3年前の10月に起きたことを振り返る

【 3年前の10月に起きたことを振り返る 】

11月のセミナーでは、量子コンピュータの計算の正しさを、古典コンピュータ(現在の、普通のコンピュータのこと)で検証できるのかという、「量子計算の古典的検証」問題を取り上げます。

これがどういう問題かを示すために、今回は、ちょうど3年前の2019年の10月に起きた、「量子超越性」をめぐるGoogleとIBMの論争を、改めて紹介しようとおもいます。

2019年の10月、Googleは量子コンピュータの歴史のマイルストーンとも言うべき重要な論文を発表をします。それは、普通のコンピュータなら一万年かかる計算を量子コンピュータは3分で行うことができたとして、「量子超越性」を実証的に示すことが出来たと言うものでした。

それに対して、IBMは、現存のスーパーコンピュータを使えばその計算は一万年ではなく二日半で終わるとして、Googleの実験は「量子超越性」を実証したものとは言えないと反論しました。

この論争は、量子コンピュータの行う計算を古典的な手段で検証することの難しさを表しています。注意してほしいのは、この論争でGoogleもIBMも、「一万年」「二日半」というコンピュータでの計算を実際に行ったわけではないと言うことです。

「「量子超越性」をめぐる論争」を公開しました。

https://youtu.be/6C3ML6NoKC8?list=PLQIrJ0f9gMcOQHQ6KmWuUxuRZkHT-2gZ-

スライドのpdf
https://drive.google.com/file/d/1LhXVnbJXSGZU3cgTzTbxz2TDPRrVBUwR/view?usp=sharing

blog:「3年前の10月に起きたことを振り返る 」 https://maruyama097.blogspot.com/2022/11/310.html

まとめページ「量子計算の古典的検証 」
https://www.marulabo.net/docs/cvqc/

参考資料「量子コンピュータの現在 -- 量子優越性のマイルストーンの達成 --」https://www.marulabo.net/docs/q-supremacy/




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