と大して変わりありません。科学的知識や科学的情報を、命題の集まりとするのも、ナイーブなものです。 彼のアプローチの真価は、拡大する情報の集まりと、数学的・論理的な証明可能性との間に、興味深い関係があることを見出したことにあります。それについては、次回述べることにします。 =======

11/26 マルゼミへのお誘い

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【 11/26 マルゼミへのお誘い 】 11月26日開催 マルゼミ「認識について考える 2 -- 認識の認識 –」へのお誘いです。 https://philosophy02.peatix.com https://youtu.be/VNN6NOzLVXc?list=PLQIrJ0f9gMcPmqWCIYjND28DLB9SwQ_eX 今回のマルゼミは、前回のマルレク「認識について考える」の続編です。 前回は、主要に、自然認識とそれを可能とする条件の変化の歴史を振り返ったのですが、今回は、「認識の認識」という構造に注目しようと思います。認識の対象となるのは、自然ではなく、認識そのものです。 具体的な自然認識を対象とした前回からは、少し飛躍があるのですが、今回のセミナーでは、「認識の認識」を、「認識の形式的・数学的認識」として捉えるというアプローチを取ってみようと思います。認識のいくつかの特徴を、形式的・数学的に把握することが可能であるという立場をとります。 第一に、人間の認識は、変化・発展するのですが、「認識の発展」の数学的モデルが存在します。セミナーでは、そのいくつかを紹介しようと思います。 第二に、「認識の認識」は、「認識の認識の認識の ....」と無限退行するように見えますが、その各ステップで、認識するものと認識されるものの二項が現れます。こうした「認識の二項性」にも、形式的・数学的なモデルが存在します。数学的には、「理論」と「モデル」の関係がそれに当たると僕は考えています。セミナーでは、「モデル論」の初等的な解説をしようと思います。 第三に、認識の二項は、お互いに無関係ではなく、ある種の「同一性」をもっています。セミナーでは、数学的に、「同一性」がどのように扱われるのかを見ていきます。 次のような内容を予定しています。  第一部:認識の形式的理論  第二部:認識の発展のモデル   ・Grzegorczykの「科学の探究」モデル   ・Kripke の「可能的世界」モデル   ・Bayesian inferenceと相対エントロピー  第三部:二項性 -- 理論とモデル   ・Gödelの完全性定理   ・Löwenheim–Skolem の定理   ・Lawvere のFunctor Semantics  第四部:同一性   ・Martin-Löf の Depe

10/23 小又ゼミ、講演ビデオ公開しました

【 10/23 小又ゼミ、講演ビデオ公開しました 】 10/23に開催した、MMM 小又ゼミ「誤り訂正符号の初歩—古典と量子」の第三回「有限体」の講演ビデオ公開しました。 https://youtu.be/fkkyPRPtlp0?list=PLTCzV3aLjJ1Qj7KjfVaj_k32M_qLaeIUA 次のページで、今回のセミナーの講演資料を公開しています。御利用ください。https://www.marulabo.net/docs/komata03/

浅海ゼミ講演動画公開しました

【 浅海ゼミ第三回の講演動画公開しました 】 MMM 浅海ゼミ「クラウドアプリケーションのためのオブジェクト指向分析設計講座 」の第三回「基本モデル」の講演動画を MaruLaboのもう一つの YouTubeチャンネル MaruLabo Micro Media (MMM) で公開しました。 システムの開発方法論に興味を持っている方、是非、ご覧ください。 https://youtu.be/bPeoHCXjDjM?list=PLTCzV3aLjJ1RgHRwwoEGCGpxx9r1dVu62 講演資料のpdf版は、次のページからアクセスできます。ご利用ください。 https://www.marulabo.net/docs/asami03/ 本日は、MMM 小又ゼミ「誤り訂正符号の初歩—古典と量子」の公開セミナーが 21:00から開催されます。こちらにも、是非、ご参加ください。 小又ゼミの講演資料、zoomのアクセスURLは、次のページからアクセスできます。 https://www.marulabo.net/docs/komata03/

