エンタングルメントのエントロピー

先に、スープ内の情報は、「量子誤り訂正コード」のメカニズムで、缶に(内側から)送られているのかもしれないという話をした。
それでは、缶上の情報は、どのようにスープに伝わるのだろうか? 
缶上の領域Aを底辺に持ち、スープ上に突き出した曲面XAが存在して、我々は、その表面を見ることができる。そこに、缶上の領域Aの情報が、エンコードされるのだという。(図は、高柳大先生の「重力理論と量子エンタングルメント」から、借用した。)

この曲面XAは、スープの中で、最小の表面積を持つ曲面(極小曲面)で、その境界は缶上のAの境界と一致している。
ところで、この極小曲面γAこそ、二人の日本人物理学者 笠と高柳が発見した、エンタングルメントのエントロピーに対応するものだ。(ベッケンシュタインによる、ブラックホールのエントロピーの発見に比肩する、おおきな発見だ。)缶上の領域Aのエントロピーは、スープ内のγAの表面積(プランク長の二乗を面積の単位とした時)に等しい。
このことは、スープである重力理論の時空が、エンタングルメントの集まりからできていることを、示唆している。
先日示した、樹状のグラフ(これを、Tensor Network というのだが、それについては後日説明する。ディープ・ラーニングのTensor Flow Network とは、全く関係ない。ただし、英文wikipediaの"Tensor Network"の記事は、ディープラーニングの話になっている。まぎらわしいので、注意。)との関係を示したのが、最後の図。
缶上の領域Lに対応するスープ内の極小曲面が、太い線で示されている。

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