新しい「量子の理論」とエンタングルメント

【 新しい「量子の理論」とエンタングルメント】

新しい「量子の理論」が、物理的な世界の理解には情報の世界の理解が必要で、情報の世界の理解には物理的世界の理解が必要だということを明らかにしつつあるということ、また、物理的世界と情報の世界という二つの世界を結びつける重要な概念の一つが「エントロピー」であることを見てきました。

物理的世界と情報の世界を結びつける重要な概念が、もう一つあります。それが「エンタングルメント」です。

エンタングルメントは、物理的世界の奇妙な現象として、アインシュタインによって発見されます。アインシュタイン自身は、「そんな馬鹿げたことはあり得ない」と、そうした現象の存在を否定したのですが、20世紀の物理学の大きな達成の一つは、理論的にも実験的にも、エンタングルメントの実在を確証したことです。

今日では、「物理的世界はエンタングルしている」という事実が疑われることはありません。それは、現代の量子論の中心にしっかりと組み込まれています。そのことは、シュレジンガーやハイゼンベルグやフォン・ノイマンやディラックが活躍した量子論の「古典時代」と現代の量子論の、最大の違いと言っていいものです。

そうした物理学上の発見が、情報の世界と何か関係があるのでしょうか?

それは、エンタングルメントを否定したアインシュタインの「理由」を考えてみればわかります。彼は、「情報は光のスピードを超えて伝わることはできない」(そして、これは正しいのです)ことを、エンタングルメントを否定する根拠にしました。

それでは、「情報は光のスピードを超えない」という「情報の局所性」という原理は、物理的世界の物理学的原理でしょうか? 確かにそれはそういうものとしてアインシュタインによって、初めて発見されたのですが、それは、謎に満ちた情報の世界の扉を開く、情報の世界の基本的な原理の発見でもありました。

ひるがえって考えれば、原因と結果の「因果関係」も、物理的世界の法則をある特質を満たす数学的形式で記述する「物理法則」の理解も、情報の世界の言葉で再解釈できるのです。

物理的世界と情報の世界という二つの世界のパラドックスとして登場したエンタングルメントの本姓を深く知ることは重要なことです。「量子情報理論」の重要なコンテンツの一つとして、エンタングルメントの概念が含まれなければなりません。

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この間、投稿した内容を整理て、まとめページを作りました。
「「量子力学」と「量子情報理論」」https://www.marulabo.net/docs/rho-talk/

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 ● 「量子力学と量子情報理論の違い」https://maruyama097.blogspot.com/2021/07/blog-post_27.html

 ● 「量子力学と量子情報理論の関係について」https://maruyama097.blogspot.com/2021/07/blog-post_29.html

 ● 「新しい「量子の理論」とエントロピー」https://maruyama097.blogspot.com/2021/07/blog-post_30.html

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