丸山の今後の講演について -- 冬は「哲学」しようと思います


11月17日角川さんで開催の、連続ナイトセミナー「人工知能を科学する」の第三回のテーマは、「人工知能と量子コンピュータ」です。講演概要については、最後をご覧ください。https://lab-kadokawa71.peatix.com/

12月14日開催の「人工知能を科学する」の第四回目のテーマは、「人工知能と哲学」です。こちらもご期待ください。

この「人工知能と哲学」では、ペンローズの計算主義批判を取り上げたいと思っています。僕は、ペンローズの大ファンなのですが、彼の「量子脳」の議論には反対なのです。

この「人工知能と哲学」を皮切りに、冬の間、すこし「哲学」的な話もしたいと思っています。

次回のマルレクのテーマは、「意味の形式的理論」です。「意味の意味」については、様々な議論があるのですが、「理論とそのモデル」というモデル論的なアプローチを中心に、意味の形式的な理論について考えたいと思っています。現実的な話題としては、DiffbotやBERTの話題も取り上げようと思います。

次回の「楽しい数学」のテーマは、「数理哲学入門2 -- 「同じ」を考える」です。一年前に亡くなったヴョブドスキーのメモリアルで、彼が根本的に刷新した「型の理論」の話をしようと思います。その理論が、数学の基礎づけに大きな影響を与えたことを、「「同じ」とは何か?」という問いに対する探求として説明できればいいと思っています。

少し違う角度から、また、専門家でなくてもわかることから、我々の「認識」の能力の不思議さについて考えられればいいと思っています。冬の哲学三講座、ご期待ください。

最後に、量子コンピュータ関連の取り組みについてです。

先日のマルレク、量子フーリエ変換にフォーカスしようとしたのですが、テクニカルな議論が多すぎて、あまりうまく伝わらなかったのではと、反省しています。こちらは、「紙と鉛筆で学ぶ量子情報理論 II」でフォローします。

今月の「人工知能と量子コンピュータ」ですが、次のような話をしようと思っています。

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11/17「人工知能と量子コンピュータ」講演概要
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量子コンピュータが、人間の認識の「限界」をどのように拡大するかは、人工知能の未来を考える上で、重要な問題です。

BQP(量子コンピュータで多項式時間で解ける問題のクラス)が、P(古典的コンピュータで多項式時間で解ける問題のクラス)を完全に包含していることの発見と、その応用としてのShorの素因数分解アルゴリズムの発見は、今なお、量子複雑性理論と量子アルゴリズムの金字塔です。

残念なことに、多くの数学者は、複雑性の階層の中のNP完全のクラスは、BQPに含まれないだろうと考えています。

ただ、NP完全の問題に、量子コンピュータが、「近似的」に取り組むことは可能です。講演では、こうした「量子最適化」と呼ばれる問題群(QAOAあるいはVQE)の取り組みを紹介しようと思います。

新しい量子アルゴリズムの発展はめざましいものがあるのですが、講演では、もう一つのトピックとして、これらの取り組みで多く利用されている、QRAM(量子ランダムアクセスメモリー)というアーキテクチャーを紹介します。

QRAMの応用の一つに、量子ディープラーニングがあります。時間があれば、これについても触れたいと思います。

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