投稿

3月, 2018の投稿を表示しています

死者との距離

イメージ
秋田の実家を解体・改築中なのだが、甥っ子が仏壇の下の棚から家族の古いアルバムを何冊か見つけた。別の甥っ子がその一部をスマホで撮って送ってくれた。今は、この世にいなくなった人も、たくさん写っていた。そして、母と一緒に写っている僕には、その記憶がない。 過去の記憶が時間とともに薄れていくことと、懐かしいという感情には繋がりがあるのだと思う。我々が過去の全てを完璧に覚えているなら、そういう感情は必要ないのだから。 100年以上前に初めて写真を見た人たちの驚きはよく理解できる。同時に、それが死者の姿を現世に留める役割を持ちうることに、人はすぐに気づいただろう。 写真がなかった時代、死者の記憶を人が長く持ち得なかったわけでは決してないはずだ。長く消えない記憶は存在する。そして、写真もアルバムも、いつか古びて朽ちる。人間とその記憶と同様に。 ただ、何かが変わっていく。 昔、家には電話は、たいてい一台しかなかった。電話の横には、その家の「番号帳」が一つあった。転出した人は、横棒を引いて消していた。家の電話帳を持ち歩く人はいなかった。 僕が初めて携帯電話を持った時分の話だ。携帯の「番号帳」の中に、亡くなった友人の電話番号を、思いがけずに見つけて、僕は少し震えた。あの友人の電話番号を、僕は、ずっとポケットに入れて持ち歩いていたのだと思うと不思議な気持ちになった。 懐かしくて電話をかけてみた。一人暮らしのはずだったのに、不思議なことに呼び出し音が鳴る。本人が出たらどうしようとおもったが、誰も出ず、途中で電話を切った。不要になったはずのその番号を僕は消せなかった。30年後の今も、それを持ち歩いている。 電子的な記憶は、おそらく、写真より長持ちする。もしも僕が、150歳まで長生きできれば、僕の電話帳は、死人のリストでいっぱいになるだろう。 それは不自然なことではない。これまで、生きた人の数と死んだ人の数は、通算すれば、ほぼ同じくらいだろうが、これまで死んだ人の数は、現在、生きている人の数より、はるかに多いはずだから。 まだ若いネット上の記憶も、いつか、古い図書館と同じように、死者の記憶でいっぱいになるだろう。 「親父の命日が4月27日で、葬儀は29日。この日は桜が満開だった。親父は、良寛の「願わくば 桜の下で 春死なん ~」を叶えちゃった感じ。29日は、親父夫婦と僕たち夫婦の結婚記念日…

今後のマルレクの予定について

3月のマルレクをスキップしてしまったので、隔月開催で行ってきたマルレクの予定を、本年度は次のようにリスケしたいと思います。5月-6月の予定は決まりました。  5月22日 19:00~ 会場 DMMさん
 「Post Deep Learning時代の人工知能技術を展望する」
 6月26日 19:00~ 会場 GMOさん
 「量子コンピューティングの現状と課題」 8月-9月も、毎月開催します。  8月  日時・会場未定
 「文法を計算する - Lambek Categorial Grammar 入門」
 9月  日時・会場未定
 「量子コンピューティングの機械学習への応用」 11月から隔月開催のペースにもどります。以下の予定は仮のものです。変更がある可能性があります。  11月  日時・会場未定
 「意味の形式的理論」
 1月  日時・会場未定
 「量子暗号と量子通信」
 3月  日時・会場未定
 「数学的推論の自動化は可能か?」 新年度も、マルレク、よろしくお願いします。

