Deep Learningの到達点と課題

【 Deep Learningの到達点と課題 

イリヤ達の論文 “Formal Mathematics Statement Curriculum Learning” https://arxiv.org/pdf/2202.01344.pdf は、Open-AI Theorem Proverの解説としてだけでなく、Deep Learning技術の到達点と課題を率直に述べたものとして、興味深いものです。

彼は、Deep Learning が、数多くの成功にもかかわらず、いまだ成功を収めていない分野があることを指摘します。

「ディープラーニングは、言語・ビジョン・画像生成を含む多くの分野で目覚ましい成功を謳歌してきた。 ディープラーニングがまだそれらの分野と比肩しうる成功を収めていない一つの領域がある。それは、広い見通しとシンボルに基いた推論を必要とするタスクの中にある。」

多くの人は、ディープラーニングの「深く考える能力」の代表として、人間の碁のチャンピオンを破ったAlphaGoのようなものを考えると思います。確かに、それは印象的な出来事でした。ただ、確かに、碁や将棋のような対戦型のゲームには、無敵のAIが存在するのですが、そのことで、機械の推論能力が人間を超えたとは言えないと僕は思います。

「ゲームが対象とするスコープは比較的狭いため、結果として達成される推論能力は制限されている。」

「この点では、インタラクティブな証明アシスタント、すなわち、形式的な数学での定理証明は、取り組むべき興味深いゲームのような領域に見える。」

「形式的な数学の広い応用範囲を考えれば、 (たとえば、数学的な推論の証明を見つける)そこで得られた強力な推論結果は、ゲームでの同等の結果よりも大きな意味がある。それは、 (たとえば、ソフトウェア検証といった)重要な実際の問題にも適用できることを意味する。」

僕は、こうした議論に賛成しています。


【「数学的証明の重要性とその難しさ」を公開しました 】

https://youtu.be/BAvCsZFGQKQ?list=PLQIrJ0f9gMcPP8LOejaQQlYufAMEQbcdg

スライドのpdfは、こちらからアクセスできます。
https://youtu.be/VjBduTnlFtY?list=PLQIrJ0f9gMcPP8LOejaQQlYufAMEQbcdg

このトピックのまとめページは、こちらです。ほぼ毎日更新されると思います。https://www.marulabo.net/docs/math-proof/

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