量子論と相対論の統一としての ER = EPR

現代の物理学の大きな課題が、量子論と相対論の統一にあることを知っている人も多いと思う。ある人は、"Super String Theory"が「万物の理論」として成功していると思っている。また、ある人は(僕もそうだったのだが)、String Theoryに対抗する「量子ループ重力理論」に期待を寄せていた。

ただ、物理学の統一をめぐる、こうした対立図式は、今ではいささか古いものになろうとしている。前世紀末のマルデセナによるAdS/CFT対応の発見によって、量子論と相対論の統一の新しい切り口が開かれた。マルデセナはサスキンドと共に、前稿で紹介した2013年のER = EPR論文を発表する。

ER = EPR理論が主張していることは、ブラックホールを結ぶ 「Einstein-Rosenブリッジ」が存在して(ER)、それが、素粒子の「量子エンタングルメント」(EPR)と等しいということ。


この図は、サスキンドの論文 "Copenhagen vs Everett, Teleportation, and ER=EPR" https://arxiv.org/pdf/1604.02589.pdf からのもの。

ER = EPRの左辺ERは重力理論(相対論)を、右辺EPRは量子論を表していると思えば、ER = EPR理論が、両者の統一理論だということはわかりやすいかもしれない。

サスキンドの議論はわかりやすい。「難しい数学を使わなくても、高校生にでもわかる数学で、物理は説明できる」とどこかで言っていた。立派なことだ。

サスキンドのわかりやすい論文があったのだけれど、なぜか今日は見つからなかった。
論文を読まなくても、サスキンドの次の二つのビデオがER = EPRの入門にはいいと思う。


ER = EPR理論の特徴の一つは、情報理論や計算の複雑さの理論が、大活躍すること。僕が好きなAaronsonも、繰り返し、積極的に発言している。
アーロンソンの次の講演も面白い。

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