ブラックホールのエントロピーはその表面積に比例する

イメージ
先のベッケンシュタイン・ホーキングのブラックホールのエントロピーSの式 S=1/4・kA/lp^2は、かなり奇妙な式である。 比例定数1/4は、ホーキングが見つけたものである。kはボルツマン定数で単位合わせのものだと思っていいので、この式の中心部分は、ブラックホールのエントロピーはその表面積Aに比例するというものである。 通常、熱いお湯でも、熱を持ったガスでも、そのエントロピーは、その体積に比例する。容器の体積が二倍になれば、そのエントロピーは二倍になる。ところが、ブラックホールの場合には、エントロピーは体積ではなく面積に比例するということを、この式は主張している。 lpは、プランク長で、ある意味で普通の物理法則が通用する長さの最小単位と思っていい。lp^2は、縦横がプランク長の正方形の面積なので、面積の最小単位と思っていい。 だから、A/lp^2 は、ブラックホールの表面積を面積の最小単位で割ったものだから、ブラックホールの表面を覆い尽くす、面積の最小単位の「数」である! エントロピーが、可能なミクロな状態を全て数え上げた数であるということを考えると、この式は確かに、エントロピーのように見える。 ベッケンシュタインの思考実験を、サスキンドが、「計算すれば、フォトン一個(1ビットの情報を持つ)がブラックホールに飛び込めば、ブラックホールの表面積は、プランク長四方の面積だけ拡大することがわかる」と、超かっこいいことを言っていたので、僕も計算してみた。 ところがだ。 うまく計算が合わない。僕の計算だと、フォトンが飛び込むと、プランク面積の8倍だけ拡大することになってしまった。ボケているので、どっか間違っているのかも。 かっこいいところを見せようとして、こけてしまった。まあ、いいことにしよう。 いずれにしても、ブラックホールのエントロピーは、表面積の単位面積の数に比例する。(おいおい) 1ビットの情報を、白黒のコインで表そう。1ビットの情報を持つフォトンが飛び込むと、ブラックホールの表面にプランク長のマス目が一つ生まれる。1ビットの情報を持つコインが置かれると考えていい。 サスキンドは、これを、 Bit Coin と呼んでいた。

さくら 神田川・小滝橋

イメージ

ホーキングとベッケンシュタイン

イメージ
アインシュタインやフランケンシュタインは知っていても、ベッケンシュタインを知っている人はほとんどいないように見える。 ベッケンシュタインは、ブラックホールを舞台にアインシュタイン以来と言っていい重力理論の大きな革新に道を開いた物理学の天才である。彼は、ブラックホールがその表面積に比例するエントロピーを持つことを、最初に発見する。 ブラックホールは、不思議な天体である。宇宙人が宇宙船で太陽系を訪れたとしよう。土星には見事なリングがあるし、木星には目立つ「大赤斑」がある。地球は、大気圏を持った美しい水の惑星である。ただブラックホールは、真っ黒でなんの特徴も持たないように見えるのである。 ベッケンシュタインを指導していた物理学者のウィーラーは、これを「ブラックホールには毛がない」と表現した。髪型で人間を見分けるようにブラックホールを見分けることはできず、ブラックホールは、ハゲ頭だということ。 正確にいうと、ブラックホールは、質量(場合によっては、電荷と角運動量も)を持つのだが、それ以外の特徴(ディープラーニング風に言えば、「フィーチャー」だ)によっては区別できないのだ。温度さえもたない。ブラックホールは冷たいのだ。そういう意味では、ブラックホールのハゲ具合は、磯野波平(一本、毛がある)や彼の双子の兄弟磯野海平やオバQ(三本、毛がある)みたいなものだ。見事なハゲっぷりだ。 ただ、ベッケンシュタインは、考えた。 もし熱いガスの入ったボンベを、ブラックホールに投げ込んだとしよう。ブラックホールに三本しか毛がないのなら(ブラックホールを特徴づける物理量が三つしかないなら)、熱いガスの持っているエントロピーは、この宇宙からなくなってしまうことになる。それは、エントロピーの不可逆な増大を主張する熱力学の第二法則に矛盾する。それはおかしい。この矛盾を解決するには、ブラックホール自身が、熱力学の対象として、エントロピーを持つと考えるしかないと。 (こうした思考実験は、その後の量子重力理論や量子情報理論の発展を考えると、極めてユニークで重要ななものだ。それについては、別稿で。) ホーキングは、最初は、この発見を馬鹿にして、無視していた。ただ、彼は途中で考えを変える。(それは、悪いことではない) ホーキングが、際立った天才なのは、ベッケンシュタインが計算出来なかった、表面積とエントロピーの…

