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4月, 2018の投稿を表示しています

「楽しい数学」第一回開催さる

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今日の「楽しい数学 -- MaruLabo 数理ナイト」の様子です。今後の参考にしますので、参加された方、感想などを書き込んでもらえると嬉しいです。 今日の講演資料はこちらです。ご利用ください。 https://goo.gl/cyaby3 数学者の佐藤文広先生が、聞きに来てくれました。打ち上げにも参加してもらいました。(三枚目の写真、左側一番奥)いつか、先生招いて「数理ナイト・スペシャル」でもできればと思っています。

コンビニ弁当配達サービス

恥ずかしながら、いい年をしているのに、食生活はコンビニに依存している。セブン・イレブンがなければ、飢え死に必至である。 この前、「セブン・ミール」というサービスを初めて使って見た。「Uber イーツ」と同じような食べ物をうちまで届けてくれるサービスである。日本じゃUber乗ったこともないし、Pizza Hutの出前は高いし、毎日、出前を頼むのもちょっとなと思っていた。 ただ、セブン・イレブンが、弁当を届けてくれるとなると、コンビニ弁当好き(好きかはわからないのだが。本当は、僕は、フレンチが好きなんだけど。と、説得力のないことをいってみる。)としては、なぜか、心理的抵抗は低い。 ドア・ベルがなって出てみると、バングラディッシュの若者が立っていた。僕の部屋を訪れた最初の外国人だ。受け取ったのは、普通の「コンビニ弁当」だった。自分で頼んだのだから、当たり前なのだが。でも、ちょっと新鮮な気分。 弁当を食べながら考えた。 外出が困難になった老人に、外国人の若者が食べ物を届ける。日本は、そういう時代になっているんだなと。 でも、まてよ。これでいいのか? 多分、よくない。ただでさえ面倒臭がりで、外に出るのもおっくうで、ベッドでねたまま講演スライドをつくり、唯一の健康法は、タバコを買いにコンビニまで歩くことだというのに。 お腹がいっぱいになると、少しは高尚なことを考えられるのかな。これ以上、「寝たきり」状態を続けるのはよくない。このサービスつかうのは、やめよう。ぐうたらな僕としては立派な決心だ。 そのはずだったのだが。 腹がへってくると、高尚さは少しなくなるみたい。僕の場合だが。一週間もしないうちに、また、コンビニ弁当の配達を頼んでしまった。 ドア・ベルがなって出てみると、なんと、立っていたのは、僕より年上にしか見えない(違っていたらごめんなさい)おばあさんだった。 「老老介護」かよ! コンビニ弁当配達問題は、日本の老人問題の縮図なのかもしれない。 それはいい。(本当は良くないかも) 問題は、おばあさんが持ってきたのが、僕が頼んだ「ホイコーロー弁当」ではなく、その「材料」だということ。あわてて、ネットを見ると、「セブン・ミール」には、弁当の他にお惣菜の食材を配達するサービスがあるのだ。多分、僕の注文間違い。 突然、僕は

古川くんのお誕生会

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古川新 君のお誕生会二次会。@ Hideya Kawahara さんと一緒です。川原さん、MaruLaboにジョインしました。老壮若の三世代トリオ。老は別にして、川原+古川のペアは、なかなか強力です。 連休明け、このMaruLaboの三人とAWSの松尾さんとで、SageMaker + TensorFlow Hub + TensorFlow.js + PWA のハンズオンやります。内容を一新しました。有料ですが、面白いと思います。是非、いらしてください。 https://lab-kadokawa50.peatix.com/

山賀さん宅の飲み会

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今日は、エバンゲリオンのガイナックスの  山賀 さん宅で飲み会。  昌谷 さんの企画。いろんな人といろんな話をする。 山賀さん、先日まで、京都の禅寺の大徳寺で襖絵を書いていたという。 その様子は、明日(21日)のBS プレミア?で放送されるらしい。

