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10/26 マルレク「カテゴリー論基礎 2」コンテンツ公開の詳細

【 10/26 マルレク「カテゴリー論基礎 2」概要 】 このセミナーは、2024年5月に行った「カテゴリー論基礎」 https://www.marulabo.net/docs/category-theory/ の続編です。 5月のセミナーでは、カテゴリー論の基本的な構成要素である、Category, Functor, Natural Transformation とは何かを概説し、その上で、LimitやCoLimit,という構成を可能にするUniversal Propertyというコンセプトを紹介してきました。 実は、カテゴリー論が誕生したときに、5月のセミナーで紹介したような Category, Functor, Natural Transformation といった基本的な概念は出揃っていました。ただ、その道具箱の中には、Adjointという概念 は含まれてませんでした。カテゴリー論に、Adjointという概念を導入したのは、Daniel Kanの仕事です。 Kanは、Adjointという概念を武器に、「Kan Extension」という枠組みを作り上げ、従来のカテゴリー論の全てを、その枠組みのもとで再構成することに成功します。  このセミナーでは、カテゴリー論における adjoint概念の役割と基本的な性質について解説しています。 【 10/26 マルレク「カテゴリー論基礎 2」講演ビデオと講演資料のURLです 】 セミナーは3つのパートに分かれています。個別にも全体を通してもアクセスできます。 -------------------------- 全体を通して見る --------------------------  ●  「カテゴリー論基礎 2」セミナーの講演ビデオ全体の再生リストのURLです。    全体を通して再生することができます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcNtQXc5hw-mGz_qdZdy2Sf-  ●  講演資料全体を一つのpdfファイルにまとめたものはこちらです。    「カテゴリー論基礎 2」講演資料 https://drive.google.com/file/d/1D59l8MZEkZAx4GBH-W-u0LgZyx9MuI1k...

9/28 マルレク「計算複雑性理論入門」 コンテンツ公開の詳細

【 9/28 マルレク「計算複雑性理論入門」概要 】 今回のセミナーは、前回8月のセミナーと基本的な議論は連続しています。それは、コンピュータとAI技術の次の未来を展望するうえで、人間の二つの基本的能力である「言語能力」と「数学的能力」の「統合」の課題が重要だという議論です。 そうした立場から、前回のセミナー「コンピュータと数学 -- TuringからVoevodskyまで」では、コンピュータにはそもそも「数学的能力」が備わっているのではという問題意識を述べてきました。 そこでは、コンピュータの持つ数学的能力の(再)発見の突破口となった「計算 = 証明 = プログラミング」という認識の成立の場所である「型の理論」を取り上げ、実際にコンピュータによる証明の例を紹介しててきました。 今回のセミナー「計算複雑性理論入門 -- Turingマシンから量子コンピュータまで」では、こうした論点をさらに深める上で、計算科学の代表的な数学理論である「計算複雑性理論」に注目しようと思います。 【 9/28 マルレク「計算複雑性理論入門」講演ビデオと講演資料のURLです 】 セミナーは3つのパートに分かれています。個別にも全体を通してもアクセスできます。 -------------------------- 全体を通して見る --------------------------  ●  「計算複雑性理論入門」セミナーの講演ビデオ全体の再生リストのURLです。    全体を通して再生することができます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcOpIJC2zXYFkMmOORiA15C7  ●  講演資料全体を一つのpdfファイルにまとめたものはこちらです。    「計算複雑性理論入門 」講演資料 https://drive.google.com/file/d/1OwmBSa0kfa1X4jpELlX0p2_6JfYYlNLG/view?usp=sharing --------------------------  パートごとに見る --------------------------  ●  Part 1 計算可能性理論と計算複雑性理論    講演ビデオURL : https://yout...

