Q-net はじめに

【 4/30 セミナー「量子情報と通信技術」「はじめに」から 】

4/30 セミナー「量子情報と通信技術」の「はじめに」を作成しました。ご理想ください。

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  はじめに
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量子論・量子情報理論のIT技術への応用というと、多くの人は、「量子コンピュータ」のことを思い浮かべるだろう。ただ、量子論・量子情報理論のIT技術への応用は、「量子コンピュータ」だけではないことに留意する必要がある。

小論がテーマとして取り上げる「量子情報通信」は、そのもう一つの重要な応用分野である。僕は、「量子コンピュータ」より、 「量子情報通信」の世界の「実用化」が早いのではと考えている。

量子論・量子情報理論のIT技術への応用に対するIT技術者の関心は、数年前と比べると確実に広がっているように見える。それは歓迎すべきことだと思う。

同時に、いくつかの「誤解」も広がっているように、僕は感じている。一つ例をあげよう。

 「量子コンピュータを理解するために、
  量子力学を学ぶ必要がある」

それは、ほとんど誤解に近いものだと僕は思う。

「量子情報理論」と「量子力学」とは、別のものである。
それは、「情報理論」と「力学」が、別のものであるのと同じである。

もう少し具体的に述べれば、「力学」にとって、「位置」や「運動量」や「エネルギー」は、本質的に重要な概念である。しかし、「情報理論」にとって、 「位置」や「運動量」や「エネルギー」は、さしたる意味を持たない。「情報理論」で重要なのは、「エネルギー」ではなく「エントロピー」である。

確かに、「量子力学」と「量子情報理論」は、「量子論」という共通の土台の上に成り立っている。ただ、両者の違いは大きい。

そのことは、「量子力学」の世界で、エンタングルメントが発見されてから、「量子情報理論」の世界で基本的な役割を果たす、エンタングルメントを利用する「量子テレポーテーション」が発見されるまで、60年近い年月がかかったことに、はっきりとあらわれている。

「量子情報理論」は、「量子力学」とは区別して、「量子情報理論」として学ぶ必要がある。

小論 「量子情報と通信技術」は、いわゆる「量子情報通信 Quantum Information Communication 」の世界の基本的な技術を紹介したものである。

取り上げたのは、次の四つのトピックスである。

 ● Quantum Key Distribution
 ● Quantum Teleportation
 ● Entanglement Swapping
 ● Time-Bin qubit Encoding


当初は、「量子情報通信技術の現段階」という章を最後におこうとしていたのだが、予定を変更した。各国・各研究グループが開発にしのぎをけずっていて、ダイナミックに変化する現段階の評価は難しい。

それは、この分野の「ブレイクスルー」の予感はあちこちで広まっているのだが、本格的な「ブレークスルー」は、これから、おそらくあと数年後に起きるからだろうと、僕は感じている。

今回は、量子情報通信の基礎理論・基本技術にフォーカスすることになったのだが、小論の展開は十分なものではない。「量子情報通信技術の現段階」を知るためにも必要な、それらの積み残した基礎的・基本的なトピックスについては、あらためてセミナーを開きたいと考えている。

【「はじめに」を公開しました 】

https://youtu.be/sPpD7AMaKBA?list=PLQIrJ0f9gMcMOZpuJsAE6UvyX4g0_TYnM

動画のpdfは、こちらからアクセスできます。https://drive.google.com/file/d/1Hv2sqxyaBIe7ORK3fkIfnIS31IyF9Pag/view?usp=sharing


このシリーズのまとめページはこちらです。
https://www.marulabo.net/docs/q-net/

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