LLMの謎にカテゴリー論で迫る - Deep Dive Audio
【 LLMの謎にカテゴリー論で迫る 】
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Transcript
(00:00) こんにちは。ディープダイブへようこそ。 こんにちは。 いや、最近のAI、 特に大規模言語モデル、 LLM って本当に人間みたいに言葉を操りますよね。 ええ、本当に目覚ましい進歩ですよね。 でもそのAI がどうやって意味をこう掴んでるのかっていうのはなんかまだはっきりとは分かってない部分も多いんですよね。 そうなんです。その仕組みの核心部分はまだ研究上というか。 で、今回はですね、ブラットリーたちの研究論文を元にしてその意味の謎にちょっと数学的なアプローチで迫ってみたいと思います。 はい。圏論を使うんですよね。 そう、論。LM って言葉と言葉の繋がり、ま、相関係はすごく学習してるんですけど、 ええ、統計的にですね。 それだけじゃ捉えきれないもっと深い意味の構造みたいなものがあるんじゃないかと。 ふむふむ。今回のミッションはLM の、ま、限界も探りつつその圏論を使って言語の意味をこうもっと深く構造的に見る新しい視点を探ることです。 面白そうですね。統計を超えたところを見ると。
(01:09) ええ、では早速紐いていきましょうか。 お願いします。 まず基本の確認なんですけど、 LM がどうやって意味を扱ってるように見えるかですよね。 はい。 あれは膨大なテキストデータからこの単語の次にはこういう単語が来やすいみたいなその相関係を学習してるんですよね。 ええ、基本的には確率的な予測モデルですね。 でも研究者の方々はここになんか理論的なギャップがあるんじゃないかと指摘してるんですね。 その通りです。今の主流のやり方単語を数値のベクトルで表現する方法はあの非常に強力ではあるんですが 便利ですよね。ベクトル表現。 ええ、ただ限界もやっぱり見えてきてる。例えば微妙な語順の違いとかですね。 ああ、猫が犬を追いかけたと、犬が猫を追いかけたみたいな。 そう、そう。そういう構造的な違いを、え、単純な単語の近さだけだと捉えきれない可能性が、ま、あるわけです。 なるほど。 それにモデルの内部が結局ブラックボックスだっていう問題もあって、 ブラックボックスですか?中身がよくわからないと。
(02:15) ええ、どういう原理で意味を学習してるのか完全には解明されていないんです。 うん。でも実際には LM ってすごくうまく機能してるじゃないですか。 あ、そこがまさに重要なポイントなんです。 LM がこれだけ成功していること自体がですね。 はい。 実はその膨大な統計情報の中に私たちがまだちゃんと理解できていない豊かな意味の構造が隠されているっていうことを示唆してるんじゃないかと。 ほお。 成功してるからこそその裏に何かがあると。 そうなんです。で、現在の理論のベクトル表現とかだけではその構造をこう明確に説明しきれていない。だからこそ新しいアプローチが必要だよねっていう話になるわけです。 なるほど。既存の方法の限界とその先に隠された可能性ですか。で、そこで圏論が出てくるわけですね。どうやってその構造に迫るんですか? はい。 圏論、ま、少し抽象的な数学の分野なんですが、これはものとその間の関係性を数学的に扱うための非常に強力な言語と道具を与えてくれるんです。 関係性を扱う数学。
(03:24) ええ、で、この研究での中心的なアイデアの 1 つはテキストの意味というものを単なる点とかベクトルとかじゃなくて豊かなものとして捉え直そうということです。 もっと豊かなものですか?具体的にはどういう あるテキストの意味はですね、それが他のどんなテキストとどういう関係を用るかというその関係性のパターン全体によって決まると考えてみるんです。 関係性のパターン全体。 例えばこのプロンプトを入力したら次にどんな続きの分がどれぐらいの確率であり得るかみたいなそういう関係性のま、全体ですね。 うーん。なるほど。 その関係性のパターンそのものを数学的な対象、専門用語で言うと関手として表現するんです。 関係性のパターン自体が意味ですか? ちょっとこう掴みどころのない感じもしますが、 ま、例えるなら翻訳がいいかもしれません。良い翻訳って単に単語を 1つ1 つ置き換えるだけじゃなくて文全体の構造とかニュアンスの関係性を保とうとしますよね。 ああ、確かに。