ありがとうございました

イメージ
弟の死に際して、沢山のお悔やみのメッセージ、アクション、ありがとうございました。 この半月ほど、ほとんど仕事をしていなかったのですが、昨日は一日、音楽を流しながら、論文を読んで、タバコを吸っていました。いつもの仕事のスタイルに戻りました。 仕事と言っても、自分で知りたいことを知ろうとしているだけなのですが。「知りたいことを知る」というと楽しそうですが、それは、「知らないことが沢山あることを知る」ことです。実は、それはそれで楽しいのです。 宇宙や量子情報について考えることも、社会や経済について考えることも、芸術について考えることも、生・老・病・死について考えることも、完璧な答えが与えられているわけではないという点では、同じだと感じています。 「謎」があること、疑問を持つこと、考えることは、今日のお金にはなりませんが、多分、いいことです。 組織に属さない個人として、それがかろうじて「仕事」になるのは、ネットやコミュニティのおかげだと思っています。(現実的には「絶滅危惧種」ですが、自分では「新種」だと思うことにしています。) あらためて、皆さんの、お心遣いに感謝します。









追悼 ホーキング

ペンローズが、教え子でもあり共同研究者でもあったホーキングの追悼文を、ガーディアン誌に書いている。"'Mind over matter': Stephen Hawking – obituary by Roger Penrose" https://goo.gl/HYJZEF

'Mind over matter' 「精神は物質の上に」 タイトルは極めつきにウェットだが、文体はドライで wikipediaのように客観的。「追悼文」と書いたが、obituary は、「死亡記事」だ。

Brain Pickingのマリア・パポーヴァ:"Stephen Hawking on the Meaning of the Universe" https://goo.gl/M4vA4R
ペンローズとは、対照的な追悼スタイル。彼女は詩人だからね。

スコット・アーロンソン:"Hawking" https://goo.gl/dHP3wR
毒舌家の彼にしては珍しくシュンとしている。"I read 'A Brief History of Time' as a kid and was inspired by it" ホーキングの本を子供の時に読んで、物理の道に進んだ人は多いはず。

ホーキングと同世代で論争相手だった、Bekenstein(一昨年死亡)やSusskindは、ホーキングに対して別の感慨を持つだろうと、ふと思う。

弟のこと

一昨日、3月13日、弟が亡くなりました。

僕の高校時代、弟はまだ小学生でした。僕が高校を出て東京に出たのと入れ違いに、弟は小学生から中学生になりました。6歳離れた可愛い弟でした。

可愛い小学生がそのまま大人になるわけはありません。弟は、東京の大学をすぐに中退して、東京・大阪・大分・仙台といろいろな仕事をしていました。1960年代末から1970年代にかけて、兄弟揃って疾風怒涛の時代に入ったわけで、両親は、当時、いろいろ苦労が絶えなかったと思います。

弟は、1982年、鍼灸師として故郷大館に帰ります。それ以来、ずっと両親と同居します。僕が稚内で働き始めたのは1987年で、父は翌年亡くなります。父の最後の看病をしたのは母と弟でした。

その母は、2年前に93歳で亡くなります。弟が母の介護から解放され、これからゆっくりできると思っていた矢先、母の四十九日の法要のあった日、ガンが見つかります。父と同じ食道がんでした。神がいるとすれば、気まぐれで残酷な仕打ちです。

弟は、祖母譲りか、ビジネスの才には恵まれていたと思います。途中から鍼灸から介護のビジネスに転進し、デイサービス事業で成功します。母は地域に初めて乳幼児保育園を作るのですが、弟は地域の老人介護サービスの先駆けでした。

人は誰も、生まれ、育ち、そして、老いて、死ぬわけですが、母はその前半を、弟はその後半を、地域で担当したことになります。僕がやっているITとかIT教育と言うのは、そうした人間の人生の自然な流れの中では、その意義は、明快さを欠いているように感じてしまいます。

弟は地域の活動にも積極的に取り組んでいました。大館市まちづくり協議会の会長をし、大館市教育委員長をつとめていました。60歳になった時に、全日本鍼灸マーサージ師会副会長をはじめ、公職を全て辞退したそうです。