8/31 マルレク「コンピュータと数学」コンテンツ公開の詳細

【 8/31 マルレク「コンピュータと数学」概要 】 「大規模言語モデル」ベースの現代の生成AI技術は、ネット上の膨大なテキストの集積を学習して、そこから、人間の「言語能力」と呼ばれているものの基本的部分 --「意味の理解」「新しい文の生成」「対話形のコミュニケーション」、「文字として蓄積された情報の活用」等 -- をコンピュータ上で実現することに成功しました。 それは画期的なものです。この連続セミナーは、歴史的な成功をおさめたAI技術の次の未来を展望することを目的としています。 僕がこのセミナーで伝えたいAIの未来についてのメッセージは次のようなものです。 それは、コンピュータには、それ自身で「数学的=論理的能力」を持っているということです。 こうした考えを進めれば、わざわざ、「大規模言語モデル」の上に数学的=論理的能力を構築しようとするのは、コンピュータが本来持つ力を過少に評価しているのであって、それは余計な回り道だということになります。 【 8/31 マルレク「コンピュータと数学」講演ビデオと講演資料のURLです 】 セミナーは3つのパートに分かれています。個別にも全体を通してもアクセスできます。 -------------------------- 全体を通して見る --------------------------  ●  「コンピュータと数学」セミナーの講演ビデオ全体の再生リストのURLです。    全体を通して再生することができます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcPZTGr3N85yw2FFNQTWg-WJ  ●  講演資料全体を一つのpdfファイルにまとめたものはこちらです。    「コンピュータと数学 」講演資料 https://drive.google.com/file/d/1A6_DiD_xnl1zrW0lenzLPxGFxGNdRAQg/view?usp=sharing --------------------------  パートごとに見る --------------------------  ●  Part 1 機械は考えることができるか?    講演ビデオURL : https://youtu.be/paJUnTImD4M?...

7/31 マルレク「コンピュータ上のグラフ理論の進化」コンテンツ公開の詳細

【 7/31 マルレク「コンピュータ上のグラフ理論の進化」概要 】 現在のLLMベースのAIに数学的能力を統合したいというのが僕の大きな問題意識なのですが、まだまだ考えなければいけないことがたくさんあります。二つの能力の統合には、一定の時間が必要だと思います。 ただ、言語のモデルと数学のモデルとが統合されうるのであれば、両者はある共通の特徴を持っているはずです。そうした特徴は、カテゴリー論によって与えられると考えています。 当面、グラフとAgent モデルの二つを糸口にして、そうした共通の特徴を考えることから始めていきたいと思います。 【 7/31 マルレク「コンピュータ上のグラフ理論の進化」講演ビデオと講演資料のURLです 】 セミナーは4つのパートに分かれています。個別にも全体を通してもアクセスできます。 -------------------------- 全体を通して見る --------------------------  ●  「コンピュータ上のグラフ理論の進化」セミナーの講演ビデオ全体の再生リストのURLです。全体を通して再生することができます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcPxLEAjCXf9wYkOvMB0fHzf  ●  講演資料全体を一つのpdfファイルにまとめたものはこちらです。 「コンピュータ上のグラフ理論の進化 」講演資料 https://drive.google.com/file/d/1shyrgEV9aHyYet5MMXi3RtdNFX48pFxb/view?usp=sharing -------------------------- パートごとに見る --------------------------  ●  Part 1  はじめに – 「AIとグラフ」連続セミナーの流れ    講演ビデオURL : https://youtu.be/p5bRaHBnsTI?list=PLQIrJ0f9gMcPxLEAjCXf9wYkOvMB0fHzf    講演資料 pdf : https://drive.google.com/file/d/1wdmxRfH-87-I8FQt_K0zHfgf9FhgbW4M/view?usp=sha...

6/29 マルレク「AIとグラフ」講演ビデオと講演資料 コンテンツ公開の詳細

【 6/29 マルレク「AIとグラフ」の概要 】 今回のセミナーでは、まず最初に、現在のマルチ・モーダルを指向するAI技術には、得意とする領域と不得意とする領域があることを、グラフの問題を通じて考えます。 セミナーの Part 1 「画像とグラフの違いを考える」 は、こうした実験と考察をまとめたものになります。 現在の生成AI技術が、グラフの問題をうまく処理できないだろうことは、AIの世界をいったん離れて、数学的にグラフの認識の問題を考えると、より一層明確になります。 セミナーのPart 2 「グラフの認識の難しさ」は、複雑性理論の観点から、この問題を扱います。 興味深いことは、もし、「万能の人工知能」が誕生したとしても、解けないグラフの問題があるということを数学的に示すことができるということです。こうしたメタレベルの認識は、現時点では、おそらく人間のみが可能なように感じています。 【 6/29 マルレク「AIとグラフ」講演ビデオと講演資料のURLです 】 セミナーは3つのパートに分かれています。個別にも全体を通してもアクセスできます。 -------------------------- 全体を通して見る --------------------------  ●  「AIとグラフ」セミナーの講演ビデオ全体の再生リストのURLです。 全体を通して再生することができます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcNh55bPi6AdHDHkfBmmK7mk ●  講演資料全体を一つのpdfファイルにまとめたものはこちらです。 「AIとグラフ 」講演資料 https://drive.google.com/file/d/1SHyd1ZN268E7ABJQAzS9RlRdzB6SczMk/view?usp=sharing -------------------------- パートごとに見る --------------------------  ●  Part 1  画像とグラフの違いを考える    講演ビデオURL : https://youtu.be/EVm_hiMP4-w?list=PLQIrJ0f9gMcNh55bPi6AdHDHkfBmmK7mk    講演資料 ...

