量子力学と量子情報理論の関係について

【量子力学と量子情報理論の関係について】

量子力学と量子情報理論は別のものだと思った方がいいと前回書きました。少なくとも、80年以上前に定式化された「量子力学」の応用として「量子情報理論」が派生したと考えるのは、科学史・理論史的な歴史的な関心は別として、学習上の実践的なメリットはないように思います。

古い「量子力学」のテキストをひっくり返さなくても、直接「量子情報理論」の学習から始めることは十分に可能です。現在の時点では、僕は、むしろそれが「量子の世界を理解する」上では、望ましいアプローチだと考えています。

もちろん、両者は、理論的にも思想的にも、沢山のものを共有しています。そのことは明らかです。だからこそ、勉強を始めようとしている人でも、二つの理論が違うことに気づかないでいる人のほうがむしろ多いのです。

僕は、こう考えています。

より基本的な「量子の理論」が歴史的に形成されつつあって、その理論から見ると、「量子力学」は、その理論の物理学への応用であり、「量子情報理論」は、その理論の情報理論への応用なのだと。

もちろん、歴史的に先行したのは、物理学の「量子力学」です。ただ、そのことは、古い「量子力学」が「量子の理論」で最も基本的であることを意味しません。一般に、学の歴史では、最も基本的な認識は、学の発展の最後に生まれるものです。

 「ミネルバのふくろうは、たそがれに飛び立つ」

それでは、新しいより基本的な「量子の理論」と、そうではない「量子の理論」を区別はどこにあるのでしょう?僕は、「エンタングルメント」と「エントロピー」を主要な考察の対象としているか否かが、そのメルクマールになると考えています。

それについては、次回、もう少し詳しく触れたいと思います。

まとめページ:https://www.marulabo.net/docs/rho-talk/

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