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ショートムービー「天空に「二重丸」を探せ!」を公開しました

【 ショートムービー「天空に「二重丸」を探せ!」を公開しました】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第九弾「天空に「二重丸」を探せ!」公開しました。お楽しみください。https://youtu.be/mvPQJXhf_tQ?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 セミナーは、今週末です。セミナーのお申し込みは、次のページからお願いします。https://science-entropy.peatix.com/ 資料は、次のページからアクセスできます。 https://www.marulabo.net/docs/science-entropy/ ペンローズの宇宙論は、「サイクリック宇宙論」です。現在の宇宙の前に、その前身の別の宇宙があって、その宇宙にもまたその前身があって、その宇宙にもまたその前身があって..... というのがずっと続くという宇宙論です。 何を証拠にそんなことがいえるのか首をかしげたくなった人が多いかもしれません。でも、彼は、少なくとも、直前の宇宙が存在していたことは、現在の宇宙に残された痕跡で実証できるはずだと考えます。 彼の主張はこうです。 「前の宇宙で、巨大なブラックホールの衝突があったとしよう。」 ここで彼のいうブラックホールは、恒星起源のブラックホールでも銀河系中心のブラックホールでもありません。もっと巨大ブラックホールです。そのうち、僕らの天の川銀河とお隣のアンドロメダ銀河は衝突して、二つの銀河の中心にあったブラックホールは、一つに合体するのですが、そうした過程を繰り返して形成される、ある意味、宇宙規模の巨大なブラックホールが衝突するというお話です。 「その時、巨大なエネルギーが重力波として放出される。」 我々は、すでに、重力波で宇宙を観測するようになっています。ただ、そこで観測しているのは、とても微弱な「さざなみ」のような重力波です。ただ、彼のいう巨大ブラックホールの衝突が放出するのは、宇宙の何分の一かの質量を全てエネルギーに変えるような、破壊的な「つなみ」です。 それにしても、そんな驚天動地の大厄災が起きたとしても、それが「前の宇宙」の出来事なら、今の我々には関係ないのでは? でも、そうじゃないと彼はいいます。 「今の宇宙ができるビッグバン

ショートムービー 「イメージで見る「スケール変換」」を公開しました

【 ショートムービー 「イメージで見る「スケール変換」」を公開しました】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第八弾「イメージで見る「スケール変換」」公開しました。お楽しみください。https://youtu.be/umPimAJ-3mA?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 セミナーは、今週末です。セミナーのお申し込みは、次のページからお願いします。https://science-entropy.peatix.com/ ペンローズは、宇宙の始まりの「無限小」と宇宙の遠い未来の「無限大」について、次のように考えました。 「無限小」のものを有限のものに拡張するスケール変換と、「無限大」のものを有限のものに圧縮するスケール変換が存在すれば、以前の宇宙の最後の姿の「無限大」を現在の宇宙の始まりの「無限小」とを滑らかに接続することができるはずだと。 ペンローズは、”Cycles of Time”の中で、無限大を有限なものに圧縮し、無限小を有限なものに拡張する Conformalなリスケーリングを構成し、さらに、旧宇宙から新宇宙へのクロスオーバーの時に、何が起きるかについて、詳しく述べています。 それは、”Cycles of Time”の本文ではなく、そのAppendixに概要が示されています。次の二つのAppendixです。  ● Appendix A: Conformal rescaling, 2-spinors, Maxwell and Einstein theory  ● Appendix B: Equations at crossover ただ、この二つのAppendixでの展開は、理解するのが少し難しいのです。今回のセミナーでは、そこに立ちいるのは、やめることにしました。 その代わり、無限のものを有限なものに移すという、ペンローズの宇宙論の仕掛けの中核のconformal mapのイメージを、身近な例でいくつか提供したいと思っています。 まず、最初に確認したいのは、conformal mapというのは、なにもペンローズが最初に発明したものではないということです。それは、古くから研究されてきた、数学的には、由緒正しいものです。 特に、複素平面の上半面(虚数部がゼロまた

