エンタングルメントを操作する

【 エンタングルメントを操作する 】

量子テレポーテーションは、量子の情報をそのままノードAからノードBに伝えることができる、量子通信の最も基本的な手段です。ただ、量子テレポーテーションを実行するためには、その前提として、ノードAとノードBがエンタングルメント状態にある必要があります。

量子テレポーテーションを使って、長い距離の量子通信を実行しようとするなら、その前に、長い距離を隔てたノード間のエンタングルメント状態を準備しなければならないということです。

それでは、長い距離のエンタングル状態を、どうやって作ることができるのでしょう? 今回は、この問題を考えてみようと思います。

実は、この問題を、先に見た「エンタングルメント・スワッピング」という奇妙な現象を使って解くことができるのです。

エンタングルメント・スワッピングというのは、次のような現象です。

 「AとBがエンタングルしていて、
  BとCがエンタングルしていれば、
  AとCはエンタングルにできる。」

それは、二つのエンタングルメント ABとBCから、新しい一つのエンタングルメントACをつくることができるということです。 我々は、エンタングルメントを操作して、新しいエンタングルメントをつくることができるのです。

この時、エンタングルメントの距離を考えてみましょう。

もしも、ノードBがノードA とノードCを結んだ直線の中間にあるなら、エンタングルメントACの距離は、エンタングルメントABの距離にエンタングルメントBCの距離を合わせたものに等しくなります。 AC = AB + BC です。

ポイントは、新しくできたエンタングルメントACの距離は、元の二つのエンタングルメントAB, AC の距離より、大きくなったということです。

エンタングルメント・スワッピングによって、我々は、新しいエンタングルメントを作ることができただけでなく、元のものより長い距離のエンタングルメントを実現したのです。

もし、ネットワークの経路上の全てのノードが、少なくともっとも近いノードとはエンタングルメントしているなら、この操作を繰り返せば、経路上のどんな長さのエンタングルメントも実現できます。

すばらしい!

【 「Entanglement Swapping で Entanglementの距離を拡大する」を公開しました 】

https://youtu.be/g4OLXvnHekw?list=PLQIrJ0f9gMcMOZpuJsAE6UvyX4g0_TYnM

動画のpdfは、こちらからアクセスできます。
https://drive.google.com/file/d/1B-3_tHr-RGLELTdy0g8U43ilDXqyma4B/view?usp=sharing

このシリーズのまとめページはこちらです。
https://www.marulabo.net/docs/q-net/

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