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8/27 マルレク「自然言語とコンピュータ概論」のお知らせ

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次回マルレクは、8月27日 19:00から、富士通さんで開催です。テーマは、「自然言語とコンピュータ概論」です。告知・申し込みページは、来週公開予定です。少し、お待ちください。  --------------------------------------------  「自然言語とコンピュータ概論」 講演概要  -------------------------------------------- 自由に言語を操る人間の能力を機械で実現することは、人工知能研究にとって、大きな目標の一つです。おそらくそれは、人工知能研究の「究極」の目標になるだろうと僕は考えています。他の動物にはない人間の「知能」の核心部分を構成しているのは、人間の言語能力に他ならないと考えているからです。 ここ数年で、この分野では大きな前進がありました。Googleのニューラル機械翻訳やAlexa等の音声インターフェースを備えたパーソナル・アシスタント・システムの登場は、画期的なものです。今回のレクチャーでは、「自然言語とコンピュータ」をテーマに、この分野の取り組みを概観したいと思います。コンピュータによる自然言語処理に興味を持つ人だけではなく、広く人工知能技術の現在の到達点に関心を持つ人にも、有益な情報を提供したいと考えています。ご期待ください。 第一部では、ディープラーニング技術からのこの分野のアプローチを紹介します。ここでの目覚ましい成果は、ディープラーニング技術の機械翻訳への応用です。また、「文章題」で小学生程度の「推論」能力を機械に持たせようという、bAbi(「ベイビー」と読むようです)データセットをめぐるGoogle, Facebookの取り組みについても紹介しようと思います。 第二部では、Amazon Echo, Google Home等の、パーソナル・ボイス・アシスタントの取り組みの現状を紹介します。正確にいうと、この両者は、言語について多少異なるアプローチをとっているのですが、第一部で取り上げるディープラーニングに基づいたアプローチとは、明確に異なる技術に基づいていることには注意が必要です。同時に、両者ともに、 Schema.org   の提供するEntity モデルに依存しています。 第三部では、「文法」

「幸福論」

Googleのラリー・ページが、人間の幸福について、面白いことを言っている。 「私は人間が有り余るほどの時間の中でゆっくりと暮らすべきだと思います。 人々のニーズを満たすために、誰しもが己を捨ててまで忙しく働かなければいけない、という考え方は間違っています。 問題なのは、人々がそういったことを間違いであると認識できていないところにあるんです。また、人間は何もすることがなくなったら幸せじゃなくなってしまうと思っていることも問題です。」 僕は、この考えは正しいと思う。本当にそうなればいいと思う。 ただし、正しいと思うのは「半分」だけかな。 納得できない「半分」は、「誰しもが己を捨ててまで忙しく働かなければいけない」というのは、「間違った」「考え方」のせいではなく、「現実」のせいだと思うから。 「人々がそういったことを間違いであると認識できていない」のも、「認識」の問題ではなく、「現実」に追い立てられているからだと思う。 世界で何番目かの大金持ちに、「ゆっくり暮らすべきだ」と「説教」されてもなと、貧乏人の僕は思う。 サモアに上陸した宣教師の、こんな「説教」のジョークがある。 宣教師: 自分を見てみたまえ! いつも、こんな風に寝そべったままで。君は、無駄に人生を過ごしているだけだ。 サモア人: なんでだね? どうすればいいと思うのかね? 宣教師: いいかね。ここにはどこにでもたくさんのココナツがある。どうしてその果肉を干して売ろうとしないんだ? サモア人: ふーん。なんでわしがそんなことしたいと思わなきゃいけないんだ? 宣教師: たくさんお金が稼げる。稼いだお金で乾燥用の機械も買える。果肉を早く乾燥できれば、もっとお金が入ってくる。 サモア人: ふーん。なんでわしがそんなことしたいと思わなきゃいけないんだ? 宣教師: 金持ちになれるんだよ。島も買える。もっと樹を植えて、商売を拡げることもできる。そうなれば、君は体を動かして働かなくてもよくなる。そうしたことを君の代わりにやってくれる労働者をたくさん雇えばいいんだ。 サモア人: ふーん。なんでわしがそんなことしたいと思わなきゃいけないんだ? 宣教師: いいかね。ココナツの実と島と機械と労働者とお金があれば、仕事をやめて大金持ちになれるんだ。そうなれば、

日程変更のお知らせ

台風の影響で中止した「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習 I」ですが、8/19(日)に日程を変更して開催することになりました。まずは、お知らせまで。 10月のマルレクのテーマに、「量子ディープラーニング」「量子リコメンデーション」等の「量子最適化」のトピックを取り上げようと思っています。その準備を兼ねて、9月には、複数回「基礎演習 I」を開催できればと考えています。 この「紙と鉛筆で学ぶ」のシリーズですが、次のような展開を考えています。  量子情報理論基礎演習 I    「ketのレシピ」  量子情報理論基礎演習 II    「密度行列ρとエンタングルメント」  量子情報理論基礎演習 III   「量子アルゴリズム」  量子情報理論基礎演習 IV   「量子コンピューティングとハミルトニアン」