ショートムービー 「永遠と一瞬、無限と有限 -- ペンローズの宇宙論」公開しました

【 ショートムービー 「永遠と一瞬、無限と有限 -- ペンローズの宇宙論」公開しました】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第七弾「永遠と一瞬、無限と有限 -- ペンローズの宇宙論」公開しました。お楽しみください。 https://youtu.be/dGafXmfL0pg?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 昔、Javaのコミュニティに参加していたのですが、その時、コミュニティのイベントに、"CCC"という名前をつけたことがありました。今回紹介するペンローズの宇宙論も、"CCC"と名付けられています。まったく関係ない話ですね。 ペンローズの"CCC"は、"Conformal Cyclic Cosmology"の頭文字を取ったものです。 質量のある粒子は、光円錐の内側を通ります。光円錐の内側には、その「時空」の性質を決める「計量」が定義されています。それに対して、Conformalな構造というのは、質量のない粒子がその表面をたどる光円錐そのものの構造を指します。そこでは、光円錐の内側の構造には、興味がありません。 ペンローズの宇宙論は、宇宙の生成・発展・消滅が周期的に繰り返されるという「サイクリック宇宙論」です。それにしても、Big Bangからほぼ「永遠」の時間の後に、ほぼ「無限大」に広がった宇宙で、ある「無限に小さな」一点から、ほぼ「一瞬」のうちに、また新しい宇宙が生まれるというのは、どこか不自然です。 宇宙が生まれた「一瞬」と宇宙の遠い未来まで続く「永遠」。 宇宙が生まれた「無限に小さい」一点と宇宙の遠い未来での「無限大」に広がった宇宙。 「一瞬」と「永遠」、あるいは「無限小」と「無限大」といった、相互にまったく隔絶した姿で宇宙を見ていたら、以前の宇宙からその後の宇宙の、繰り返しの連続的発生をうまく説明できません。 ペンローズは、こう考えます。まず、「永遠」と「一瞬」について。 これは、我々には、大きな問題のように見えるが、光円錐上を光速で移動するものにとっては、何の問題にもならない。なぜなら、彼らには、「永遠」と「一瞬」の区別は存在しないと。 宇宙の始まりの「無限小」と宇宙の

ショートムービー「光子が見る宇宙の姿」公開しました

 【 ショートムービー「光子が見る宇宙の姿」公開しました 】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第六弾「光子が見る宇宙の姿」公開しました。お楽しみください。 https://youtu.be/It4vNwQ_CnI?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 前回の「変化を続ける我々の宇宙」では、宇宙の始まりと宇宙の遠い未来では、宇宙の姿が全くといいほど変わっているという話をしました。一方は、超高温・超高密度・超高エネルギー、他方は、超低温・超低密度・超高エントロピーですから。 ただ、最後に、両者には意外な共通点があることものべました。それは、両者ともに、「質量のない粒子の世界」であるということです。 今回は、その共通点を、もう少し突っ込んで、質量のない粒子である光子の目から、宇宙がどのように見えるかを考えます。もちろん、時間さえ知らない光子に、目がある訳では無いのですが。 アインシュタインの有名な一般相対論は「重力の理論」ですが、相対論の始まりは重力のない特殊相対論でした。いずれの相対論にも共通するのは、時空の各点に「光円錐」を置くというアイデアです。 重力のない時、「光円錐」は、時空の各点に「一様」に置かれています。重力がある時、「光円錐」は、バラバラの向きに「非一様」に置かれます。それは、重力の作用で空間が歪んだからとイメージしてもいいのですが、正確には、こうした「光円錐」の分布こそが重力の源なのです。いずれの場合でも、相対論は「時空の理論」です。 重力があろうとなかろうと、質量のある粒子は、必ず「光円錐」の内側を移動します。それに対して、質量のない粒子は、重力があろうとなかろうと、必ず「光円錐」に沿って移動します。 このことは、宇宙の始まりだろうが、宇宙の遠い未来だろうが、光子にとっては、宇宙は同じようなものに見えることを意味します。 続きは、YouTubeで! pdfの資料は、次のページからアクセスできます。 https://www.marulabo.net/docs/science-entropy/ セミナーのお申し込みは、次のページからお願いします。 https://science-entropy.peatix.com/

ショートムービー「変化を続ける我々の宇宙」公開しました

【ショートムービー「変化を続ける我々の宇宙」公開しました】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第五弾「変化を続ける我々の宇宙」公開しました。お楽しみください。 https://youtu.be/Nkp6KPN0FX8?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 今日のショートムービーは、短いです。5分で終わりますので、ぜひ、ご覧ください。 これまでの中間的なまとめと、次の転換へのステップの予告です。 我々の宇宙は、年齢と共にその姿を変えています。そうした宇宙観は、ニュートンもカントも、おそらくはアインシュタインも持っていなかったものです。 もちろん、我々の目には、宇宙が変化していることを感じることは難しいかもしれません。それは、我々の日々の日常が、あまり変化しないように思われるのと少し似ているかもしれません。ただ、我々の日常が未来永劫続くと考える必要はありません。もっとも、我々の「変わらぬ日常」や「波乱万丈の生涯」より、宇宙の方が安定しているのは事実です。 今回は、宇宙の変化をわかりやすく把握するために、一方では宇宙の始まりに遡り、もう一方では、宇宙の遠い未来の姿を考えて、それを比較します。 宇宙の始まりのBig Bangは、  ・超高温  ・超高密度  ・超高エネルギー の世界です。 一方、遠い宇宙の未来は、  ・超低温 (≒ 絶対零度)  ・超低密度 (密度≒ ゼロ)  ・超高エントロピー の世界になると考えられています。 なにからなにまで真逆の世界です。 ところが、それにもかかわらず、二つの世界には意外な共通点があります。 それは、この二つの世界を構成しているのは、主要には、質量のない光子だということです。ビッグバンを強烈な光の爆発とイメージしても構わないのですが、宇宙の終わりの最大級のイベントは、ブラックホールの蒸発です。ブラックホールは、光に変わります。 彼らは、空間を移動しますが、時間を知りません。 それがどういう意味を持ちうるかについては、次回以降に! pdfの資料は、次のページからアクセスできます。 https://www.marulabo.net/docs/science-entropy/ セミナーのお申し込みは、次のページからお願いします。 http

