現在のコンピュータと量子コンピュータがハイブリッドする未来


7/6 ハンズオン「量子コンピュータで学ぶ量子プログラミング入門」https://lab-kadokawa82.peatix.com/ の演習の目標である「量子テレポーション」について、少し補足しようと思う。

「量子テレポーション」。なんとも奇妙な名前なのだが、それもそのはずで、命名者は、SF映画の「スタートレック」から、この名前を取ったらしい。

「量子テレポーテーション」技術は、「スタートレック」のように、物体そのものを瞬間移動することができるわけではない。それが可能とするのは、情報を移動することだけである。それは、現代のネットワーク技術が情報の移動をおこなっているのと同じである。

少し違うのは、「量子テレポーテーション」が、一つ一つの量子が持つ情報(それをqubitという。qubit = quantum bit 「量子ビット」の略である)を送り出し、受け取ることができることであり、またその為に「エンタングルメント」という量子の性質を利用することである。

重要なことは、量子情報理論の情報通信技術への応用においては、本格的な量子コンピューが登場する以前に、この「量子テレポーテーション」等の「量子通信技術」が、実用化するだろうということである。

では、どこに、この「量子通信」技術は使われるのであろうか?

それは、現在のコンピュータとコンピュータを接続する為にである。

量子コンピュータの時代というと、現代のコンピュータが全て量子コンピュータに置き換わる時代を想像するかもしれないのだが、それは正しくないだろう。現代のコンピュータ技術は、引き続き有用なものとして残り続けるだろう。

「量子コンピュータ」との対比で、現代のコンピュータを「古典コンピュータ」と呼ことがある。古典コンピュータと古典コンピュータとの通信に、まず「量子通信」技術が使われ始めるのである。

現代の通信技術の中核である「光通信」技術と「量子通信技術」は、実は、親和性が高い。また現代の通信技術の重要な課題であるセキュリティについても、「量子通信技術」では「量子暗号」技術と組み合わせると、飛躍的なセキュリティの向上が可能になる。

「量子通信」の導入によって、古典コンピュータと量子コンピュータのハイブリッドの時代が始まると、僕は考えている。

幸いなことに、すでに我々は、実際の量子コンピュータ上で、「量子通信」の基本的な原理の一つである、「量子テレポーテーション」技術を確かめることができるのだ。今回のハンズオンの最後に、「量子テレポーテーション」を実現するプログラムを実装する課題を置いたのは、そういう意味がある。
 
古典コンピュータと量子コンピュータがハイブリッドする未来は、そう遠くない未来だということを





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