ランベックとカテゴリー文法

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ランベックは数学者で、60年近く昔の1950年代に言語学で重要な働きをする。ちょうどチョムスキーが活発に活動を始めた時期だ。彼は「ランベック計算(Lambek calculus)」という手法を導入して、「カテゴリー文法」という分野を作り出した。 ただ、ランベック自身は、その後長いこと言語学から離れていたのだが、晩年(彼は、2014年に死去する)に、また言語学に関心を寄せる。2008年の "From word to sentence: a computational algebraic approach to grammar"  https://goo.gl/b2DbFD  は、その時期の代表的な著作だ。 カテゴリー文法というと、先日紹介した「応用カテゴリー理論 ACT」のように、文法理論に数学のカテゴリー理論を適用したものと思うかもしれないが、実は、違うのだ。(もっとも、現在では、数学のカテゴリー理論の側からの、カテゴリー文法へのアプローチは、活発に行われている。それについては、後日に、紹介する。) カテゴリー文法でいう「カテゴリー」というのは、古い文法でいう「品詞」という分類を、さらには、最初期のチョムスキーの句構造解析での諸範疇を、文は語から構成されるという観点から、拡大したものだ。 例えば、「文(S)は、名詞句(NP)と、それに続く動詞句(VP)から成る。」とか「名詞句は、限定詞(Det)と、それに続く名詞(N)から成る。」という文法規則で、S, NP, VP, Det, N は、カテゴリーである。 ただ、それだけだと、句構造文法と変わらない。カテゴリー文法のカテゴリーは、もっと豊かである。簡単な例をあげよう。(これも、ランベックの初期のスタイルの簡単な例なのだが) "the boy made that mess." という文に出てくる一つ一つの語に、次のようなカテゴリー(「型」と言っていい)を割り当てる。   the --> NP/N   boy --> N/N   made --> (NP\S)/NP   that --> NP/N   mess --> N Nは名詞、NPは名詞句、Sは文 だと思えばいい。 ここでは、"the",

4年前、Bit Coinのマルレク、通信トラブルで失敗する

四年前のちょうど今頃(2014/4/16)、マルレクの特別編として「BITCOINと分散暗号通貨を考える」というセミナーをしていた。多分、日本ではもっとも初期のものだと思う。(もっとも、あのころもマウント・ゴックスの事件でマスコミには、さかんに取り上げられていたのだが) http://kokucheese.com/event/index/158760/ 登壇者もいい人を揃えたと思う。開催の形態も、東京の会場と九州の会場を結ぶという意欲的なものだったのだが、それが裏目に出て、両会場の通信がうまくいかず、セミナーの組み立てとしては、マルレク史上ワーストワンといっていい出来だった。(それぞれの講演は、とても充実していたのだが。) その時おもった。「僕には、ビットコイン向いていないんだ」と。非論理的に思うかもしれないが、この失敗は、何かの「啓示」だと思ったのだ。あれ以来、僕は、ビットコイン周辺に近づいていない。もともと P2P技術は、大好きなのだが。 この前、弟の葬儀の時、集まった甥っ子3人から、別々に、「おじさん、Bit Coin どうなの?」と聞かれた。甥っ子達は、一応、僕がIT関係の仕事を知っている。一人は、暴落したNEMをチャンスだと思って買っていた。 なんだろう。一般の人へのこの浸透力は? すごい関心だ。 四年前のセミナーの資料集は、こちら。 「マルレク特別編:「BITCOINと分散暗号通貨を考える」 資料集」   https://goo.gl/TJnWMF

コンピューター・サイエンスとカテゴリー論

1940年代、「純粋」数学の一分野として「カテゴリー論」が生まれた時、ある数学者はそれを "general abstract nonsense" 「ナンセンスな抽象化の一般化」と呼んだ。 数学は、もともと抽象的で現実離れしたところはあるのだが、そのなかでも馬鹿馬鹿しいくらい抽象化を進めて何の役にも立たないのが「カテゴリー論」だという意味だ。 その後、カテゴリー論の重要性の認識は、ローベールのトポスによる集合論の再構成の仕事や、グロタンディックの予見的な仕事(現在の膨大なStack Theoryの源流だ)を通じて、数学の中では、確固としたものになっていく。 カテゴリー論は、確かに「抽象的」だが、数学では「役に立つ」!  それどころか、カテゴリー論的アプローチは、「ナンセンス」なものではなく、現代数学の最も強力な武器だということが、多くの数学者に受け入れられて行く。 僕の院生時代は、そうした大きな転換の時代だったと思う。今では、カテゴリー論は、数学では普通のツールになったといって良いと思う。ただ、それは、まだ数学の中での話だ。 今また、面白い動きが出ている。それは、数学での応用に閉じない「応用カテゴリー理論」 Applied Category Theoryという新しい科学分野が急速に立ち上がろうとしていることだ。 「応用カテゴリー理論」がどのようなものであるかについては、ジョン・バエズの次のブログが、わかりやすい解説になっている。"What is Applied Category Theory?"  https://goo.gl/TYoW7G この中でも触れられているのだが、コンピュータ・サイエンスは、カテゴリー論との接点は、今までもなかったわけではない。ただ、それだけではないというのは、彼の次のような言葉を見ればわかる。 「私はプログラマではない。この点は弱点だと思っているので申し訳ないのだが、コンピュータ・サイエンスの中でのカテゴリーの扱いについては、かなりのことは知っていると思う。しかし、その知識はプログラミングのハンズオンでの経験からではなく、カテゴリー論の側から学んだものだ。例えば、私はHaskellの話を聴く前からモナドのことは理解していた。私の最初の反応は、「この人たちは、モナ