ショートムービー「宇宙を旅する光子の物語」公開しました

 【 ショートムービー「宇宙を旅する光子の物語」公開しました】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第四弾「宇宙を旅する光子の物語」公開しました。お楽しみください。https://youtu.be/1mSSlal1gOQ?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 宇宙を旅するのは、光子(こうし)で、光子(みつこ)さんではありません。今回は、宇宙の至る所に偏在する光の話です。 我々に一番身近な光は、太陽が地球に降り注ぐ光です。 宇宙から見た地球は、青く美しい星ですが、地球が発する光は、基本的には、太陽の発する光の反射です。宇宙は、星々を除けば、ほとんど暗黒です。地球の近くでは、宇宙の暗黒の一点を、光り輝く太陽が占めています。それには、我々にとって大事な意味があります。 もしも、太陽と地球のシステムが、高エントロピーの「熱的平衡状態」にあったとすれば、地球上の生命は、太陽のエネルギーから、生命に役立つエネルギーを汲み出すことはできなくなります。 そのことをシュレジンガーは、「生物は、(熱的)平衡への衰退を回避している」と表現しました。生命現象を、エントロピーの関係で特徴づけたのは、彼が初めてです。慧眼です。 地球に降り注ぐ太陽からの光について述べましたが、太陽は宇宙に存在する無数の恒星の一つに過ぎません。その恒星系に生命が存在すると否とにかかわらず、恒星は、無数の光子を宇宙に送り出しています。 宇宙には、無数の光が飛び交っています。ビッグバンの直後に生みだされた光子を観測したものが、「宇宙マイクロ波輻射」です。137億年前に発せられた光を、我々は、目にしているのです。 宇宙の遠い未来(10^99年後)に、ブラックホールがホーキング輻射で蒸発するというのですが、ブラックホールからは光子が飛び出して、それは光に変わるのです。 以前に、「宇宙が終わるまでには、途方もない時間がかかる」と書きました。人間にとっては、ほとんど「永遠」といって時間がかかります。また、それは耐えられないほど「退屈」だろうとも書きました。 ただ、それは人間にとっての話です。光速で運動する光子にとっては、宇宙の終わりまでの様子は、全く変わったものになります。 宇宙を旅する光子は、何億光年の空間を移動しようと、全

ショートムービー「宇宙の始まりの「前」と 宇宙の終わりの「後」」公開しました

【 ショートムービー「宇宙の始まりの「前」と 宇宙の終わりの「後」」公開しました】 7月17日開催 マルレク 楽しい科学「宇宙と生命と知性とエントロピー」に向けたショートムービー第三弾「宇宙の始まりの「前」と 宇宙の終わりの「後」」公開しました。お楽しみください。 https://youtu.be/n6Op4eqru3A?list=PLQIrJ0f9gMcPgRVThfw4w9WeDcdlweIV3 これまで、「宇宙の終わり」の話をしてきたのですが、今回は、「宇宙の始まり」の話をします。もう少し踏み込んで、「宇宙の始まりの「前」と 宇宙の終わりの「後」」の話をしようと思います。 宇宙が、137億年前に突然起きたBig Bang で始まったことは、今では、多くの人が「知って」います。でも、それって、本当は不思議だと思いませんか? なぜって、Big Bangによって、時間と空間が生み出されるのであって、Big Bangの前には、時間も空間も存在しないというのですから。 哲学者のカントは、時間と空間に(それは「宇宙」と考えてもいいのです)、始まりがあると考えても、終わりがないと考えても、どちらの考えも正しいのに、二つの考えを合わせると矛盾すると考えました。それは、それで正しいように思います。 「宇宙はBig Bangで始まった」と教えられたことを、そのまま正しいと思い込むより、突き詰めて考えたら、矛盾に陥ったとしても、それはそれで意味のあることだと、僕は思います。 今回は、僕らの宇宙がBig Bangで始まる「前」に、僕らの宇宙と何らかのつながりがある、もう一つの宇宙があるのかもしれないという宇宙論を紹介します。この宇宙論では、僕らの宇宙が終わって、何もなくなったた「後」に、僕らの宇宙と何らかのつながりがある、もう一つの宇宙が生まれるかもしれません。 宇宙が、生成・発展・消滅を繰り返すという宇宙論を、「サイクリック宇宙論」といいます。去年ノーベル賞を取った、ペンローズの宇宙論は、そうした「サイクリック宇宙論」です。 もう一つ。小さなことですが、宇宙が生成・発展・消滅する場、あるいは宇宙達の集まりを、"Aeon (イーオン)" と呼びます。あのスーパーのイオンと、多分、語源は一緒です。Aeon自身は、我々が住む宇宙の時空とは独立です。 面白いのは、Aeo