記憶能力の外的拡大 -- 世代から世代へ --

【 記憶能力の外的拡大 -- 世代から世代へ -- 】 10/29 マルレクにむけたショートムービー「記憶能力の外的拡大 -- 世代から世代へ -- 」を公開しました。 https://youtu.be/ituJusOy-i4?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas スライドのpdf版には、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/19hIz2RaK_CAYvGzkTfdDvlsIVe81tIwB/view?usp=sharing [ 世代から世代への 遺伝子情報の伝達 ] 生物界で最も基底的な情報システムは、生命現象の固有な部分を構成する、世代から世代への時間の流れに沿った遺伝情報の伝達です。 ウィルスは確かに自分を取り巻く環境を知覚はできません。ましてや,自分の隣にいるウィルスと会話ができるわけもありません。それにもかかわらず,彼らは,自らの複製を無数に作り出すことを通じて,そして,その過程での複製の誤りや突然変異を利用することによって,親から子へ,さらには次の世代へ と,貴重な情報を送り続けています。 こうして,たとえ隣のウィルスとは会話ができなくとも,一方向的ではあるのですが,子孫としてのウィルスヘは情報伝達を行い,自然淘汰によって、全体としては環境の変化を感じとり,環境に適応する能力を持っていると言うことができます。 [ 遺伝子情報によらない、 世代から世代への情報伝達 ] われわれにとって,より興味深いのは,人間において,言語能力等の新たな遺伝的特質の獲得を基礎に,新しい世代間の情報伝達情報蓄積の様式を作り上げることが可能になったということです。 そこで、まず、基本的な役割を果たしたのは、人間の記憶力と言語の能力でした。「口づたえ」で過去のことを若い世代に伝えるのは、普遍的なものです。「口承文芸」は、多くの民族で見られます。 こうした、語り言葉による伝承のスタイルを、大きく変化させたのは、文字の発明とその利用の拡大です。過去のことを伝えるのに、もはや稗田阿礼のような超人的な記憶力は必要は無くなりました。歴史は、文字で書かれればいいのです。 われわれ人間は,DNAを通ずる以外の手段で,歴史上で先行する集団から情報をうけとることができ,かつ,情報を後の世代に伝達しうる

Smellsophy

A. S. Barwich の "Smellosophy" をザッピング。 https://www.amazon.com/Smellosophy-What-Nose-Tells-Mind/dp/0674983696 タイトルは奇妙な造語だが「臭い哲学」とでも訳せばいいのか。副題は「鼻が心に語るもの」。それだけだと、あまり面白そうな本には思えないのだが、とても面白かった。 月末のセミナーに向けて「感覚と情報」というセクションを準備していて、手始めに「五感」(視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚)のそれぞれの解説をwikiで読み始め、いろいろ調べ始めたのだが、そこで出会った本だ。(ちなみに、「五感」の日本語wikiは「昭和の臭い」がする。) 視覚については、昔はディープラーニングに興味があったので、ちょっと調べたことがある。他の「感覚」についても、それの延長だろうと軽く考えていたのだが、少し、違っていた。まあ、感覚器官の働きを、外界についての情報を生成・エンコードするものと考える点では、一致しているのだが。 冒頭、ほとんどの哲学者たちが、感覚の中で臭覚にはほとんど重きを置いていないことが指摘される。 コンディアック:「すべての感覚のうちで、人間の精神の認識にとって、もっとも貢献していないもの。」 カント:「もっとも不快で、かつ、もっとも無くてもいいように思える感覚器官はどれか? 嗅覚である。」 確かに、知覚と身体性を考察したメルロ=ポンティだって、臭覚については触れていない(と思う。記憶にないというのが正確かな。) 「まなざし」から対自・対他を分析したサルトルだって、「視覚」の抽象化・幻想化だ。それらは「20世紀哲学の臭い」がする。 プルーストの「スワンの家の方に」に、マドレーヌの匂いで記憶が呼び起こされるという一節がある。それについては別に述べる。嗅覚の中枢と記憶の中枢はとなりあっている。それとて、嗅覚と記憶の起源は、同じように古いということを意味しているだけなのかもしれない。 彼女が注目しているのは、匂いのセンサーである 「臭い受容体 olfactory receptors (ORs)」は、より広い「Gタンパク質共役受容体  G-protein-coupled receptors (GPCRs)」の一部であることが同定されたことである。 それによって、嗅