クラウド上の最新のディープラーニング開発環境を活用しよう!--- 簡単に人工知能アプリを作る為のAmazon SageMakerクラウド・ハンズオン

来たる5月12日、AWSさんの協力を得て、MaruLabo+角川のクラウド・ハンズオンを開催します。 https://lab-kadokawa50.peatix.com/ 本ハンズオンは、個人として、あるいは、企業の中でディープラーニングを新たに学ぼうとしている方に、クラウド上の最新のディープラーニング開発環境を活用すれば、初心者でも簡単に人工知能アプリを作成できることを体験してもらうことを目的にしています。同時に、すでにディープラーニングに取り組んでいる方にとっても、今回紹介する新しい開発環境の利用が、開発効率を大幅にアップすることを知ってもらういい機会になると考えています。 AI技術への関心の広まりの中で、ディープラーニングの開発環境も大きく変化しつつあります。その変化は、誰でも簡単にディープラーニング技術を利用した人工知能アプリを作成できるという「開発の容易さ Ease of Development」の方向に向かっています。去年発表されたAmazonのSageMaker、今年登場したGoogleのTensorFlow Hub, TensorFlow.js は、その代表的な例です。 ディープラーニングを学習しようとして、一年以上前に書かれたテキストのサンプル・コードを打ち込んでいませんか? 新しく学習を始めるのなら、一番新しい開発環境から始めるのが一番いいと、私たちは考えています。なぜなら、そのほうがずっと簡単に人工知能技術を利用したアプリを開発できるからです。本ハンズオンでは、こうした最新の、しかしながら簡単な、新しい開発環境を紹介します。 「開発の容易さ Ease of Development」に向かう開発環境の変化の特徴は次のようなものです。(クラウドでGPUを利用するのは、もはや「常識」です。) 第一に、ディープラーニングの基礎にあるニューラル・ネットワークのモデルを各人がゼロから組み立てるのではなく、すでに存在するモデルを再利用する可能性を、新しい開発環境は提供します。ディープラーニングの開発フレームワークはベンダー毎に複数存在するのですが、その基礎となるニューラル・ネットワークのモデルは、実は、同じものです。画像認識でも、テキストの分類でも、データの表現でも、優れた強力なモデルは、すでに存在していま

満員御礼と5/29「楽しい数学 -- MaruLabo 数理ナイト 第二夜」のお知らせ

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「MaruLabo数理ナイト 第一夜」チケット完売しました。ありがとうございます。 数理ナイト第二夜 「集合論入門」を、5月29日 19:00より、ミスルトさんで開催します。詳細は、後ほど公開します。 -------------------------------------- MaruLabo 数理ナイト 第二夜 – 集合論入門   -------------------------------------- 思考実験1:「無限に数え続けることは可能か考えてみよう」 思考実験2:「数えられないものがあるか考えてみよう」  ● 無限と連続:カントールが考えたこと  ● カントールが答えられなかったこと:「連続体仮説」  ● ラッセルが見つけた集合論の矛盾  ● ツェルメロ=フランケル:集合論の体系の整備  ● 非カントール的集合論の発見  ● 「理論」と「モデル」  ● 数学の基礎を基礎付ける試みの発展     ZFC, Topos Theory, Univalent Theory