弔問に沢山のお坊さんが訪れていました。青年会議所時代の付き合いだそうです。葬儀では、他宗の坊さんの飛び入りお経セッションが聞けるかもしれません。ただ、その付き合いの広さが、飲む回数を増やしてガンの原因を作ったのかもしれません。

進んだ道は違いますが、もともと頭の良い、ブラックですがユーモアのセンスのある弟でした。彼が、余命6ヶ月の宣告を受けた時のメールです。
------------------- 死を目前にしながら本来の自分を見失いかけている自分が可…

3月マルレク延期

誕生日に、沢山のメッセージと「いいね」ありがとうございました。 3月5日から、病気の弟の見舞いで、秋田大館に帰っています。モルヒネ・鎮静剤で痛みを抑えているのですが、日に日に弱っていっています。弟の最後を看取るまで大館に留まろうと思っています。 マルレク協賛のお願い等、いろいろやりかけの仕事があったのですが、ご迷惑をおかけすること、お許しください。 5月のマルレクは、5月22日 19:00から、DMMさんで開催予定です。3月予定のマルレクですが、4月に延期しようと思っているのですが、まだ時期も場所も確定していません。 病院と家の往復ですが、いつもと違う時間が流れているようです。「仕事」を離れたこういう時間には、いろんな気づきがあります。

誕生日

今日で70歳になります。seventyです。よく似ていますが、seventeenではありません。 いつも誕生日のたびに、ふざけた文章を投稿していたのですが、今年からやめることにしました。ちょっと周回遅れかもしれませんが、今年の目標は、「大人」になることです。 近況です。 これまで遊んでいながらでもできたことが、できなくなっているのを感じます。トップ・ランカーだった「キャンディー・クラッシュ」やめました。かわりに「数独」はじめました。 AlexaでSpotifyが呼べないので困っています。Google Play MusicやNMLナクソスは、最初から諦めていたのですが、Spotfyがダメだとは思っていませんでした。手動で「グローバル・ヒット Top 50 」聞いています 年相応に、健康に留意しなければいけないと思って、電子タバコに変えてみたのですが、電子タバコも無害ではないと言う記事を読み、電子タバコやめました。 マルレク+MaruLaboの「量子機械学習」系の活動の他に、次のようなことができればと思っています。 ・「知識表現と意味理解」研究会みたいなのを作りたいと思っています。本当は、一緒に「認知と推論メカニズム」といった研究会もあればいいと思っているのですが。 ・「数学」あるいは「数学の哲学」について語る場を作りたいのです。当面、単発の企画から始めようかと思っています。 ・可能であれば、才能のある若い人たちをエンカレッジする活動ができればと思っています。(「エンカレッジする」と言っている僕には、相変わらず、「お金」にも「権威」にも縁がないのですが。) 「大人」になった丸山、今年も、生暖かく見守ってください。

”Quantum machine learning" (2017年9月のNature論文)

先に、「Seth Lloydらの”Quantum machine learning" (2017年9月のNatureの論文)が良いまとめになっている。この論文は、有料だが、arXivで無料で読める。https://goo.gl/4Ngk1A 」と書いたのだが、どうも間違いだった。Nature誌の論文、手に入れていて気がついた。(ごめんなさい) 確かに、全く同名の、同じ著者による、近い時期に発表された論文なのだが、この二つは、別のものだ。(Natureに採録されるのに、pre-printとはいえ、同じ論文の投稿はまずいのかも。学会誌なら平気だと思うけど。) ただ、Nature誌の論文の方が、面白いかも。(格調が高いと言うか、包括的と言うか、わかりやすいというか。)こんな書き出しで始まる。 ------
我々がコンピュータを持つずっと以前から、人間はデータの中にパターンを見い出すために努力してきた。 プトレマイオスは、惑星の逆行運動を説明するために複雑な周転円をつかって、星々の運動の観測記録を宇宙の地球中心のモデルに適合させた。16世紀には、ケプラーが、コペルニクスとティコ・ブラーエのデータを分析して、太陽を楕円の焦点の一つとする、それ以前には隠されていた楕円軌道を明らかにする。 このようなパターンを明らかにするための天文データの分析は、線形方程式の解法(ニュートン - ガウス)、勾配降下法(ニュートン)・多項式補間(ラグランジェ)・最小二乗法(ラプラス)を通じた最適値の学習といった数学的テクニックを生み出した。
------ こうした歴史的視点は、重要だと思う。 新しい数学的な手法の開発なしには、データから特徴的なパターンを抽出することは難しかったと言うこと。 ガリレオ、ケプラーからニュートンに至る、いわゆる「科学革命」の時代は、文字通り科学の大変革期だった。科学革命の完成者としてのニュートンは、物理学だけではなく、数学にも革命をもたらした。(ライプニッツとの微積分学の「発見」をめぐる論争は、副次的だとおもう。) 「ビッグ・データ」と言うのは、データについての「量的な規定」に過ぎない。抽出されるべきfeature と言うのは、データの「質的な規定」だ。「データ・サイエンス」と言うけど、データは、いつも変わらず「データ」として観察者の目の前にあるわけではない。…

