君は「ゲーデルの完全性定理」を知っているか?

【 君は「ゲーデルの完全性定理」を知っているか? 】

「ゲーデルの完全性定理?」ミスタイプではありません。

「ゲーデルの不完全性定理」は有名なのですが、それは数学的証明の原理的限界を示したもので、何か新しいことを数学的に証明するには、ほとんど役に立たないのです。

ゲーデルには彼の名前がついた「完全性定理」という定理があるのです。ゲーデルの「完全性定理」は、後で述べる「モデル論」の基礎として、20世紀の数学に大きな影響を与えます。

前回、小学生の算数を例に、「ルールの世界」と「たとえの世界」があることを話しました。今回のセッションのテーマである「理論」と「モデル」は、この「ルールの世界」と「たとえの世界」を数学的に定式化したものです。

「理論」の世界では、ある命題φが成り立つのは、この理論の中で、命題φが証明される場合に限ります。「モデル」の世界では、ある命題φが妥当することが、何らかの形で(証明を介さずに)与えられています

理論とモデルの関係を、「すべてのモデルで真になる命題は、一階の述語論理で証明可能である」という形で初めて述べたのは、ゲーデルです。これをゲーデルの「完全性定理」といいます。ゲーデルの完全性定理は、次のようにも言い換えられます。「ある理論が無矛盾ならば、その理論はモデルを持つ。」

理論とモデルの関係を示す、このゲーデルの定理は、とても重要なものです。なぜなら、理論にモデルを与えるということは、理論を拘束する「証明可能性」の束縛をいったん離れて、理論に可能な解釈を与えることだからです。それは、理論の意味を、別の言葉で別の視点で考えることを可能にします。

「非ユークリッド的幾何学の発見」「非カントール的集合論の発見」という、19世紀、20世紀の数学史上の 大発見は、 それまでの理論の内部の演繹の結果としてではなく、 理論に対してそのモデルを考える ことで見出されていることに注目しましょう。

それは、理論のモデルを通じて、 理論の意味するものを考えるということが、 理論の大きな飛躍を生み出すということを示しています。 それはまた、理論のモデルと目された 実在的対象としての自然に対する 認識の飛躍をもたらしました。

詳しいことは、スライドとビデオを参照ください。

ただ、それはまだ、数学や物理学の 内部の出来事でした。 理論とモデルの関係が、今回のセミナーのテーマである、 意味の理論の基礎であるというという認識は、 必ずしも、明確だったわけではありません。

それには、さらなる飛躍が必要でした。 

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「「理論」と「モデル」」 を公開しました。
https://youtu.be/AAkRyxjCrBE?list=PLQIrJ0f9gMcN2nXtvKCK4ApBaVglV8Drx

スライドのpdf
https://drive.google.com/file/d/1QxokUzXCnCJe8wVdqrQId-eMgS_ikEbO/view?usp=sharing

blog:「君は「ゲーデルの完全性定理」を知っているか?」
https://maruyama097.blogspot.com/2022/12/blog-post_03.html

まとめページ「ことばと意味の「構成性」について 」





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