Isbell adjunction
【 数学の宝石 】 このセクションのタイトルが「意味の空間から意味の構造へ」になっていることに、少し違和感を感じたかたがいらっしゃるかもしれません。 「意味の空間は、embeddingされた語の意味のベクトル空間じゃないの?」 「それ以外に、意味の構造があるの?」 そうなんです。そこがこのセクションの問題提起なのです。答えを先に述べれば、「意味の空間」以外に「意味の構造」があるというのが、彼女の今の考え方なのです。 「今のところ、行列の特異ベクトルから得られる単語の埋め込みは、意味にベクトル空間の構造を重ねる方法として解釈する。」 「意味的類似性のような言語の特定の意味的側面については、ベクトル空間の構造が適しているが、ベクトル空間の構造を重ね合わせることで、他の意味を覆い隠してしまう可能性がある。」 せっかく分析した意味のベクトル空間だったのですが、それは、他の意味の構造を「覆い隠してしまう可能性がある」というのです。 それでは、どうすればいいのでしょうか? 彼女の提案は、意味の奥に隠れている構造を明らかにするために、今回のセッションのテーマである"Isbell adjunction"を使おうというものです。 「Isbell adjunctionは、言語の他の構造的特徴を明らかにするのに役立つかもしれない別の構造を提供する。」 具体的な展開は、この後のセクションに持ち越されます。 Isbell adjunction には、いろいろな名前を持っています。今回のセッションでも参考に紹介した John Baez は Isbell duality と呼んでいます。その他にも、Isbell adjoints, Isabell conjugate まだ他にもあるかと思います。 補足の資料で、Baezの説明を翻訳しました。素晴らしく明快なので、是非、お読みください。前回、前々回の「大規模言語モデルの数学的構造」で紹介した copresheaf, Yoneda embedding の復習に最適だと思います。 Isbell duality は、copresheaf とpresheaf が双対の概念であることを述べたものです。 資料の最後のページURL書くの忘れたのです https://ncatlab.org/nlab/show/Isbell+duality