Traceと密度行列

Traceというのは、行列の対角成分の和をとったものです。それだけですと、それがどういう意味を持つかは、直観的にはわかりにくいと思います。

一つ、はっきりしていることがあります。Traceをとるという演算は、多数の成分から構成されて独自の構造を持つ行列に、一つの数字を対応させるという演算だということです。それは、複雑なものに単純なものを対応づけるという意味では、二つのベクトルに、一つの数字を対応させる内積を取る操作に、似ているところがあります。

実は、Traceと内積には深い関係があります。

二つのベクトルの外積 |φ><ψ|は、行列を定義するのですが、この行列のTraceは、二つのベクトルの内積に等しいのです。(順序がちょっと変わっていますが)

  tr(|φ><ψ|) = <ψ|φ>

量子の状態をベクトルで表すというスタイルでは、ベクトルの内積が重要な役割を果たしましたが、先のTraceと内積の関係式は、量子の状態を密度行列で表すというスタイルでは、行列のTraceが重要な役割を果たすだろうことを予感させるものです。

残念ながら、今回は、その話ではありません。セミナー全体を通じて Traceの果たす役割は明確になっていきますので、ご期待ください。

今回は、そのほんの入り口です。

続きは、YouTubeで!

https://youtu.be/77F12wBBIjo?list=PLQIrJ0f9gMcMP-CPVK6wtgY3X7W4c0BSi

スライド:https://drive.google.com/file/d/1J_wOe_Ukw2S41x9d25Ur_Bl17nGNB5Oo/view?usp=sharing

まとめページ:https://www.marulabo.net/docs/rho-talk/

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