「彼女は、10代から老成していた。」

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「彼女は、10代から老成していた。」  7月23日は、エイミー・ワインハウスが27歳で亡くなった日だ。先の言葉は、映画「エイミー」で誰かが言っていた言葉。  叶わぬ恋、壊れた恋を歌った歌は、たくさんある。 例えば、エイミー23歳のこの歌。"Love is a losing game" https://goo.gl/iygwJ7 僕は、この歌が好きだ。  同じく23歳のボブ・ディランが作った ""Boots of Spanish Leather" https://goo.gl/KsifyT 僕には、ディランの詩が、「頭でっかち」にみえる。 エイミーに、座布団たくさんあげたくなる。  晩年の42歳のビリー・ホリディーが歌う "Fine and Mellow" https://goo.gl/dKScvD ビリー・ホリディーの歌う世界は、エイミーと通ずるところがあるのだが、若いエイミー、全然負けていない。むしろ、洗練されていて深い。(ビリー・ホリディーのバックバンド、うまい!)  ボブ・ディランは、のちに、こんな歌詞をリフレインする曲を作る。    Ah, but I was so much older then    I'm younger than that now    ただ、あの頃の僕は、まるで老人だった。     今、僕は、あの時より若い。  "My Back Pages" https://goo.gl/72hgna すごいメンバーでこの歌を歌うのを聴くと、能天気に見える。  「彼女は、10代から老成していた。」  それでいいじゃないか。

これから量子情報理論を学ぶ人に

これから量子情報理論を学ぼうとする人に勧めたいテキスト・ビデオ講義をまとめて見た。 サスキンドの量子論入門テキスト。Kindle版は、852円で安い。 --------------------------  QUANTUM MECHANICS The Theoretical Minimum   LEONARD SUSSKIND and ART FRIEDMAN   https://goo.gl/AQHdHw  -------------------------- Susskindのビデオ講座は、ここからたどれる。 https://goo.gl/ZUScUw ここの20番以降の 20-28: Quantum Entanglements part 1 29-36: Quantum Entanglements part 2-3 を見るのがいい。Part Iは、先の本と重なっている。 僕は、「サスキンドから物理習いました」といえるくらい、このビデオ講義には、お世話になった。  --------------------------  Quantum Mechanics and Quantum Computation  Umesh Vazirani   BerkeleyX on edX | CS-191 Aug. 2013    https://goo.gl/5aCUHu     -------------------------- edXでの公開が終了しているが、Youtubeには残っている。 僕の「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習」は、彼の講義のスタイルに影響を受けたものだ。 このビデオ講義の元になったバークレーでの2012年のレクチャー・ノートは、次のページからダウンロードできる。 http://www-inst.eecs.berkeley.edu/~cs191/sp12/   2016年の講義のドラフトは、 https://people.eecs.berkeley.edu/~vazirani/f16quantum.html  にある。 でも、先にビデオ講義を見るのがいい。  --------------------------  Quantum Com

セミナー中止

今日の角川さんでのセミナー  https://lab-kadokawa61.peatix.com/  ですが、東京では、台風の影響による非常に強い雨が予想されるということで、本日の開催は中止して延期することにしました。今後の予定は、後ほどお伝えします。 台風、直撃しないでくれと念じていたのですが、そのせいか、もっと悪いコースに進みそうで、自分勝手を反省しています。 台風の進路にあたっている方、お気をつけください。

人生百年時代と「Ubasute」

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karaoke, bonsai, origami のように、そのまま世界に通じる日本語は少なくない。 ひょんなことで、そのリストに、ubasute(姥捨)も加わっていることをみつけた。 https://en.wikipedia.org/wiki/Ubasute ロシア語のwikiにも載っていた。 https://goo.gl/8FacdG (僕は、ロシア語はできないのだが)このロシア語wikiに、「ウバステの話は、1922年に訪日したアルバート・アインシュタインに強い印象を与えました。」という記述があった。 面白そうなので「姥捨 アインシュタイン」でググってみたら、たくさん出てきた。一部では有名な話だったらしい。 「姥捨て山の話を聞いて、泣いた、アインシュタインの話」 https://goo.gl/cUStfm 「アインシュタインが聞く」  https://goo.gl/YuTctB 日本語wikiによると   https://goo.gl/a3JX5R   (履歴をみたら、アインシュタインのエピソードは、なぜか削除されていた)、姥捨伝説には「難題型」と「枝折り型」の二類型があるという。アインシュタインが感激したというのは、「枝折り型」。  ただ、僕が気に入ったのは、この二つの類型には含まれない、次のような話。ストレートなブラック・ジョークだ。 「年老いた親を捨てに行く際に子供も連れて行くが、担いできたもっこごと親を捨てようとする。すると、子供に「おっ父を捨てるときに使うから、もっこは持って帰ろう」と言われ」たという話。 「人生百年時代」というけど、百歳まで、働けるわけはない。