感覚と情報 4 -- 計算するニューロン

【 感覚と情報 4 -- 計算するニューロン 】 10/29 マルレクにむけたショートムービー「感覚と情報 4 -- 計算するニューロン」を公開しました。 https://youtu.be/nDcOHVS6opI?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas スライドのpdf版には、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/19C5oj-jjKwn0cwcBs8COa8CmzkzlhsSP/view?usp=sharing ニューロンの働きで重要なことは、それが計算する能力を持っていることです。 ニューロン は、シナプスを通じて受け取った複数の入力から、一つの出力を計算して、その出力をつながっている複数のニューロンに送ります。 出力は「ある」か「ない」かの二種類だけです。ニューロン がの出力が「ある」場合、ニューロンが「発火した」といいます。出力が「ある」か「ない」か、同じことですが、ニューロンが「発火する」か「発火しない」のかが、ニューロンが行う計算では重要です。 このことは、ニューロンが、「発火する」か「発火しない」のか、出力が「ある」か「ない」かといったスタイル、すなわち、1か0かのディジタルなスタイルで信号を処理していることを意味します。 ここでは、ニューロンが行うディジタルな計算の要である、ニューロンが発火する条件を見ていきます。 基本は、ニューロンのすべてのシナプスからの「発火しよう」という意見と「発火やめよう」という意見から、発火するかしないかを多数決で決めていきます。「発火しよう」と主張するシナプスを「興奮性シナプス」、「発火やめよう」と主張するシナプスを「抑制性シナプス」といいます。 ただ、すべてのシナプスが、同じ一票を持っているわけではありません。株主総会での投票権が、持ち株の数に応じて変わるように、あるシナプスは3票の、またあるシナプスは、10票の投票権を持つことがあります。各シナプスが持つ投票権を「重み」といいます。 最後に、発火の賛成票が反対票を一票でも上回れば、発火するわけではありません。ある一定数以上の票差がないと発火は行われません。この票差を「バイアス」といいます。 各シナプスへの入力の有無、各シナプスの持つ重み、ニューロンのバイアス、この三つのタイ

感覚と情報 3 -- ニューロン

 【 感覚と情報 3 -- ニューロン 】 10/29 マルレクにむけたショートムービー「感覚と情報 3 -- ニューロン」を公開しました。 https://youtu.be/gdfM0bsgpag?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas スライドのpdf版には、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/15uIgqfAr8aQM6d6MGbnDb1n2rYUO-apN/view?usp=sharing すべての動物は、神経を持っています。そう、クラゲでさえ。 ただ、ニューロン=神経細棒がどのようにネットワークを形成して、どのように信号を伝えていあっているかは、具体的な動物について、具体的にわかっている訳ではありません。なぜなら、それは極めて複雑だからです。 線虫のC. Eleganceは、そのすべての神経の接続がわかっている唯一の生物だと言われています。302の神経と8,000のシナプスがあるそうです。 人間の脳のニューロンが、どうつながっているのかは、大雑把なことはわかっています。ただ、細かいことはよくわかっていません。サーバーの配線ケーブルを見ても、サーバーの働きが理解できる訳ではないのですが、配線の一本一本が、意味を持っているのは確かです。 ニューロンは、シナプスを介して、他のニューロンと接続しています。 ================================= 楽しい哲学「認識について考える」のまとめページ   https://www.marulabo.net/docs/phylosophy01/ ================================= 1,  情報の時代の始まり  -- 1950年代 https://youtu.be/viP_9_wikbM?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas 2.  情報の時代の新段階  --  21世紀初頭 https://youtu.be/xUKtMUXwESM?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas 3.  感覚と情報 1 - 視覚 https://youtu.be/88zdNCpYQbY?list=PLQIrJ0f9g

