「西高東低」

子供の時、なんかの授業で、「冬型の気圧配置は西高東低」と習ったのだが、その時なんか変だなと思った。
だって、中国もアメリカも冬ならば、それぞれ気圧配置は違うだろうから。日本の西は大陸から見れば東で、西部劇は日本の東の出来事だ。東は西で、西は東だ。
浪人の時、高輪に下宿していた。泉岳寺の坂をおりて第一京浜を右に曲がって品川の駅に向かうのだが、東京タワーが前方によく見えた。どっかから歩いて帰る時、東京タワーを背にして歩けば、下宿につくと思った。つくはずがない。どの道を通っても、東京タワーを背にする道は、無数にある。バカである。
迷子になりながら気づいたことがある。僕の右手のさす方向は、僕が向きを変えればいくらでも変わる。「右手の方向」というのは、それだけでは意味がないのだ。
ただ、僕がずっと右側に向きを変え続け、くるくる回り始めれば、それは意味を持つ。なぜって、たとえ宇宙空間に放り出され、上下左右・東西南北の区別がなくなっても、右回りの僕とと左回りの僕の区別はできるからだ。(僕の頭と足の区別は必要なのだが)
天気図を見ると、「西高東低」である。
また東京に雪が降るのかな。

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