Tegmarkの"Life 3.0"

Tegmarkの"Life 3.0: Being Human in the Age of Artificial Intelligence" AI関連のアメリカのベストセラー。

Life 3.0 というのは、生命の誕生が Life 1.0、文化の誕生が Life 2.0、テクノロジーの誕生が、Life 3.0 だというもの。(図2)Life 3.0 への変化を、AI技術の登場をフューチャーすることで説明するのが、この本の特徴だと思う。

Life 2.0のメルクマールは「言語能力の獲得」だと思った方がいいと思う。また、Life 3.0 を特徴付けるテクノロジーの世界の始まりは、AIの登場ではなく、産業革命だと僕は考えている。(図3 John Baezから。 http://math.ucr.edu/home/baez/week301.html )

もちろん、現在の社会が永遠に続くわけではないだろう。重要な飛躍は、いつか必ず起きるのだとはおもう。僕は、AI技術に限れば、機械による言語能力と数学的・科学的能力の獲得が、大きな転換点になると考えているのだが。
書中に「オメガ」社という架空の会社が出て来るが、これは「アルファベット」のGoogleのことだろう。オメガ社は、「プロメテウス」というスーパー・マシンでAIを利用して、ビジネス的に大成功を収めるのだが、「パンドラの箱」というより強力なマシンを、秘蔵している。
彼によれば、Googleのラリー・ページは、"Digital Utopian" で、Teslaのイーロン・マスクは、"Beneficial AI Movement"の立場に立つとされる。
テグマークは、イーロン・マスクから一千万ドルの寄付を受け、"Future of Life"という財団を、奥さんと一緒に設立している。https://futureoflife.org/
この本は、この財団設立の経緯と背景を述べたものでもある。ラリー・ページやイーロン・マスクらとの直接の会話がベースになっているのが面白い。
テグマークの"Our Mathematical Universe"を読んでいたら(Audibleだが)、この本のリコメンドが飛んで来て、Audibleのクレジットで無料でゲットしようと思ったら、kindle本の方、間違えてポチってしまった。
"Our Mathematical Universe"のぶっ飛んだ数学主義(プラトニズムだ)と比べると、Life(生命・人生・生活) について、きわめて現実的なアプローチを取っている。そこには、乖離があるのだとおもうのだけど。奥さんと一緒に活動しているようだし、ま、いいか。
日本での議論は、この辺り、どうなっているのだろう?

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