昔話 -- 誰も Coddを知らない



この前、この半年の講演のリンクをまとめたのだが、ある人から、「先生、こんなのも、まだネットにありましたよ」と言われた。
 「UNIX データベース入門」https://goo.gl/1mJRaj 
資料の日付は8月5日、24年前の今日であることに気づく。すっかり忘れていたのだが、懐かしい。
これは、僕が IT関係で初めて「出版」した「本」なのだ。(もっとも、後半は、グダグダで本の体をなしていないのだが)
類書がなかったこともあり、ネット越しだったが、当時は、とてもよく読まれた。一月に多い時には数十万のアクセスがあった。(ページビューだが)
スマホでは、文字化けして読めない「序章」は、こう書いてあった。
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 本書は、急速に拡大しつつある新しいUNIXユーザーに、UNIXワークステーション上の リレーショナル・データベースを用いれば、本格的なビジネス・アプリケーション開発 が、UNIXワークステーション上で可能であることを示すことを一つの目的としている。
 本書のもう一つの目的は、従来からのメインフレーム・ユーザーに対して、 コンピューターのビジネス・ユースの少なくない分野で、UNIXワークステーションが メインフレームに代わり得るしい可能性を持っていること示すことにある。
・・・・
こうした新規ユーザーの大量参入、ハードウェア のコスト・パフォーマンスの飛躍的向上に基づく、処理の高度化の要求は、従来からの 生産性向上の要求に加えて、ソフト開発の現場に多くのことを求めている。 こうした課題に対する、現時点での有力な回答の一つは、UNIXワークステーションの ネットワーク上で、ビジネス・アプリケーションを開発することであり、こうした方向 には、次のようなメリットがあると我々は考えている。
 第一。大規模で高性能で信頼性の高いシステムが、低コストで構築可能であること。 大型機のユーザーの中には、ワークステーション上のシステムに対して、信頼性の面で 危惧の念を持っている人が少なくないと思う。本書では、そうした疑念に出来る限り 答えようとした。
 第二。メイン・フレーム上のシステムに対して、ユーザー・インターフェースが大幅 に改善されること。UNIXワークステーションの世界では、常識となったウィンドウ環境 が、初心者のオペレーターにとっても、画面を設計するプログラマーにとっても、シス テムを開発するエンジニアにとっても、使いやすいこと。我々の確信は、こうした、 より使いよい操作環境への変化は非可逆的に進行するであろうということである。
 第三。適当な開発用ツールを用いれば、旧来の方式と比べて大幅な開発工程の短縮が 可能であること。
 第四。多くのUNIXデータベースは、言語として業界標準のSQLを採用しており、 メインフレームからの移行が比較的容易であること。
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今の僕しか知らない若い人には、ピンとこないかもしれないが、当時の僕の主要な関心は、エンタープライズでの新しいテクノロジーの利用にあった。この「本」のあと、僕は、J2EEのエバンジェリストになる。
もっとも、UNIXもJ2EEも「死語」なんだろうな。この本を書く時、一生懸命読んだ、Codd含めて。
四半世紀前、僕は、インターネットの可能性を信じていた。もちろん、今でもそうなのだが。当時の高揚した気分は、はじめてビートルズを聞いた時と似ていた。
でも、インターネットがあれば、田舎でもいい大学を作れると思った、僕の試みは、失敗することになる。

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