モデルへの過信

【 開発者が留意すべきこと 】

GPT-4 System Card は、GPT-4が関わる実にたくさんの問題が多角的に取り上げられているのですが、セミナーの時間の関係で、セミナーでの紹介は割愛することにしました。すみません。割愛したのは、次のような内容です。興味ある方は、覗いてみてください。

 ・通常兵器と非通常兵器の拡散
 ・プライバシー
 ・サイバーセキュリティ
 ・危険な突発的行動の可能性
 ・他のシステムとの相互作用
 ・経済的インパクト
 ・開発の過熱

今回のセッションでは、GPT-4 System Card の「安全性に対する挑戦」の長いリストの最後の項目である「2.13 Overreliance 過信」の章を取り上げます。

なぜなら、GPT-4のような大規模言語モデルに対する「過信」が、特に開発者にとって重要な問題になると感じているからです。

「2.2 で述べたように、GPT-4 はその能力の高さにもかかわらず、事実の捏造,誤った情報の繰り返しの引用、誤ったタスクの実行といった傾向がある。

GPT-4は、初期のGPTモデルよりも説得力があり、信じ込ませやすい形でこれらの傾向を示すことが多い。例えば、権威ある口調や非常に詳細で正確な情報の文脈を示すなど。 GPT-4は、過信の危険性を、さらに高めている。」 System Card p59

「過信は、ユーザーがモデルを過度に信頼し依存することで発生し、気づかないうちにミスや不十分な監視につながる可能性がある。」

「過信は、モデルの能力と到達範囲に応じて増加する可能性が高い、間違った状態である。」

重要なことは、System Cardは、過信の緩和には複数の防御策が必要であり、それは特に開発者による下流の介入に依存しているとしていることです。

「我々は、我々のツールを使用する開発者が、エンドユーザーに対して、システムの能力と限界に関する詳細な文書を提供することを推奨する。また、開発者は、モデルの出力を批判的に評価することの重要性をユーザーに伝えることを提案する。」

これは第一義的には、OpenAIの仕事だと思うのですが ...

なぜなら、「モデルには幻覚を見る傾向があるように、モデルが常に自分の限界を正確に認めているわけではないことを認識することは非常に重要である。」

OpenAIは、そうした「お説教」を開発者にするだけでいいのでしょうか?

もっとも、手放しのChatGPTの礼賛を垂れ流すよりは、よっぽど正しいと思うのですが。

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ショートムービー「 モデルへの過信 」を公開しました。

https://youtu.be/bNqSfhC5ZIA?list=PLQIrJ0f9gMcNADbhYoF0fcmeoNg4zEmLD

資料 pdf「 モデルへの過信 」
https://drive.google.com/file/d/1Z4pTf6pi8DWCS5moJtlnO6PHA2qIm05D/view?usp=sharing

blog:「 開発者が留意すべきこと 」
https://maruyama097.blogspot.com/2023/05/blog-post_23.html

「GPT-4 Technical Report を読む」まとめページ
https://www.marulabo.net/docs/gpt-4-technical-report/

「GPT-4 System Card を読む」まとめページ
https://www.marulabo.net/docs/gpt-4-system-card/

「「GPT-4 Technical Report を読む」セミナー申し込みページ
https://gpt4-report.peatix.com/

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