11/30マルレク「量子コンピュータとは何か?」の講演資料公開

ご利用ください。
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「はじめに」から
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小論は、量子コンピュータとは何かについて、一般の読者を対象に、そのオーバービューを与えようとするものである。
量子コンピュータの世界は、今、技術的にもビジネス的にも一つの展開点を迎えようとしている。その展開点とは、技術的には、この数年以内に、50 qubit程度のシステムを安定的に構築する目処が付き始めたことであり、ビジネス的には、そうした技術的達成をきっかけに、それらを利用した量子コンピュータの具体的・現実的なビジネス利用の可能性の模索が始まっていることである。
それらの到達点は、確かに、未だ萌芽的なものではあるのだが、こうした動きは、将来の量子コンピュータの飛躍を確実に準備していく軌道を切り開きつつある重要なものだと、僕は考えている。
小論では、最初に、我々が、量子の不思議な振る舞いにどのようにして気づき、またそれをどのように理解してきたのかを紹介する。続いて、こうした量子の奇妙な性質をコンピュータに利用しようとするアイデアが、どのように発展してきたかを振り返る。
続く、二つの章では、「量子ゲート型」と「量子アニーリング型」という、現在の量子コンピュータの二つの基本的なアーキテクチャを取り上げる。
最後に、各社の現時点での取り組みの状況を紹介する。ここでは、「量子コンピュータのキラー・アプリは、素因数分解での暗号破り」というこれまでの通念が、もはや働いていないことに、留意すべきかもしれない。
小論では、量子コンピュータの技術的側面を主要に述べたのだが、こうした新しい技術を牽引しているのは、新しい科学的な知見である。前回のマルレクで取り上げた、「量子情報理論」は、これからますます、理論的にも実践的にも、その重要性を増していくだろう。今後も、引き続き紹介していきたいと考えている。
今回、マルレクでの量子コンピュータの概論と並んで、演習形式で「量子情報理論基礎演習」を開講する。こちらにも、多くの人が参加することを期待したい。
量子コンピュータのビジネスに参入するには、いろいろ障壁があるかもしれない。ただ、その前提として、その基礎理論を知ることに大きな障壁はない。「紙と鉛筆」があればいいだけだと思う。
まず、「学ぶ」ことから、始めよう。

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