密度行列とは何か?
これまで、量子の状態をベクトルで表現してきました。例えば、量子ビットの状態は、状態ベクトルで表せば、|qubit> = a|0>+b|1> と、二つの状態ベクトルの「重ね合わせ」(ベクトルの和です)で表現されました。
それに対して、密度行列は、量子のシステムの状態を行列で表現したものです。では、どの ようにしてベクトルで表される量子の状態を、行列で表すのでしょう?
次のように考えます。ある量子システムで、状態|ψ_i>である確率をp_iとしましょう。この時、確率p_iを成分とする行列を考えます。
|qubit> = a|0>+b|1> の場合なら、|0>である確率p_0は |a|^2で、|1>である確率p_1は |b|^2になりますので、p_0とp_1、すなわち、|a|^2と|b|^2を成分とする行列を考えることにします。
ここでは、ベクトルの外積が行列になることを利用します。それでは、外積で作られる行列のどこにこの成分を割り当てるか考えましょう。うまい方法があります。
外積 |0><0|は、0行0列目の成分だけが1で、残りの成分は全て0の行列です。同様に、外積|1><1|は、1行1列目の成分だけが1で、残りの成分は全て0の行列です。
この時、p_0|0><0| + p_1|1><1|という行列として密度行列を定義します。0行0列目の成分がp_0で、1行1列目の成分がp_1の行列です。
● 状態ベクトルを使った表示
|qubit> = a|0>+b|1>
● 密度行列を使った表示
ρ = p_0|0><0| + p_1|1><1| = |a|^2|0><0| + |b|^2|1><1|
状態ベクトルを使った表示に出てくる a, bは複素数ですが、密度行列を使った表示に出てくる p_0, p_1 は、確率ですので 0と1の間に値を持つ実数です。これは、二つの表示スタイルの大きな違いです。
密度行列を作るのに利用した、確率 p_iと状態|ψ_i>のペア { p_i, |ψ_i> }の集まりを、「pureな状態のアンサンブル」といいます。その意味は、この量子システムで、状態|ψ_i>である確率は、p_iであるという意味です。
この例では、「pureな状態のアンサンブル」 {p_0, |0>}, |p_1, |1>}から、密度行列を構成しました、
密度行列は、ある「pureな状態のアンサンブル」から構成されます。これは、大事な視点です。
続きは、YouTubeで!
https://youtu.be/SI2rtSWfryU?list=PLQIrJ0f9gMcMP-CPVK6wtgY3X7W4c0BSi
スライド:https://drive.google.com/file/d/1ktFu6rGFQXB8wfyFEnCpSH4Rrl0PkE7i/view?usp=sharing
まとめページ:https://www.marulabo.net/docs/rho-talk/
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