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数学とAI -- スコット・アーロンソンの絶望

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今年に入ってからの数学とAIの急接近とAIの成功は、「活発な論争」を巻き起こしているだけではありません。それは、少なくない鋭敏な数学者たちに、大きな衝撃を与えています。 それは「絶望」と呼んでいいものです。 「世界史的なマイルストーンが達成されたという話なんか、もうたくさんだ」  Enough with all the world-historic milestones  https://scottaaronson.blog/?p=9979 というblog で、彼はこう語ります。 「とにかく、AIの話ですが。これが文字通り私たちにとって最後の年になるかどうかは分かりません――そうは思えませんが――しかし、私たちがこれまで知ってきたようなスタイルでの数学や理論計算機科学の研究にとっては、間違いなく最後の年になることは明らかです。」 「ところで、ここ数週間、私は何をしていたのでしょうか? 紙面上では、私が参加するのにこれ以上ないほど適任と思われる、こうした世界史的な動きに加わっていたのでしょうか? あるいは、少なくともそれらについて調べることに日々を費やしていたのでしょうか? そうでもありません。こうした事柄に直接取り組む代わりに、私がやっていたことは次の通りです: まず、エプシロン・キャンプで11歳と12歳の子供たちに理論計算機科学を教えていました。ここには、私の9歳の息子も今年も参加者として参加しました。これについては去年の夏にブログに書きました(講義ノートはこちら)。これは私にとって、一年のハイライトとなっています。子供たちは教えるのが楽しくてたまらないほどで、熱意にあふれ、次々と答えを叫んでくれます。目に入るコンピュータはほとんどなく、スマホを使ったりSNSをチェックしたりする時間さえほとんどありません。あるのは紙と鉛筆、ホワイトボード、そして……文字通りの分度器(!)だけ。それに、卓球やテーブルサッカー、キャプチャー・ザ・フラッグといった遊びもあります。 こうした一連の活動は、無知から行われているのではなく、迫り来る津波――つまり、こうしたキャンプで議論されるような「楽しいパズル」のほぼすべてを、AIがすでに人間よりもはるかに上手に解けること、そして、この優秀な子供たちが大人になる頃には、人間主導の数学研究に意味がなくなってしまうかもしれないという事実...

数学とAI -- コンヌの警句

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先のリストには入っていないのですが、同じフィールド・メダリストで僕の好きな数学者の一人アラン・コンヌは、数学とAIについて、次のような警句を発しています。 --------------------------- 数学の仕事には、常に精神的なイメージを頭に置く必要があります。人工知能の助けを得るとき、現在どこにでも存在する巨大な危険は、脳がこの精神的なイメージを作る時間を与えないことの危険です。 実際には、それは時間だけの問題でなく、努力の問題なのです。 つまり、努力なしに結果を得た場合、そして人工知能を信頼した場合、2つの危険があります。 最初の危険は、もちろん、人工知能が間違っている場合で、 これは頻繁に起こります。 しかし、第二の危険はそれよりもはるかに深刻です。第二の危険とは、もはや頭の中のイメージに基づいて推論を行わなくなることです。その結果、人工知能が仕事をこなしてくれるのだから、努力する価値はないと脳が最終的に判断してしまうのです。 こうして非常に微妙な変化が起こり、脳は自らの統制機能を放棄し、人工知能によって認証されていない限り、もはや何事も信じなくなってしまうのです。 --------------------------- この間の数学とAIをめぐる大変動のきっかけの一つになった今年8月の OpenAI の 10-Proofs 論文の 第4番目の問題「A Counterexample to Connes Rigidity」は、少し皮肉なことに、コンヌ予想のAIによる反証にあてられています。 もっとも、コンヌ予想が偽であることは、AIが初めて証明したわけではなく、2020年の Yuan たちの "MIP*=RE" 定理という革命的な発見の系として導かれていました。 Connnes予想が偽であるなら、MIP*=RE 定理でのTsirelson限界の利用のような量子情報論的な性質を使わずとも、純粋に代数的にその反例を構成できるはずだというのが、4番目の論文の基本的な動機になっています。 MIP*=RE 定理の証明の骨組みを構成しているのは、二人のentangleした万能の証明者との対話を通じて、我々は何を知りうるのかという「対話型証明 Interactive Proof 」の手法です。そして、6番目の論文 " Exponent...

