enrich以前のカテゴリーと enrich化されたカテゴリーを比較する

【 enrichするカテゴリーの働きを考える 】

今回のセッションでは、enrich化される以前のカテゴリーとenrich化するカテゴリーと enrich化されたカテゴリーの三つのカテゴリーが登場します。

紛らわしいので、次のような名前をつけておこうと思います。

 ・C : enrich化される以前のカテゴリー 
 ・V:enrichするカテゴリー
 ・E:enrich化されたカテゴリー

今回は、enrich化される以前のC と enrich化されたE を比較します。その目的は enrich化するVの働きを考える事です。

C と Eとの比較で、最初に確認できるのは、この二つのカテゴリーは同じオブジェクトを持つ事です。もともとは、文字列の表現をオブジェクトとする言語のカテゴリーに確率を導入しようとしているenrich化を考えていたわけで、enrich化されたカテゴリーのオブジェクトも、文字列の表現になるのは、当然です。

カテゴリーの射についてはどうでしょう? ここはCとEでは大きく変わっています。enrich化されたE の射は、元のCの射とは、全く異なるものです。前回は、以前の射にラベルをつけただけのような説明をしていたのですが、本当は違います。

ここに、enrich化するVが登場します。Eの射はVの要素になります。言語のカテゴリーに確率を導入しようとした話に戻れば、確率を表す単位区間[0,1]がVで、Eの射は、この単位区間に値をとることになります。単位区間[0,1]自身が、カテゴリーVとして、ある構造を持っているのです。

enrich化するという事は、CとEでは、射が別のものとして定義されるという事です。

大事なことは、射の定義が置き換わったとしても、CとEは両方ともカテゴリーだということです。そのことは、カテゴリーである元のCの射が持っていた基本的な性質、同一射の存在とか射の合成の結合性、といった性質は、enrich化されたEの射も、Eがカテゴリーである以上、同様に満たさなければならないということです。

問題は、Eの射は、enrich化するVによって定義されたものです。Vは自分の言葉で、同一射の存在とか射の合成の結合性に相当するものを定義し、その働きを再現できなければなりません。

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ショートムービー「 enrich以前のカテゴリーと enrich化されたカテゴリーを比較する 」を公開しました。
https://youtu.be/38vtDkIsfxE?list=PLQIrJ0f9gMcPmrJ3B0LEXJ_SHPP-ak_hw

「 enrich以前のカテゴリーと enrich化されたカテゴリーを比較する 」のpdf資料
https://drive.google.com/file/d/1BX1Xt9Jblt3szl_QJXEiL631eSe2nJro/view?usp=sharing

blog 「 enrichするカテゴリーの働きを考える 」
https://maruyama097.blogspot.com/2024/01/enrich-enrich.html

「大規模言語モデルの数学的構造 II」まとめページ
https://www.marulabo.net/docs/llm-math2/

ショートムービーの再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcPmrJ3B0LEXJ_SHPP-ak_hw

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