ラティスいろいろ

【 ラティスいろいろ 】

このセッションでは、ラティスの「基本領域」と言われるものを紹介します。

B = ( b1, b2, ..., bn)をラティスの基底として、ラティスL(B)が張る平面上の、次の条件を満たす領域を、ラティスL(B)の「基本領域」といいます。

   0 <= ai < 1 の範囲( 0 は含みますが、1 は含みません)の実数 ai について
   a1b1 + a2b2 + ... + anbn で表される領域

ラティスは、先の式でai が整数値のみをとる飛び飛びの「格子点」の集まりです。ただ、ラティスの「基本領域」は、ai は 0 <= ai < 1 の範囲を連続的に動きますので、飛び飛びの「点」ではなく、連続した「面」になります。

このセッションでは冒頭で、もうひとつのラティスの見方を紹介しています。寄り道です。

というのも、この間、「ラティス暗号」で利用されるラティスの話をしてきたのですが、それだけだと、すこし、狭いと感じていたからです。(すぐに、元の道に戻ります)

ラティスは、基本的には、規則的なパターンの繰り返し構造の背後にあるものです。

タイルや絨毯の紋様の繰り返し、平面を覆い尽くすパターンからなるデザインは、その例です。

金属は、規則的な原子の構造を持ちます。結晶の作る「結晶ラティス」は、代表的なラティスです。パターンの繰り返しは、物質の性質を決めることがあります。現在では、こうした規則的なパターンを持つ物質を人間が作ろうとしています。

科学の方法として、無数なものの無数の連続的な関係を捉えるのが難しい時、対象をディスクリートな格子点の集まりとして近似することがあります。これは、科学の基本的なテクニックの一つです。

もしも、自然が、連続的なものではなく離散的なものなら、こうしたアプローチは、単なる近似ではなく、本質的な意味を持つことになります。

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動画「ラティスの基本領域」を公開しました。ご利用ください。

https://youtu.be/ujF8xD8YoHU?list=PLQIrJ0f9gMcPtw-6OwIOO2rFKu_A-7OfF



この動画のpdf は、こちらからアクセスできます。https://drive.google.com/file/d/18ikq8OxU7zSZKmkGOIxWJTKazhQotcKJ/view?usp=sharing

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