物理学と人工知能技術 -- Tensor Network の機械学習への応用

イメージ
アボガドロ定数 6.022 x 10^23は、1モルの物質の中に含まれる原子・分子の数で、物質によらず一定である。(1モルの定義は、今は、炭素12 12gをさすらしい。知らなかった) 一兆が、10^12だから、10g程度の小さな物質でも、一兆の一兆倍近い膨大な数の原子からなることになる。 プランク定数 6.626 × 10^(-34) は、光子のもつエネルギーと振動数の比例関係をあらわす比例定数である。こちらは、10のマイナス34乗のオーダーなので、めちゃくちゃ小さい。 アボガドロ定数の「大きさ」とプランク定数の「小ささ」は、我々が日常的に目にする「マクロ」な世界と、物質の基本的な運動を規定している「ミクロ」な量子の世界とは、隔絶といっていいほどのスケールの差があることを示している。 ただ、ミクロの世界とマクロな世界は、全く切り離されているわけではない。時には、ミクロな量子の振る舞いが、日常的なレベルで観察できる、奇妙な振る舞いを引き起こすことがある。 例えば、液体ヘリウムは、超低温状態で超電導・超流動の性質を示す。このことは、バーディーン、クーパー、シュリーファーのBCS理論で、電子等のフェルミ粒子が、凝縮してボース粒子の性質を示す(一つの系で、複数の粒子が同一の状態を示す)ことで説明される。凝縮系物性論は、こうした物質の新しい相を研究する。 現在でも、超電導技術は、リニア新幹線や医療でのMRIのように広く利用され、また、量子コンピュータでも基本的な要素技術として利用される。凝縮系物性論は、テクノロジーを大きく変える可能性を持つ、チャレンジングな分野である。ただ、現在では、高温超電導のような現象を、理論的に説明することはできない。 凝縮系物性論のターゲットとする領域を、「量子多体系」と呼ぶことがある。多体系の量子論的状態を明らかにするためには、粒子の数Nに対応して、(状態の数)^N の複雑な方程式をヒルベルト空間上で解く必要がある。 量子力学の誕生期のターゲットは、陽子一個、電子一個の水素原子から始まったわけだが、それとは、全然複雑さが違う。 N=10^23 (1モル程度と言うこと)だとしても、状態の数がたとえ10だとしても、その複雑さは、10^(10^23)にもなる。宇宙の素粒子の数が、10^90程度だというから、これを解くのは事実上、不可能である。 ただあ…

MaruLabo理事会あとの懇親会

イメージ
MaruLabo理事会あとの懇親会。老若男女。

斎藤くん、古川くんは、とても優秀です。

イメージ
今日は、10年前に一緒にコミュニティを作った友達と一緒です。 浦本 さんは「Cloud研究会」の事務局長、Noritsuna さんは「日本Androidの会」の事務局長。クラウドにしろAndroidにしろ、立ち上がりの時期のコミュニティは、楽しかったです。 昔、皆と一緒にカラオケに行った時、この二人、同時に同じ曲を選曲するというハプニングが。それ以来、ジムキョクチョーズのテーマソングは、爆風スランプの「大きな玉ねぎのした」です。 今日も「玉ねぎ」歌いました。この曲、若い男が女にダマされるという歌ですね。丸山が、「ダマされてる、ダマされてる」と合いの手を入れ、二人が悲しい曲を熱唱。 浦本さん、ノリツナさん、タイプ違うところあるけど、二人は「純情」な人だと思います。

