行列のマグニチュード
【 行列のマグニチュード 】
今回のセッションでは、行列のマグニチュードがどのように定義されるかを見ていこうと思います。
行列のマグニチュードは、この後のセッションで見てゆく、グラフのマグニチュードや、カテゴリーのマグニチュード、距離空間のマグニチュード等々、さまざまなマグニチュードを具体的に計算する上で、その最も基本的な基礎になります。
【 生物多様性の定義と行列のマグニチュード】
先のセミナーで、生物多様性のレンスターの定義は、「類似度行列」Zのマグニチュードと等しいことを見てきました。
ここでは、「類似度行列」の定義は、振り返りませんが、類似度行列からそのマグニチュードをどう計算するかについては、簡単に説明していました。
「任意の行列 M について、M 上の重み付けとは、Mw がすべての成分が 1 である列ベクトルとなるような列ベクトル w を指す。
M とその転置行列の両方に少なくとも一つの重み付けが存在するならば、量 ∑_i▒〖 𝑤_𝑖 〗は M 上の重み付け w の選択に依存しないことが容易に確認できる。この量は 行列M のマグニチュード |M| と呼ばれる 。」
今回は、この定義をより一般の行列のマグニチュードに拡張することを考えていきます。
【 行列の要素が取りうる値を非負の実数からrig kに拡大する 】
rig (またはsemi ring)とは、負の要素を持たないringのことです。rigは、シャニュエルの議論の時にも登場しました。
rig kは、和について可換なモノイド構造(+, 0)を持ち、積についてはモノイド構造(・, 1)を備えています。また、和と積は、a(b+c)=ab+acという分配律を満たします。
以下の議論では、行列の要素は、このrig kに値を取ることにします。
【 抽象的な有限集合によってインデックス付けされている行列を考える 】
rig k上に定義された行列を考える際、行と列が抽象的な有限集合によってインデックス付けされていると考えると便利です。
有限集合IとJの場合、rig k上のI × J行列は関数I × J → kで定義され、通常の行列演算を実行できます、
たとえば、H × I 行列にI × J行列を掛けて H × J 行列をうることができます。 恒等式行列はクロネッカー 𝛿 です。 I × J行列𝜁には J × I行列の転置行列𝜁^∗があります。
【 Leinsterの行列のマグニチュードの定義】
このセッションでの行列のマグニチュードの定義は、Leinsterの2011年の論文に従ったものです。
The magnitude of metric spaces
定義・補題等のナンバリングは、この論文のものをそのまま残してあります。
具体的な数式の展開は、ショートムービー、あるいは、スライドのpdf をご覧ください。
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blog 「 行列のマグニチュード」
https://maruyama097.blogspot.com/2025/10/blog-post.html
スライド「行列のマグニチュード」のpdf ファイル
https://drive.google.com/file/d/10heqpj6dSI7Z8K2TtN9L8L8-ft5ogYmj/view?usp=sharing
セミナーのまとめページ
https://www.marulabo.net/docs/llm1bradley/
セミナーに向けたショートムービーの再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcMBg47ryEOaF7o6TDZgipNN
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ショートムービー「 行列のマグニチュード」
https://youtu.be/8qNWgNOg6pk?list=PLQIrJ0f9gMcMBg47ryEOaF7o6TDZgipNN
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