6月のマルレク「AIとグラフ」講演ビデオと講演資料を公開しました

【 6月の マルレク「AIとグラフ」講演ビデオと講演資料を公開しました。 】 MaruLaboでは、定期的に以前行ったセミナーのコンテンツを公開しています。 今回公開したのは、2024年6月29日に開催したマルレク「AIとグラフ」のコンテンツです。 6月の マルレク「AIとグラフ」は、次のような構成をしています。   ⚫️ Part 1 「画像とグラフの違いを考える」   ⚫️ Part 2 「グラフの認識の難しさ」   ⚫️ Part 3 「AIのAgent Model のグラフ表現 以下、それぞれのパートの概要を紹介し、あわせて、事後になりますが、それらについての自分のコメント( * に続く部分)を補足したいと思います。 【 Part 1 「画像とグラフの違いを考える」概要とコメント 】 このパートで扱っているのは、現在のマルチ・モーダルを指向するAI技術には、得意とする領域と不得意とする領域があるという問題です。 GPT4oのDall.E を用いたテキストからの画像生成能力は、素晴らしいものです。また、画像としてのグラフの認識は、時々、ハルシネーションを起こしますが、グラフのノードとエッジのラベルを理解し、グラフの隣接行列を構成できるほど高度です。 ただ、グラフの画像の出力に、Dall.Eは向いていません。出力されたグラフの画像は、彼が理解しているグラフの特徴を反映していないし、あるいは、反映させることができないように見えます。 *「画像」という同じ言葉で括られていても、我々が直接的に「見る世界」に存在する視覚に与えられる情報に基本的には還元される一般的な画像(写真や絵画のような)と、グラフの画像のように視覚情報を通じて与えられるにせよその背後にある数学的に規定されている特徴の抽出を必要とする数学的イメージとは、認識の対象として存在のありかたが異なります。Diffusion model にはそうした区別はありません。数学的対象は、視覚によって捉えられるわけではありません。 * 画像生成技術の「成功」は、基本的には、Diffusion modelの成功によってもたらされたものです。ただ、実際のAIによる画像生成は、生成AIが得意とする言語情報を利用する能力(それは数学的な対象を認識する能力とは異なるものです)によって強く「補完」され、さらに、その生成は生成AIが...

Church-Turing Thesisの変化と量子情報理論

【 Church-Turing Thesisの変化と量子情報理論 】 このセッションが、今回のセミナーに向けた最後のセッションになります。 このセッションでは、「計算可能性理論」から「計算複雑性理論」への発展を、 Church-Turing Thesisの変化・発展として振り返り、あわせてそれが現時点でどのように変化を続けているのかを見ていきたいと思います。 以下は、その大雑把な流れです。 【 1920年代 -- ヒルベルト・プログラム 】 ヒルベルトは、全ての数学的命題の真または偽を決定する方法が 存在すること、数学の形式化が矛盾を含まないことが証明しようと しました。 【 1930年代 -- ゲーデルの不完全性定理 】 ゲーデルは、真または偽を決定する方法が存在しない命題が 存在すること、また、数学の形式化が矛盾を含まないことの証明 が不可能であることを示しました。それはヒルベルトのプログラムが、 遂行できないことを意味しました。 【 1950年代 -- チャーチ=チューリングのテーゼ 】 「証明可能=計算可能」なものには限界があることは、1950年代 には、チャーチ=チューリングのテーゼとして定式化され、一般に 広く認められるようになりました。ただ、それは、我々の認識の「限界」と しては、非常に荒い、かつ、抽象的で原理的な限界を与えるもので しかありませんでした。 【 1970年代 -- 計算複雑性理論の登場 】 クック、レビン、カープらは、計算可能だが実際には手に負えない 計算である領域を精緻に分類しようとし、計算複雑性理論が生ま れます。 「難しい計算」が「易しい計算」には還元できないことを主張する 「P = NP ? 問題」は、現在も未解決です。 【 1980年代 --  チャーチ=チューリング=ドイッチェのテーゼ 】 ドイッチェは、ファインマンの自然をシミュレートする量子コンピュータというアイデアに刺激を受けて、計算は、物理的な過程として実現されると主張して、チャーチ=チューリングのテーゼを拡大しました。ただ、80年代は、まだ、量子コンピュータは物理学者の頭の中の概念としてしか存在していませんでした。 【 1990年代 -- 量子複雑性理論とショアのアルゴリズム 】 ベルンシュタインとバジラーニによって、量子複雑性の理論が登場し、BQPという新...