量子機械学習について

このところ、量子コンピュータ(アニーリング型)をディープラーニングに応用しようという動きが、「再び」、活発になっているように思う。 Seth Lloydらの”Quantum machine learning" (2017年9月のNatureの論文)が良いまとめになっている。この論文は、有料だが、arXivで無料で読める。https://goo.gl/4Ngk1A
機会があれば、いつか紹介したいと思っている。 以前に紹介した、Preskillの "Quantum Computing in the NISQ era and beyond" https://arxiv.org/pdf/1801.00862.pdf
でも、このトピックは、キチンと取り上げられている。"6.5 Quantum deep learning"(まだ、翻訳していなかった。ごめんなさい。) 「再び」といったのは、もともと、アニーリング型の量子コンピュータへの注目は、ディープラーニングへの応用ができるのではという期待でドライブされていたからである。 2013年にGoogleとNASAがD-Wave-2のマシンを購入して共同で作った研究所は、"Quantum Artificial Intelligence Lab" 「量子人工知能研究所」だった。 (ロッキードが D-Waveのマシンを買ったのは、それより早い、2011年のことだ。) ちょうど、2012年に、爆発的なディープラーニング・ブームが起きた時期に、重なっている。ただ、華々しくスタートしたものの、「量子人工知能研究所」は、必ずしも、華々しい成果をあげたわけではないと思う。 それには、理由があった。 一つには、AaronsonやVarizaniといった、量子コンピュータ界の「切れ者」が、一斉に、D-Wave批判を展開し、激しい論争が起きたからである。「理論的」には、AaronsonやVarizani にかなうわけもなく、D-Wave側は防戦一方だったと思う。 (僕は、アーロンソンのファンなので、彼のことは、よく紹介している。バリザーニも大好きで、「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論」というのは、彼の講義のスタイルを踏襲したものだ。) この論争は、Aaronsonが、「大人」になって、D-W…

稚内、陸の孤島に

イメージ
昔の同僚のtweetから。今年の冬は、稚内にしても、なんかおかしい。 「稚内中心部は陸の孤島になりました。けっこう久しぶり、なはず。」 札幌がこうなったら、きっと全国ニュースになるのにね。

Amazon SageMaker と Ease of Development

イメージ
今日は、角川さんで、Amazon SageMaker ハンズオン。 課題の設定や準備で、色々反省がありました。 今日のショート・セッションでの僕の講演資料
「Amazon SageMaker と Ease of Development」です。ご利用ください。 https://goo.gl/BE7sDm

人間の「生物学的性」の多様性について

今年のGoogle IOで、Genderの質問への回答候補が6個もあることが、話題になっていた。昔、こんなに多かったかしら?  Man
 Woman
 Non binary/Third-Gender
 Prefer not to answer
 None of these options apply to me
 Optional self-description (enter below) 生物学的性と「社会的性」との違いとして理解している人は多いと思うのだが、ただ、新しい発見もある。 それは、「社会」のあり様とは独立に、「生物学的性」そのものが、極めて多様であるという発見である。 Natureの記事を紹介した、3年前(2015/02/19)の僕の投稿から。 ---------------
Natureの今日の記事 "Sex redefined (再定義された性)"http://bit.ly/1Lg2XTPが面白かった。 46歳の二児の母が、三番目の子供を妊娠して、羊水チェックを受けたのだが、胎児に異常はないことがわかる。ただ、DNA検査の過程で、母親の彼女の体細胞の大部分がXY染色体を持つことがわかる。つまり、彼女の体の大部分は、男性だったのだ。 一つ一つの細胞レベルの、XXが女性、XYが男性という区分は、無数の細胞からなる個体レベルの「性」とは必ずしも一致しないことがある。この論文の、主要な主張は、「性は、スペクトラムである」ということ。"The sex spectrum" という表を見ると、XY 男性と XX 女性の間に、7つの「性」があり、合計9つの性のタイプがあるとまとめられている。 解剖学的な性特徴と遺伝子的な性特徴が一致しないケースを、DSD(disorders of sex development)と呼ぶようなのだが、DSDの割合は、4,500人に一人だという。人口4万5千人の町なら10人。人口45万人の都市なら100人。人口450万の都市なら1000人がDSDであり得るということ。ただ、それは典型的なDSDのケースだけで、先の9つの性というスペクトラムで眺めれば、100人に一人は、典型的な男性でも典型的な女性でもない、他の7つの性に分類される可能性があるという。 この辺りは生物学的議論だが、論文の後半は、DSDの特…