感覚と情報 1 -- 視覚

【 感覚と情報 1 -- 視覚 】 10/29 マルレクにむけたショートムービー「感覚と情報 1 -- 視覚」を公開しました。 https://youtu.be/88zdNCpYQbY?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas スライドのpdf版には、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/15fpXS3fA7p937R8nflMQTpmC6su2L6KT/view?usp=sharing 生物の最も高度な知覚の器官は「眼」です。視覚は、今から5億年以上前のカンブリア紀に大きな進化を遂げたといいます。 捕食者として当時の生態系の頂点に立ったアノマカリスは立派な眼を持っていました。視覚に生物学的な(視覚神経的な)共通の基礎があるのは当然のことだと思います。 多くの動物は目を持っているのですが、ゲーリングは、これら全ての目の構造形成に、同一の遺伝子 Pax-6 が関わっていることを発見します。 視覚研究では、60年代から70年代にかけての、Hubel と Wieselの大脳視覚野の研究が、各方面に大きな影響を与えましたた。 ニューラル・ネットワークの最初の研究も、こうした影響のもとで始まりました。デープラーニング・機械学習の最も基本的なモデルは視覚だといっていいと思います。 ================================= 楽しい哲学「認識について考える」のまとめページ  https://www.marulabo.net/docs/phylosophy01/ ================================= 1,  情報の時代の始まり  -- 1950年代 https://youtu.be/viP_9_wikbM?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas 2.  情報の時代の新段階  --  21世紀初頭 https://youtu.be/xUKtMUXwESM?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas 3.  感覚と情報 1 - 視覚 https://youtu.be/88zdNCpYQbY?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJa

情報の時代の新段階 -- 21世紀初頭

【 情報の時代の新段階  --  21世紀初頭 】 10/29 マルレクにむけたショートムービー「情報の時代の新段階  --  21世紀初頭」を公開しました。 https://youtu.be/xUKtMUXwESM?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdDMRcVr1BnJJas スライドのpdf版には、こちらからアクセスできます。 https://drive.google.com/file/d/13zb_ZaX-kIV-L_-CzRyTvFS9jzbOvHHN/view?usp=sharing 21世紀に入って、情報の世界は新しい時代に入ります。 それは、「クラウドとモバイルの時代」と呼んでいいものだと思います。 代表的な出来事あげておきます。  2004年 Google上場  2006年 Amazon EC2, S3   2007年 Apple iPhone  2008年 Microsoft Azure  2008年 Google Android  2012年 Facebook上場  GAFAの時代が始まります。 基本的な変化の方向は、次のようなものです。 ● ハードウェアの高速化・高機能化 IT技術の変化を、もっとも深いところで規定しているのは、半導体の集積度の絶えざる上昇と処理能力の拡大というハードウェアの変化であると僕は考えています。 ● ハードウェアの低価格化とIT技術のコンシューマ化 何よりも、高機能なハードウェアの劇的な価格低下=コモディティ化は、IT技術の普及に大きく寄与し、ITの世界を大きく拡大していきます。 ● コミュニケーションと情報共有の志向の拡大 1950年代の情報の時代の創成期とは、全く異なる状況が生まれました。 しかし、こうした変化は、また、次の大きな変化が予想されることを意味しています。 ================================= 楽しい哲学「認識について考える」のまとめページ  https://www.marulabo.net/docs/phylosophy01/ ================================= 1,  情報の時代の始まり  -- 1950年代 https://youtu.be/viP_9_wikbM?list=PLQIrJ0f9gMcOlromnKjdD