「22世紀医療センター」

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この前、人間ドックに入りました。日帰りですけど。人生で3度目です。 病院のいつもは行かない一角を歩いていたら、病院内に面白い施設があることを見つけました。「22世紀医療センター」すごい名前です。だいぶ前、7~8年前からかあったみたいですが、気づかなかったです。 僕だけでなく、僕のFacebookの友達は、ほとんど全員、22世紀までは生きていないだろうと思うのですが、何を研究しているのか、すこし、気になりました。(図は、その概要です。詳しくは、 http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/22center.pdf   ) 8階の講座は、全て企業からの寄付講座なんですね。 面白そうなのは、「佐川急便「ホスピタル・ロジスティクス」講座」と「コカコーラ抗加齢医学講座」かな? 「ホスピタル・ロジスティクス」が病院内のロジスティクスを扱うのか(多分、そうだと思うのですが)、病院自体を患者の元に届ける構想なのかよくわかりませんが、後者だったら面白いと思います。その節は、是非、クロネコやアマゾンも仲間に入れてもらえれば嬉しいのですが。 コーラの愛飲者としては、僕のまわりの「コーラは体に良くない」とうるさく忠告する人たちに、コーラを飲めば長生きできるという研究成果を出してもらえればと思います。 「22世紀医療センター」という名前の割に、個々の講座の名前を見て、僕があまり「わくわく感」を感じなかったのは、なぜでしょうね? それは、100年先の医療技術を、現在の時点で想像することの難しさが、根底にはあるのだと思います。 ただ、ただでさえ難しい100年先の未来予想を、企業の寄付講座をベースに構想しようというのが、あまり良くないのだと思います。今時の大学の未来像は、こんなもんなのでしょうか? 僕は、寄付講座に反対している訳ではありません。寄付をした企業をけなすつもりもありません。また、大学が、背伸びしてでも100年先を展望しようという姿勢をもつことは悪いことではないと思っています。 ただ、それは、個別の企業ではなく、理想と志のある大学だけに可能なことなのかもしれません。

最近の丸山の活動について

量子情報理論のセミナーをやったり、数理哲学のセミナーを始めたり、最近の丸山の活動が、IT技術者の方からは、よくわからないと思われているような気がします。 少し、説明が必要かなと思って、昨日、過去のマルレクの参加者に、次のようなメールを出しました。 マルレクに参加したことない方も、読んでいただけますでしょうか? ----------------------------------------------- マルレク2018関連イベント「MaruLabo数理ナイト」へのお誘い ----------------------------------------------- 丸山です。 4月25日を第一回として、MaruLaboと丸山事務所との共催で、「楽しい数学 -- MaruLabo数理ナイト」という数学をテーマにしたイベントを開催します。ちょっといつもの、IT系のマルレクとは毛色が変わっていますが、それには少し理由があります。 マルレク2018のテーマは「Post Deep Learning 時代の人工知能技術を展望する」です。その問題意識は次のようなものです。 ディープ・ラーニング技術が大きな成果をあげた、人間と動物に共通する「感覚=運動能力」の機械による実現を超えて、人工知能技術が進むには、動物と人間を明確に分かつ人間固有の認知能力 --- 僕は、言語的認識能力と数学的認識能力の二つが重要と考えているのですが --- の機械による実現に向かう必要があります。 こうした時、人工知能研究をさらに推し進める重要な方法があると、僕は考えています。それは、言語的認識能力については言語学と、数学的認識能力については数学との研究の連携を進めることです。 言語学の分野でも数学の分野でも、実は、様々な取り組みが存在しています。こうした取り組みは、人間の認識能力についての深い洞察を可能にするものであると同時に、いずれもが、それをコンピュータ上で実現しようという明確な指向を持っているのが大きな特徴です。こうした動きが、将来的には、人工知能研究と合流していくのは確実だと、僕は考えています。 今回、数学のイベントをはじめたのは、こうした関心に基づいています。言語系の研究会も、いずれ立ち上げようと考えています。 今回の数学イベントでは、できるだ

よく似た写真

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彼女が「とてもよく似た写真見つけた」といって写真送ってきた。 違うだろ。まあ、いいか。はい、似たようなものです。

