自然
この前、5月なのに、サロマで39.5度になったりして、北海道のこと、ちょっと心配している。 6月末には、サロベツ原野にいっせいにエゾカンゾウの花が咲く。見事なものだったのだが、このところパッとしない。湿原が乾燥化して、ササが侵入しているのだ。 乾燥化は、異常気象のせいというより、牧草地が拡大し用水路が整備されて水の流れが変わり、湿原の水位が下がったことが影響しているらしい。 都会から来た人は、どこまでも続く緑の牧草地をみて、「すごい、大自然!」と感激する人も多いのだが、花いっぱいのサロベツ原野をみて欲しかったと思う。牧草地は、本当は「自然」ではないのだから。 まあ、それでも、「全部が、ゴルフ場みたいだ!」といわれるよりは、ましだと思う。(意外と多い。ビジネスマンに。) 連休中に、稚内に帰って、ペンケ・パンケで、数万羽の(ごめん。数えてはいません)鳥の群れを見て、すごい! みんなにも見せたいと思った。一瞬、観光資源になると思ったのだが、多分、無理だと気が付いた。だって、僕一人が近づいても、何千羽が逃げ出すのだから。 地元紙の記事で、僕の家の近くの「大沼」にも、今年は白鳥が三万数千羽飛来したことを知った。昔はここに白鳥なんかこなかった。「白鳥おじさん」という人がいて、彼が大沼で地道に餌付けをしていた。 でも、「白鳥おじさん」の努力のせいだけでないと僕は思う。 かつて稚内市は人口6万を超えていた。今は、三万数千に減少している。今に、人口が飛来する白鳥の数より少なくなるのかもしれない。(昔から、牛の数には負けていたのだが。) 過疎が進むと、自然が戻るのだと思う。 サロベツを脅かすササの話に戻ろう(牧草地のことはおいておいて)。宗谷地方には、高い木がない。100年ぐらい前に、大きな山火事があって、森が全て失われ、ササが跋扈するようになったらしい。 昔、稚内の大学にいた頃、北大の演習林の人たちと仲良くなって、シュマリナイの演習林の施設で講演をしたことがある。そこで聞いた話が面白かった。(そこでご馳走になったコイ料理もうまかった。シュマリナイ湖は人造湖で、コイも養殖している) 「先生、今は、ササが圧倒的に勝っているように見えますが、時間が経てば、ササは木には負けるんです。300年もすれば、鬱蒼とした森林が復活します。」 そ...