数学者、コンピュータを使い始める

【 数学者、コンピュータを使い始める 】

Open-AI Theorem Prover が、どのようなデータを学習してきたかをみてきたのですが、今回紹介する mathlib-train は、特別な役割を果たしています。

量的にも、これまでみてきた訓練用データより、ひとまわり大きいのです。

 miniF2F-curriculum  327
 synth-ineq               5,600
 mathlib-train          25,000 (25K)

質的にも、mathlib-train は一味違っています。それは、多くの数学の領域をカバーしている、Lean で書かれた数学の定理集(証明付き)です。もちろん、これを作ったのは、人間です。Lean  mathlibは、多くの数学者が参加しているオープンソースのプロジェクトです。

 "Lean mathlib"
 https://github.com/leanprover-community/mathlib

mathlib-train で訓練されたOpen-AI Theorem Proverは、見違えたように賢くなりました。イリヤたちの論文のAppendix E に、三つほどその例が出ています。

なんと、Open-AI Theorem Proverは、学習した mathlib-train とはちがった形で定理の証明を考え出したのです! 素晴らしい!

ただ、話はそれで終わらないのです。

今回のセミナーのタイトルは、「コンピュータ、数学の問題を解き始める」なのですが、それに先行したのは、Lean  mathlib のように、「数学者、コンピュータで数学の問題を解き始める」という動きでした。

一人の天才数学者が、こうした動きを決定づけました。

セミナーの後半では、こうした動きを紹介しようと思います。


【「彼は、何を学習したのか (3) mathlib-train 」を公開しました 】

https://youtu.be/NPlQ9fVc8bQ?list=PLQIrJ0f9gMcPP8LOejaQQlYufAMEQbcdg

スライドのpdfは、こちらからアクセスできます。https://drive.google.com/file/d/1ux2fatO6-P3pyTp9WZ8AozwkPvRPjrhT/view?usp=sharing

このトピックのまとめページは、こちらです。ほぼ毎日更新されると思います。https://www.marulabo.net/docs/math-proof/

セミナーへのお申し込みは、こちらからお願いします。
https://math-proof.peatix.com/

コメント

このブログの人気の投稿

マルレク・ネット「エントロピーと情報理論」公開しました。

初めにことばありき

人間は、善と悪との重ね合わせというモデルの失敗について