「楽しい数学 -- MaruLabo数理ナイト 第一夜」申し込みページ公開しました

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会場が、角川さんからミスルトさんに変更になりました。 「4回分オールナイト・チケット 5,000円」を追加しました。 ----------------------------------------- 第一夜:「数理哲学への招待」の開催概要 ----------------------------------------- 日時:2018年4月25日 19:00~21:00 場所:ミスルト セミナールーム      東京都港区北青山2丁目9−5    スタジアムプレイス青山 8F 定員:50名 参加費用:    マルレク個人協賛会員 1,500円    一 般        3,000円    4回分オールナイト・チケット 5,000円 申し込みページ: https://mathnight1.peatix.com/view 主催:MaruLabo+丸山事務所 ---------- 講演概要: ---------- 思考実験1:「正しい三角形はどこにあるか考えてみよう」 思考実験2:「どこまでも広がる水平面を考えてみよう」  ● 古代の数学:ピタゴラスの定理  ● ユークリッド:「幾何学原論」  ● 「幾何学を知らざる者、この門入るべからず」     プラトン:思惟の世界と実在の世界  ● 「平行線は交わらない?」     非ユークリッド幾何学の発見  ● ミンコフスキーとアインシュタイン  ● 曲がった時空とブラックホール ================================== 「楽しい数学 -- MaruLabo数理ナイト」の開催趣旨については、 Facebookへの投稿   https://goo.gl/cgJXdz   を参照ください。 また、本シリーズの今後の予定については、同じく、僕の投稿   https://goo.gl/YohGPz   をご覧ください。  シーズン1「数学の基礎を考える」   4月開催 第一夜 -- 数理哲学への招待   5月開催 第二夜 -- 集合論入門   6月開催 第三夜 -- 計算理論入門   7月開催 第四夜 -- 証明をする機械は可能か? それぞれの回のコンテンツは、すべて独立しています。同時に、このシリーズは、全体として

連続セミナー「楽しい数学 -- 数理ナイト」について

先にお知らせした数学のセミナーですが、「楽しい数学 -- 数理ナイト」として、今月から始めようと思っています。 今回のシリーズは、「シーズン1」として、「数学の基礎について考える」をトピックにしようと思います。数学のジャンルは広いので、別のトピックで次のシーズンもできるといいですね。 セミナーの冒頭、参加者に簡単な「思考実験」をしてもらおうと思います。それには、特別な数学的知識は、必要ありません。 次のような内容を考えています。ご期待ください。 -------------------------------------- 第一夜 -- 数理哲学への招待 -------------------------------------- 思考実験1:「正しい三角形はどこにあるか考えてみよう」 思考実験2:「どこまでも広がる水平面を考えてみよう」 ● 古代の数学:ピタゴラスの定理 ● ユークリッド:「幾何学原論」 ● 「幾何学を知らざる者、この門入るべからず」  プラトン:思惟の世界と実在の世界 ● 「平行線は交わらない?」  非ユークリッド幾何学の発見 ● ミンコフスキーとアインシュタイン ● 曲がった時空とブラックホール -------------------------------------- 第二夜 – 集合論入門 -------------------------------------- 思考実験1:「無限に数え続けることは可能か考えてみよう」 思考実験2:「数えられないものがあるか考えてみよう」 ● 無限と連続:カントールが考えたこと ● カントールが答えられなかったこと:「連続体仮説」 ● ラッセルが見つけた集合論の矛盾 ● ツェルメロ=フランケル:集合論の体系の整備 ● 非カントール的集合論の発見 ● 「理論」と「モデル」 ● 数学の基礎を基礎付ける試みの発展  ZFC, Topos Theory, Univalent Theory -------------------------------------- 第三夜 -- 計算理論入門 -------------------------------------- 思考実験1:小学校で習った加減乗除の計算ルールを、それぞれの演算について、すべて文章で記述してみ

丸山を励ます会

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今日は、MaruLaboの友人たち(  Jun Yamada  さん、  井上 準二 さん、  Yasuko Kawasaki さん、  古川新 さん)が、丸山を励ます会をひらいてくれました。ありがたいです。 誕生日、結婚記念日にも、みなさんから、ネットを通じてたくさんの励ましをいただきました。ありがとうございました。 また、頑張ろうと思います。

神田川名物「はないかだ」

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さくらの流れで、この10年近く思い込んでいたのと反対方向に、川が流れていたことを知る。

