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息子の所に息子が生まれて一ヶ月。

まだ5kgぐらいなので、まだまだ小さい。息子はガタイがでかいので、その何十分の一ぐらい。でも身長は5cmも伸びた。一月に、5cm背が伸びた経験、自分の記憶にはない。これで普通だというから、赤ちゃんはすごい。 よく寝て、よく泣く。 寝るのは僕も得意だが、「世界の終わり」のように、全身でガン泣きする。赤ちゃん、ジムにもマラソンにも行かないが、泣くことが、自然な運動になっているんだと思う。僕も、泣きたいことはあるし、運動不足なので、あんなふうに泣いてみたいものだと思う。(真似しない方がいいのだろうか?) 僕も子育てはしていたのだが、すっかり、忘れていたことがあった。赤ちゃんは、一ヶ月もしないうちに笑うことを覚えるんだ。 笑う時、何考えているんだろうと思ったが、決して彼のアタマは空っぽではない。目があいてものの動きを追い、耳は音に反応するようになっている。彼のアタマの、現在進行中の変化は猛烈なものだ。きっと、僕が10年間考え続けたとしても、僕のアタマの変化は、彼の一ヶ月の変化にはかなわないだろう。 そういう時に、笑い始めるんだ! 快楽原理や自己中心性や強化学習マシン、いろいろ説明はあるのだろうが、考え始めることと笑い始めることが一緒に始まるというのが、なんだか知らないが、素晴らしい! 僕も、笑いながら考えようと思う。 (真似しない方がいいのだろうか?)

連続講座「人工知能を科学する」第二回「人工知能と自然言語」

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昨日(10/26)の角川さんでの連続講座「人工知能を科学する」第二回「人工知能と自然言語」の様子です。沢山のご参加ありがとうございました。 あと講演終わってからの打ち上げの様子です。 実はこの間風邪で寝込んでいました。 皆様も、風邪など引かぬようお気をつけください。

Videos from Prospects in Theoretical Physics 2018

rom Qubits to Spacetime,” the title of 2018's  Prospects in Theoretical Physics  program, took place from July 16–27, 2018, and covered topics ranging from the connections between quantum information and the structure of spacetime, to how information is shared between subsystems and is manipulated by the dynamics, and how quantum effects can be included in black hole thermodynamics. Introduction to Information Theory  by  Edward Witten Holographic Entanglement Entropy I  by Matthew Headrick Quantum Field Theory and Entanglement  by  Edward Witten Quantum Information and the Black Hole Interior 1  by  Ahmed Almeiri Light Rays and Black Holes I  by  Edward Witten Holographic Entanglement Entropy II  by Matthew Headrick  Quantum Information and the Black Hole Interior II  by  Ahmed Almeiri Entanglement in QFT  by  Thomas Faulkner Light Rays and Black Holes II  by  Edward Witten Spacetime Thermodynamics I  by  Aron Wall Entanglement in QFT II  by  Thomas Faulkner

神託、魔法使い、数学的証明 (2)

先に、数学の「複雑性理論」という分野には "Oracle(神託)" という考え方があることを紹介した。どんな問題にも、「正しい」答えをすぐに返してくれるという、架空の「全知全能」であるシステムのことだ。 ただ、まったくの「御都合主義」にも見えるそうした仮定は、実は、現代の我々の日常に深く入り込んでいる。古代ギリシャのOracleを引き合いに出さなくても、僕は、"Google" という用語を使った方がわかりやすいと思うのだが。 今回は、このOracleの少し変わったバージョンMerlinを紹介する。ランダムな振る舞いをするOracleだと思えばいい。このMerlinは「全知全能」である点は「普通」のOracleと変わりないのだが、ただ、クセがある。不誠実なのだ。人間の問いかけに、いつも「正しい」答えを返すとは限らない。ときどき、わざと間違った答えを返す。(こっちを、"Google"と呼んだ方がいいのかも) ただ、これだけだと、単なる「神頼み」にしかならないので、人間の知の数学的モデルとしてはつまらない。そこで、もう一人のAuthurが登場する。Authurは、Merlinほどの能力はないのだが、誠実である。その上、彼は、Merlinがいうことが正しいか正しくないかの判断を「正しく」行う能力は持っている。 Merlinが「数学的証明」を提供し、Authurがその証明を「検証」するというシステムがあった時、このシステムで何がわかるかを考えるのを「Merlin-Authur問題」という。 僕は、Scott Aaronsonの"Quantum Computing since Democritus"  https://goo.gl/dwjtsc  で、この問題を知ったのだが、そうでなければ、ずっと「Merlin-Authur問題」を、二人のMerlinとAuthurという名前の数学者が考えた問題だと思っていた可能性がある。(原論文は、L.Babal  "Trading group theory for randomness" https://dl.acm.org/citation.cfm?id=22192 ) 実は、Merlinは魔法使いで、Arthurは

神託、魔法使い、数学的証明 (1)

