Semantic category

【  enrich化されたcopresheaf として意味をとらえる 】

このセッションでは、意味のカテゴリーsemantic を構成します。第一部と同様に、ここでも意味はcopresheaf として定義されます。ただしそのenrich版として。

第一部から継承された意味のcopresheafとしての解釈は、Tai−Danaeらのカテゴリー論的言語理論を特徴づける重要なものです。

【 なぜ、copresheaf なのか? 】

ここでは、まず、少し一般的な視点から、copresheaf(それは、関数の集合です)を使うことのメリットを考えておきましょう。

数学的対象Xの性質がよく分からないけど、数学的対象Yの性質・構造はよくわかっているとしましょう。

そうした時、 Xはそうでなくても、XからYへの関数の集合{X→Y}を考えると、それがはっきりした構造を持つことがよくあります。例えば、任意の集合上の実数値関数はベクトル空間を形成します。

【 単位区間 [0,1] とC上のcopresheaf [0,1]^𝐶 】

単位区間[0,1]は、カテゴリー理論の観点から見ると豊かな構造を持っています。それは closed commutative monoidal であり,complete で cocompleteです。

単位区間[0, 1]でenrich化された任意のカテゴリーCに対して、Cから単位区間へのfunctor 𝐶→[0,1]のカテゴリーとして、C上のcopresheaf [0,1]^𝐶 を考えます。

このcopresheaf は、単位区間[0,1]の豊かな構造を継承します。それは、単位区間[0,1] と同様に、product, coproduct, internal hom のenrich化されたバージョンを持っています。

補題 2 は、任意の [0,1]-category Cは、豊かな構造を持つ [0,1]-category copresheaf  [0,1]^𝐶 に埋め込まれることを示しています。

【 Semantic category 】

LをSyntax category とした時、Semantic category を、[0,1]^𝐿 と定義します。 

Semantic category 𝐿 ̂は、[0,1]-categoryである L 上で [0,1]でenrich化されたcopresheaf の[0,1]-categoryです。

【 表現 x の意味 】

Lのオブジェクトであるすべての表現xについて、xで表現可能なcopresheaf ℎ^𝑥≔𝐿(𝑥,−)を 表現xを拡張する条件付き確率として定義します。

表現xの意味を、xで表現可能なenrich化されたcopresheaf h^𝑥≔𝐿(𝑥,−) であると考えることができます。

ℎ^𝑥は、xを含むすべての可能な表現上で定義されます。このことは、あるテキストの意味は、そのテキストを含みうる可能なすべてのコンテキストによって、可能的には変化しうることを意味することになります。

補題 2の埋め込みは、テキストxをその意味ℎ^𝑥に割り当てます。


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