図を文章で説明する

【 図を文章で説明する 】

カテゴリー論で使われる図式は、基本的には、オブジェクト間の関係を射(矢印)で表したものです。

ある図式が可換である(commuteする)というのは、図形上の射を合成したものが、図形上の他の射と等しくなることを言います。図形上の射の合成は、連続して繰り返して行われるかもしれません。

矢印でいえば、図形上の矢印のつながりを追いかけていき、それが図形上の他の矢印に等しくなる時、その図形は可換だと言います。

図形の説明を文章で説明するのは難しいですね。でも、少しやってみましょう。(図で表現すれば一発でわかることを、わざわざ文章で説明しています。)

可換な図式が定義される一番簡単な例は、射の合成が一回だけのもの、合成される二つの射とそれと等しいとされるもう一つの射がある場合、都合三つの射からなる図形の場合です。

A, B, Cを頂点とする三角形があって、AからBに向かう矢印を f, BからCに向かう矢印をg, AからCに向かう矢印を h とします。

この例の場合には、矢印をたどって AからCに行くには、二つ方法があります。一つは、矢印hを使って直接 AからCに向かう方法と、矢印 f, g をたどって  B経由で Cに向かう方法です。二つの方法どちらを選んでも、AからCに到達できます。

これを、矢印 f と矢印 g の「合成」は、矢印 h と「等しい」と言います。こうした時、三角形ABC(矢印を含んで)で表される図形は「可換」だと言います。

図で書けば(あるいは図をイメージすれば)、何を言っているのかすぐにわかるはずです。

何やっているんでしょうね。(図を使わないで、図的な関係を説明しようとしています)

注意してほしいのは、この文章による説明は、可換な三角形の一つの例を、くだくだと説明しているだけで、可換な三角形を全て尽くしているわけではないということです。全部の場合を文章で書くのは、かなり面倒です。

ただ、図をみれば、他の可換な三角形は、どういうものかすぐに理解できます。不思議です。

今回のセッションでは、可換な図式を、いくつか紹介します。もちろん図付きで。

問題は、それからです。可換な図形が何を表現しているか、少し詳しくみてみようと思います。




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