3/25 マルレク「量子コンピュータをやさしく理解するための三つの方法」

3月25日、DMMさんで「量子コンピュータをやさしく理解するための三つの方法」というセミナーを開催します。マルレクです。
この間、同時並行的に「紙と鉛筆で学ぶ量子コンピュータ入門」(2/23終了)、「量子コンピュータで学ぶ量子プログラミング入門」(3/23開催)と、量子コンピュータ関係の6時間の演習コースを展開しているのですが、こちらは、量子コンピュータに興味を持ちはじめた人を対象にした、コンパクトな2時間のセミナーです。
量子コンピュータを難しく感じている人は多いと思います。それにはいろいろな理由があるのですが、このセミナーで伝えたいことは、おもに二つあります。
一つは、量子の世界の理解が難しい本当の理由は、量子の世界がとても不思議な世界であるということにつきます。セミナーでは、その不思議さを伝えたいと思います。これについては、不思議だが自然はそうなっているんだと納得するしかないように思います。それが出発点です。
もう一つは、それではそうした不思議さに、どう向き合うかということです。ビジネス志向で量子コンピュータに関心を持ってもらうのも結構ですが、残念ながら、まだまだ市場が成熟している訳ではありません。ビジネス志向だけだと、現状にきっとがっかりします。僕が考えているのは、そこには「知的好奇心」が必要だということです。
むしろ重要なことは、ビジネスが成熟して多くの人が参入できるまでの時間的猶予があるということだと考えています。その間に、それぞれが準備すればいいのです。きちんと時間をとって勉強しなければなりませんが。
幸いなことに、こうした状況を反映して、量子コンピュータをわかりやすく理解するための方法が、いろいろ模索されています。セミナーでは、それらの試みから、次の三つを紹介します。
一つ目は、Terry Rudolph の、PETEという不思議な箱の振る舞いを通じて、量子の世界を考えさせるアプローチです。彼の紹介している量子ゲームは、どう考えても勝てないはずなのに、PETEを使えば、テレパシーを使ったみたいに勝てるという不思議なものです。
二つ目は、Umesh Vazirani らの、量子論の前提を簡単に整理して、そこから高校生程度の数学で、量子の振る舞いを理解するというアプローチです。僕の「紙と鉛筆 ... 」のシリーズは、彼の方法にインスパイアされたものです。「マッハ・ゼンダー干渉計」での光の不思議な振る舞いも、これで理解できます。
三つ目は、数式を使わずに、String Diagram という図形を使って、その直感的な変形操作で、量子の振る舞いを理解させようというBob Coeckeらのアプローチです。特に、彼がフォーカスしている、「量子テレポーテーション」の説明は、とても興味深いものです。
僕は、基本的には、第二の方法推しなのですが、量子コンピュータをやさしく理解するためのいろいろなアプローチを知ることは、量子コンピュータの理解にきっと役にたつと思います。
量子コンピュータに興味を持つ、多くの方の参加をお待ちしています。

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