数学のセミナー始めます

4月から、角川さんで、「数学は楽しいね!」という、ゆるいコンセプトでセミナーを始めようと思っています。 ディープラーニングや量子コンピュータなど、新しいIT技術をすこし詳しく知ろうとすると、いろんな数学的知識が要求されることがあります。そこで立ち止まってしまう人も多いのではと思っています。 工学系の技術者には、その分野での技術計算のスキルとそれを支える数学的前提知識が必須なのですが、IT技術者に必須の数学的知識は何か?と自問すると、残念ながら、僕にはうまく答えられません。 その理由の一つは、一口に「IT技術者」といっても、その層は非常に広く、かつ、現実のIT技術者が行なっている仕事は、極めて多様だということがあると思います。あえて、共通点を探せば、「プログラミングができる。わかる。」ぐらいでしょうか? それがいいことだとは思いません。ただ、そのことに、もっぱら小言を言いたいわけではありません。というのも、数学の世界は、プログラミング=アルゴリズムの世界に隣接して、そのちょっと先にひろがっているからです。 古代の数学は、土地の面積を測ったり、そこからの収穫の量を記録したり、年貢の額を計算する専門家が必要になったことに起源を持っています。現在、IT技術者の多くが果たしている役割も、同じようなものです。IT技術者は、広い意味では、応用数学の一分野の働き手と考えることができると僕は考えています。 社会が複雑になり、我々の社会的活動が多様になり、また、我々の認識の対象が量子の世界から宇宙まで拡大するにつれ、我々と数学との接点は、ますます広がっていきます。現代の社会的活動の大きな部分をIT技術が占めていますので、ITと数学との接点が広がり深まるのは、ある意味、不可避のことです。 なぜなら、数学的認識能力は、言語能力の上に我々が構築した新しい人間の認識能力だからです。人間が生まれつき誰でも持っている「ことばの力」だけでは到達できない世界に、「数理の力」は、我々を導いてくれます。現代を特徴付ける技術も科学も、この力なしには成り立ちません。 ただ、「ことばの力」は、ある意味、人間という種に固有の生物学的能力として、人間は誰でも持っているのですが、「数理の力」は、人間に生得的に備わっているわけではありません。それは、後天的に学習されなければな

結婚記念日

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結婚してから大分たつのだが、一度も結婚記念日を祝ったことがない。 「もう四十年かな? 金婚式が五十年なら、もうじき銀婚式かな? 銀婚式ぐらいお祝いしようかな」と思って、調べたら、銀婚式は結婚二十五周年だという。(誰が決めたんだ)その上、僕が勝手に銀婚式だと思っていた結婚四十周年は、二年前に、何事もなく通過していた。 でも、今日3月29日が、僕らの結婚記念日だったようだ。 ちょうど大学の卒業式の日だった。自分の結婚式と自分の卒業式がぶつかっていたら、だれでも自分の結婚式の方を選ぶと思う。そういうわけで僕は大学の卒業式には出ていない。(わざとぶつけたのだが。ついでに言えば、入学式にも僕はでていないのだ。) 僕は、結婚して、長いこと学生をやっていたその大学を離れて、別の大学の大学院に進学することに決めていた。ある意味、僕の人生の大きな転換点が、この日だった。もっとも、大学ではろくに勉強していなかったので、この時点では、大学院の試験を受けることを決めただけだったのだが。 友人たちが、僕らの結婚を祝ってくれた。招待状も結婚式も手作りの質素なものだった。 招待状の僕からの友人への結婚メッセージには、次の詩句が引用されていた。 "je suis rendu au sol, avec un devoir à chercher, et la réalité rugueuse à étreindre ! Paysan ! " 「土にかえる。百姓だ! 探し求めるべき義務と、抱きしめるべき荒々しい現実を胸にいだいて。」 どこの世界からかえってきたのか知らないが、結婚や大学院を、「百姓」よばわりするのは、いかがなものだろう? なにより、僕は結婚の「探し求めるべき義務」を果たしていなかった。「抱きしめるべき荒々しい現実」については、彼女の働きに、もっぱら依存していた。(両親にも、随分、たすけてもらったのだが。) この状態は、今思えば恥ずかしくなるほど長く続いた。能天気に僕は、それを当時興味を持っていた Super String Theory をもじって、「超ひも理論」と呼んでいた。悪人である。 そういうわけで、僕は、彼女との結婚に、大いに感謝している。そういえば、彼女にも両親にも、ろくに感謝したことが