「オラクル(神託)」は、かつてギリシャのデルファイのアポロ神殿の巫女が行った予言のこと。古代ギリシャでは、社会的に重要な意思決定は、すべてこのデルファイの神託を仰いで行われたらしい。最高位の巫女は、Phythiaという。この名前は、地球の中心に存在すると信じられていた巨大な蛇 Python に由来する。 OracleもDelphiもApolloもPythonも、IT業界では別の意味で、会社名・プロダクト名として有名なのだが、欧米人にはギリシャの古典を愛する人が、現在も(IT業界にも)存在するのだと思う。それは、かつての日本人が、中国の古典を愛していたのと同じだ。 ところで、数学にも "Oracle" という概念があるのだ。それは、どんな問題に対しても瞬時に正しい答えを返してくれるシステムを仮定して、それを Oracle という。 それは、複雑性理論の中心的なツールだ。例えば、次のように使う。 $$P^A$$ という複雑性のクラスは、クラスA-完全のOracleが与えられたときに、P(決定問題が多項式時間)で解ける問題のクラスで、$$NP^A$$は、クラスA-完全のOracleが与えられたときに、NP(yesの場合の決定問題が多項式時間)で解ける問題のクラスということにするのである。だから、$$P^{NP}$$は、NP-完全な問題へのOracleが与えられたとき、決定問題が多項式時間で解ける問題のクラスになる。 なんて勝手な想定なんだ、数学に「神託」を導入するなんてトンデモナイと思うかもしれないが、そうすることによって「複雑性の階層」に対する見通しが、とてもよくなるのだ。ここでは、そのことを詳しくは論じないが、我々の日常でも、このOracleの利用に相当することが実際にあるのである。 たとえば、Pythonでプログラムを組んでいるとしよう。数値計算にnumpyを使う時、我々は必ずしもnumpyが行っている処理の詳細を理解する必要はない。我々が、それに期待するのは、それが「正しい答え」を「確実」に返してくれることである。 数学でも同様である。数学の証明は「厳密」なことを是とするのだが、全ての証明の細部を書く必要はない。例えば、何千年前の「ピタゴラスの定理」の証明を、全ての数学的証明がくりかえす必要はないのだ。数学的に「確定」

「異端」としてのチューリング

チューリングのディジタル・アーカイーブをチェックしていたら、とてもとても面白い論文を見つけた。 "Intelligent machinery, a heretical theory" 「知的機械、ある異端的理論」 https://goo.gl/Rcwku6 有名な Mind誌に寄稿した50年の彼の論文 "COMPUTING MACHINERY AND INTELLIGENCE"  https://goo.gl/p5ttGY  のあと、51年のどこかでの講義ノートの草稿だ。 僕が驚いたのは、前半の機械による数学的証明に関する部分と、後半の機械の「教育」(かれは、"Learning"ではなく"Education"という言葉を使っている)に関する部分だ。 全然、「異端的(heretical)」でも「異教的」でもないじゃないか。現在の我々から見ると、どんぴしゃりの「正統派」の洞察である。 機械による数学的証明について、彼はいう。 「機械は、例えば、プリンキピア・マセマティカの形式的証明の妥当性をテストできるだろうし、そうした体系のある命題が証明可能か証明不可能かさえも、教えてくれるだろう。その命題が証明可能でも証明不可能でもない場合には、マシンは結果を返すことなくずっと動き続けるので、満足できる振る舞いをしないかもしれないのだが。 ... 数学者だって、フェルマーの定理が真か偽か数百年考えているのだから。」 こうした認識は、アーロンソンが、複雑性理論の嚆矢として高く評価している、1956年のゲーデルからフォン・ノイマンにあてた手紙と通底するものだ。(それについては、僕の「ナッシュとゲーデル」  https://goo.gl/vjSLx1  を読んでほしい。) もっと面白いのは、機械が間違ったことを言ってもいいという、次のような主張だ。 「私の主張は、機械たちが、人間の心の振る舞いを非常に正確にシミュレートするように構成できるということだ。機械は、時には間違いをおかすだろうし、時には、新しい面白いことをいうかもしれない。」 それは、人間だって同じだろうと彼はいう。機械が間違った証明をしても、 「そうした機械の教育は、高

チューリング・マシンでのプログラミング

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10/15の「楽しい数学:計算理論入門」 http://mathnight3.peatix.com/  の準備で、チューリング・マシンでのプログラミングの練習をしているのだが、なかなか苦戦している。 カウンターもスタックもないし、「状態」の数をできるだけ減らそうとすると、いろいろ難しい。(でも、パズルみたいで面白い。) ・ E((()))()(())E といった、EとEとの間の括弧がバランスが取れているかをチェックせよ。(失敗) 右に進んで最初の右括弧')'を探して、他の文字'X'に置き換え、今度は左に進んで、左括弧'('を探して、それも'X'に置き換えて、また右括弧')'を探すの繰り返せばいい。状態は「右」と「左」の二つで十分。うまくいけば右のEに到達し、まずければ左のEに落ちる。 と思ったのだが、これだと、明らかにバランスが取れていない、例えば、E((((Eも、右のEに届いてしまう。右のEに届いたら、もう一度チェックが必要。状態「Check」を使えばできるのだけれど、なんとか二つの状態でできないか、思案中。 ・0と1からなる文字列の長さを計算せよ。(できた!でも、ずるい) 左から右に進んで、現れる0を全部1に置き換える。これでいい。ただし、長さは、1進数。nは、n個の1で表すことにすればいい。 ・自然数 m,n のかけ算を行え。(なんとかできるかも) これも1進数で考えれば、m個の1を、n回、右のほうにコピーしてやればいい。 まず、コピーの処理を考えたのだが(図)、状態が7つもあって気にくわない。それに、1進法のかけ算のためだけなら、0のコピーは考える必要はないしね。 問題は、「n回」コピーの部分。データ構造(というかテープの構造、工夫しないと) ・1進数を2進数に変換せよ。 これは、大昔、どっかでやり方を見た気がする。ちょっとスマートな方法があったはず。ググろう。 問題は、あと10日で、「万能チューリングマシン」にたどり着くことができるかということ。 ガンバリマス。