数学とAI -- AIの数学での利用についてのフィールド・メダリストの声明

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数学とAIの関係をどうとらえるかは、現代の認識論・科学論でもっともホットで重要な問題です。 フィールド・メダリストが連名で、”A Severe Misalignment of AI in Mathematics”という声明を出しています。 https://mathandai.org/ 数学者の声明では「ライデン宣言」がありましたが、それには僕は部分的に同意できなかったのですが、今回の声明には、基本的に賛成しています。 ヴェイユ予想を解いたPierre Deligneが参加しています。日本では、森重文さんが名前を連ねています。 短いものなので、全文を翻訳しました。興味がある方はお読みください。 --------------------------------------------- 数学におけるAIの深刻な方向性の不一致 --------------------------------------------- ここ数ヶ月で、LLMの数学的能力は劇的に向上し、数学の多くの分野における主要な未解決問題を解けるほどになった。しかし、AI企業がベンチマークとして数学の問題を解こうとする動きは、数学という科学そのものや数学コミュニティにとって有害である。AI企業の目標と数学コミュニティの目標は、深刻な不一致を来している。我々は、これを他の科学的・創造的な専門職、ひいては社会全体に影響を及ぼす、より広範な整合性の問題の一部であると捉えている。 研究数学は、図形、数、自然現象の基本的な構造を理解することを扱う。何世代にもわたり、数学の全体像を把握するための洗練されたアイデア、手法、抽象化、その他のツールの膨大な体系が築き上げられてきた。その一方で、現代の技術や科学は数学的ツールに基づいている。 著名な問題は、しばしばこの数学的風景に対する理解の深化を測るための目印や灯台としての役割を果たしてきた。こうした問題の解決は、新たな洞察や興味深い手法が生まれた確かな証であり、それらはその後、数学者のコミュニティによって、長きにわたる困難な議論、検討、簡略化のプロセスを経て研究されてきた。このプロセスの最終段階では、理想的には、大学院生はもちろん、学部生であっても学習できるような、教科書的な成果の提示が得られることになる。数学的アイデアの中には、その旅をさらに進め、数十年あるいは数世紀を...

Math-Talk with ChatGPT in 2026 Sep

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Math-Talk with ChatGPT in 2026 Sep このテキストは、 Colin McLartyの次のビデオ講義をきっかけとして、ChatGPTと丸山の数学についての対話をまとめたものである。 Colin McLarty — “Nonetheless one should learn the language of topos: Grothendieck...” [2018] の要約 https://www.youtube.com/watch?v=vmcbm5FxRJE (00:03–01:27) 1973年 Buffalo 講義の背景 Grothendieck は1970年代初めに「組織化された数学研究」から離れることを表明していましたが、1973年 Buffalo で topos・代数幾何・代数群 について講義しました。Topos 講義は当初約10時間の予定だったものが大幅に膨らみ、最終的には小グループでの討論を含め 約33時間 に及びます。McLarty は、この録音から Grothendieck 自身が topos をどう考えていたかを再構成します。 (01:27–16:32) Grothendieck にとって「圏論」が始まったのは1955年 1950年代初頭にも tensor product などを universal property で扱っていましたが、Grothendieck 自身は「categories を始めたのは1955年頃」と述べています。McLarty は、その理由を Kansas paper と Tohoku paper に求めます。決定的なのは、対象の内部構造を見るのでなく、 積・極限・完全性など圏そのものの抽象的性質だけから、群・monoid・torsor などを定義する という発想でした。Grothendieck にとってこれこそが本格的な「category theory / general nonsense」だった、と McLarty は論じます。 (17:49–22:49) Tohoku 論文:cohomology を「exactness の公理」から取り出す Tohoku 論文では、具体的な元や section に依存せず、 AB5 category のような exactness 条件だけ で圏を特徴づ...