宇宙が膨張していることの意味

【宇宙が膨張していることの意味】

宇宙が膨張していることは、多くの人は知っていると思う。ただ、それがどういう意味を持つのかについては、僕はあまり考えたことがなかった。

今年4月に、Toby Ordが "The Edges of Our Universe" (「我々の宇宙の端」とでも訳せばいいのかな)https://arxiv.org/pdf/2104.01191.pdf

論文のAbstract は、こう述べる。

「この論文は、我々が観測または影響を与えうる宇宙がどれくらいあるかについて、基本的な因果関係の限界を考察したものだ。この論文では、次の四つの基本的な領域を区別している。すなわち、影響を与えうる宇宙、観測可能な宇宙、因果的には観測可能な宇宙、究極的には観測可能な宇宙の四つである。ついで、この論文は、これらの(そしてその他の)因果的な限界が、宇宙間の文明が非常に長い未来にわたって達成可能なものに、どのような物理的制限を課すかについて示す。」

宇宙が猛烈なスピードで膨張しているということは、我々が現在、光で観測している「宇宙の端っこ」が、どんどん我々から遠ざかり我々の視界から消えていくことを意味する。100万年後には、現在観測可能な銀河の 0.02%が視界から消える。

この程度は理解できるかもしれない。ただ、もっと先がある。1千万年後には、銀河の0.2%が消え、一億年後には、銀河の2%が消えると言う。10億年後には20%、100億年後には80%、そして、1500億年後には、なんと、99.9999997% の銀河が、我々の視界から失われる!

これは興味深い。事実だろう。我々は、宇宙の膨張とともに、宇宙の中で孤立してゆくのだ。

一転して、この論文の第二部は、こうしたビジョンの「恒星間文明への応用」についてである。SFネタにはことかかない。基本的には、宇宙の歴史は「結合の時代」と「孤立化の時代」に区分されるので、「恒星間文明」が成立するにはタイミングが重要だと言う話だと思う。 SF好きな人におすすめである。

この論文が論じている1500億年後を待たずとも、「わずか」38億年後に、我々の「天の川銀河」は、となりの「アンドロメダ銀河」に衝突する。その後の宇宙の運命については、ジョン・バエズの次の記事が面白い。(僕は、Toby Ordの論文を、バエズのブログで知った。)

"宇宙の終わり The End of the Universe"  https://math.ucr.edu/home/baez/end.html



We shall finish with an photograph from the Hubble Space Telescope’s Extreme Deep Field. This image includes the most distant galaxies and protogalaxies we ever have seen. The largest galaxies in the image are as close as 6 billion light years, while the smallest dots are protogalaxies as far away as 30 billion light years. This image thus spans the edge of our affectable universe, with most of the places it shows being forever beyond our reach. 




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