マルレクをネットで見よう! --- マルレク支援のお願い

イメージ
1/24, 1/25開催した「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習 I」Round 2 のビデオ公開しました。https://crash.academy/class/207 公開した資料は、こちらにあります。
資料:https://goo.gl/1UqhU9
解答:https://goo.gl/Uib1PV * マルレクの資料は、無料で公開していますが、こちらは有料になっています。(冒頭部分は無料で視聴できます。)
丸山の活動支援として、ビデオを購入いただけると嬉しいです。基本的にマルレクと同様、一回 1,000円です。(今回は、2回分で 1,500円ですが) *マルレクは、IT 技術のグローバルな新しい波にフォーカスして、丸山が重要と考えるトピックについて、ベンダー・フリーな立場から、出来るだけ新しい情報を、出来るだけわかりやすく、出来るだけ多くの方に、伝えてていくことを目指しています。 マルレクは、皆さんの支援で、運営されています。企業・個人の協賛をお待ちしています。「マルレク個人協賛会員」のお申し込みは、こちらです。http://kokucheese.com/event/index/393124/ 「マルレク 2018」の開催概要は、こちらです。https://goo.gl/MRRLRT ------------------------------------
以下のマルレクがネットで見れます
------------------------------------ 2018/1/24, 1/25「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論基礎演習 I」
動画:https://crash.academy/class/207
資料:https://goo.gl/1UqhU9
解答編+「ketのレシピ」:https://goo.gl/Uib1PV 2018/1/15「ボイス・アシスタントから見るAIの未来」
動画:https://crash.academy/class/203
資料:

2/24ハンズオンでの実習課題の一部変更について

今回のハンズオンでは、次のような実習課題をあげていました。 「Androidで動く(Androidがない方は、WebブラウザからアクセスできるWebアプリを作ってもらいます)画像認識アプリを作ってもらおうと思っています。」 二つの異なる課題をあげたのには、Androidの開発環境は無料ですが、iOSの開発環境は有料であることが背景にありました。 ただ、課題が、参加者によって異なるというハンズオン運営上の問題に加えて、Androidでのアプリ開発には、かなりの実習時間と説明が必要になるだろうという判断に至りました。 申し訳ないのですが、今回のハンズオンの課題から、Androidでのアプリ開発を削除したいと考えております。SageMakerで作成したサービスを、ブラウザー上で確認するという簡便な方法に切り替えたいと思っています。ご了承ください。 なお、デバイス上でのアプリ開発については、ディープラーニングに対応した開発者向けビデオカメラDeepLens でのデモを予定しています。 また、Androidでのアプリ作成を削除した時間を調整して、「SageMakerとEase of Development」と言う短いセッションを追加しようと思っています。 SgeMakerと出来合いのモデルの利用によって、機械学習・深層学習のサービス開発は大幅に簡略化できるのですが、それでも、  ・どのモデルを選ぶのか?
 ・そのモデルのパラメーターをどう調整するのか? と言う問題は、なくなるわけではありません。そのあたりの話をしようと思っています。 まだ発売されていないDeepLensですが、そのデモは、面白いと思います。(残念ながら、一個しか手にはいりませんでした。) お申し込み、お待ちしています。
https://lab-kadokawa45.peatix.com/