関数は関係の特殊な場合である 

 【  関数は関係の特殊な場合である 】 

ここでは、関数だけでなく関係もDiagramで表現されることを学びます。 

x = 2y+1 とか、z <  x+ y という式で、'=' とか  '<' という記号は、左辺と右辺の「関係」を表しています。もちろん、それが表しているのは、'=' だったら「左辺と右辺は等しい」という関係で、 '<'  だったら「左辺は右辺より小さい」という関係です。

x と y との間に、Rという関係がある時、それを "x R y" で表すのは、よく使われる関係の表現法です。

ただ、関係には、別の表現の仕方もあります。

   x R y <==>   ( x, y ) ∈ R

x < y という関係が Rだとしましょう。x < y  が成り立つ点は、原点を通る y = x  という直線の上にある領域すべてです。この領域をRとすれば、( x, y ) ∈ R なら、すなわち、 (x, y) で表される点が領域 R に含まれるなら、x < y という関係が成り立つことは、すぐわかります。

この関係の表現を使うと、x ∈ X、y ∈ Y とすると、集合 X と 集合 Y との関係 R は、

   ( x, y ) ∈  X × Y

の形で表される事がわかります。関係 Rは、集合 X × Y に含まれます。

関係の表現には、もう一つのやり方があります。

a R b、すなわち (a, b) ∈ R の時、R(a) で (a, b) ∈ R を満たす全てのbの集合を表すやり方です。

  𝑅(𝑎) ≔ { 𝑏 | (𝑎, 𝑏) ∈ 𝑅 }

この R(a) は、引数 a を取る関数のようにも見えますが、関数ではありません。関数なら、R(a)の取る値は一つだけですが、このR(a)の値は、複数の値からなる集合です。R(a)の値は、一つには定まらないのです。

プロセスとしての関係の表現には、関数に似たこちらのスタイルが使われます。

関係についても、二つの関係 P,  S の直列合成と並列合成が可能です。詳しくは、ビデオを参照ください。

関数と関係については、次のことが言えます。

 ・関数も関係も、システム・タイプは集合である。関係のシステム・タイプは、関数のシステム・タイプを含んでいる。

 ・関数は、関係の特別のケースである。

 ・関数の直列合成は、関係の直列合成の特殊ケースである。

 ・関数の並列合成は、関係の並列合成の特殊ケースである。

結局、関数のプロセス理論は、関係のプロセス理論に含まれることになります。


ショートムービー「プロセスとしての「関係」」を公開しました。

https://youtu.be/DnI2ubMS8IE?list=PLQIrJ0f9gMcPSp_fL7-LZW0yOwYXyvXtb

スライドのpdfは、次からアクセスできます。https://drive.google.com/file/d/1hFViXV7qKvSXadakWhZwxulQkWKncMY8/view?usp=sharing

このシリーズのまとめページは、こちらです。ご利用ください。https://www.marulabo.net/docs/category01/

セミナーのお申し込みは、次のページからお願いします。
https://string-diagram.peatix.com/

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