Transpose とcup, cap

【 Transpose とcup, cap 】

cupは入力を出力に、capは出力を入力に反転させる操作です。この操作を適用すると、たとえばcapを使えば、入力をもたず二つの出力のみをもつ「二部状態」は、一つの入力と一つの出力を持つ「プロセス」に変換されます。こうして、「状態」と「プロセス」は、一対一に対応することが示せます。

今度は、入力Aと出力Bをもつプロセスf への、cup, cap の適応を考えます。入力Aにcupをつなげ出力Bにcapをつなげば、プロセス f は、入力Bと出力Aをもつ新しいプロセスに変換されます。こうしてできたプロセスを、f の「Transpose」と言います。

Tranposeは、線形代数ではおなじみの概念ですね。それは、行列の行と列を入れ替えて「転置」行列を作る操作です。転置行列を習ったときに、それがエンタングルメントと関係があると思った人は、誰もいなかったと思います。

ところが、そうじゃないんです。

cupはエンタングルメントを表します。yanking等式によれば、capはcupの逆変換です。プロセス fのTransposeがcupとcapで表せるということは、実は行列の転置も、エンタングルメントの言葉で表現できることを意味します。

エンタングルメントは、なにか現実とはかけ離れた奇妙な概念ではなく、我々のごく身近なところに存在しています。ただ、我々は、それが数学的にも物理的にも基本的なものであることに気が付かなかっただけなのです。

今回から、プロセスをあらわす箱の形が少し変わりました。長方形の角を切り落として台形になりました。このノテーションも秀逸です。図形的には、Transposeは、図形を 180度回転させることに対応するのですが、長方形だと回転前と回転後の区別つきませんからね。

なんと、Transposeは、プロセスが cupの谷あるいはcapの山をこえることを表現していることがわかります!

今回のセミナーでは、図形の「回転」としてTransposeを解釈したのですが、水平方向あるいは垂直方向に鏡をおいて、その鏡像反転として新しい図形を考えることができます。その解釈については、また別の機会に触れたいと思います。

ショートムービー「Transpose 」を公開しました。
https://youtu.be/mMywPckI2bw?list=PLQIrJ0f9gMcPSp_fL7-LZW0yOwYXyvXtb

スライドのpdfは、次からアクセスできます。
https://drive.google.com/file/d/1m-2FHIWME5wFSBx_4Fna45bw18fvIyE5/view?usp=sharing

このシリーズのまとめページは、こちらです。ご利用ください。https://www.marulabo.net/docs/category01/

セミナーのお申し込みは、次のページからお願いします。
https://string-diagram.peatix.com/

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