(04:31) それに似ていてこの関手というのはテキスト同士の関係性の地図を意味の世界の地図へと構造を保ったまま移し取る。ま、そういう操作だと考えられます。 へえ。構造を保ったまま映しとる。 これって実は言語学で言われる意味は文脈によって決まるっていう分布仮説とかあるいは数学のもっと深い原理である米田の補題っていう考え方ともすごく響き合ってるんです。 米田の補題。 ええ、つまり意味を静的な点として捉えるんじゃなくて動的で関係論的なプロセスとして捉え直すとみなんですね。 なるほど。 関係性のネットワーク全体が動的に意味を形づくっていると。いや、これは面白い視点ですね。 ええ、 じゃあそうやって捉えた新しい意味の空間みたいなものの複雑さとか豊かさとかを何か図る方法はあるんでしょうか? そこが次の面白いポイントでマグニチュードという概念が使えるんじゃないかという提案がされています。
(05:40) マグニチュード。 はい。 これは元々数学者のトム・レインスターさんが導入した概念で圏とか、ま、数学的な空間の有効なサイズとか複雑さを測るための指標なんです。 有効なサイズですか?普通のサイズとは違う? ちょっと違いますね。例えば生物多様性の研究でたくさんの種がいるけど実質的にどれぐらい多様なのかっていう有効種数として使われたり へえ。ええ、 あるいは点の集まりがあった時にそれがどれだけ広がっているかみたいな有効な点の数と見なせるようなものです。 なるほど。見かけだけじゃない実質的な複雑さみたいな感じですかね。 ええ、それに近い感覚です。で、ブラッドリーたちの研究ではテキストとテキストの間のさっき言った確率的な関係性から計算できる距離を使ってですね。 この意味空間のマグニチュードを定義できるということを示したんです。 ということはこのマグネチュードを計算すれば
(06:42) LLMが捉えている意味の世界がどれだけ豊かでど複雑なのかを 1 つの数値で評価できるかもしれないってことですか? そういう可能性が出てくるわけです。しかもですね、ここからが本当に興味深いところなんですが .何でしょう? このマグニチュードという量が情報理論でよく知られているエントロピーと数学的に深く結びついていることが分かったんです。 エントロピー情報のふたしかさとか量を表すあれですか? そうです。そうです。これはつまり意味空間の幾何学的な複雑さ、その形みたいなものがそこに含まれている情報量と直接関係しているということを強く示唆しているんです。 うわあ、すごいですね。意味の空間の複雑さが情報量と数学的にリンクするなんて、ちょっと SFの世界みたいですね。 ええ、かなり奥深い繋がりが見えてきたっていうことですね。 さて、こういった一連の研究が私たちにとってこれからどういう意味を持ってくるんでしょうか? そうですね、この研究は AI が単に統計的なパターンを真ねるだけじゃなくて、もっとこう数学的な原理に基づいて意味の構造そのものを理解して構築していく。そういう新しい
(07:55) AI への道を開く可能性があると思います。 なるほど。より原理的に意味を扱う AIですか? ええ、将来的には例えば AI モデルが本当に意味を理解しているのかどうかをもっと本質的なレベルで評価する指標になったり、 性能評価の新しい基準に あるいはそのAI の思考プロセスみたいなものを解き明かすための新しいツールになる可能性も秘めていると考えられます。 まだ理論的なとはいえ AI のこれからを考える上でめちゃくちゃに飛んでいますね。 そう思います。 うん。 で、最後にですね、もしあなたがさらにこの先を探求してみたくなった時のために 1つ問いを投げかけさせてください。 あ、何でしょう? 今回は意味の空間のサイズや複雑さを測るマグニチュードに注目しましたよね。 はい。 でも実はブラッドリーの研究ではさらに一歩進んでマグニチュード・ホモロジーというもっと洗練された概念にも触れられているんです。 マグニチュード・ホモロジー。 ええ、これは単なるサイズだけじゃなくて、その意味の空間の形とか穴のあき方とか繋がり方、つまり幾何学的構造を探るためのアプローチなんです。 形や繋がり方を探る。
(09:05) そうです。言語が持っている意味の形って一体どんな形をしてるんでしょうか?そこには私たちがまだ知らないどんな数学的な構造が隠されているのか。 うわ。 もしかしたらこの権論的なアプローチがその謎を解き明かすを握っているのかもしれない。 そんな風に思うとワクワクしませんか? いや、しますね。意味の形を探る旅ですか?今日のディープ・ダイブ非常に刺激的でした。ありがとうございました。 さ、こちらこそありがとうございまし。
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