計算しないとわからないけど
【 計算しないとわからないけど 】
今回のセッションは、古典論的確率から量子論的確率への移行の具体的な手順の説明です。(ここでは、確率分布Xと確率分布Yという二つの分布を結合するものとしています)
まずは、普通の(古典論の)結合確率分布を記した表を用意し、このi行j列の表をi行j列の行列にします。
次のステップが、古典論から量子論への大きな飛躍になります。
でもやることは簡単です。先に作った行列の各要素の確率pを、√pに書き換えます。そうして書き換えた行列をMと呼ぶことにします。このMを元の結合確率分布の表や行列に代わる、新しい結合確率分布の表現と考えることにしましょう。Mの各エントリーは、直接、確率を表していません。その値を二乗したものが確率になります。
これで大飛躍は完了です。大したことなかったですね。
今度は、この結合確率分布もどきMから、周辺確率分布を計算する方法を説明します。
だって、以前は、縦横に小計を求めれば、簡単に周辺確率が求まったのですが、今度の行列の要素は確率ではなく、その平方をとった数字ですので、和をとっても意味ありませんから。
こうします。
● 𝑀と共役なM^†を作ります。
● 𝑀^†𝑀を計算すると、その対角成分に、Xについての周辺確率が現れます。
● 𝑀𝑀^†を計算すると、その対角成分に、Yについての周辺確率が現れる。
本当です。
これ以降、この 𝑀^†𝑀と𝑀𝑀^†を新しい周辺確率の表現だと考えることにします。
問題は、この新しい周辺確率がどのような力を持つかということです。
というのも、このセミナーのはじめから、結合確率分布を周辺化してえられた周辺確率分布を、「元の情報を忘れている」と難癖をつけてボケ老人扱いしてきたからです。もちろん、このクレームは古典論の世界では、理不尽な要求です。
ただ、この新しい周辺確率は、立派な記憶を持っているのです。強制記憶消去の周辺化手術を受けても、彼の記憶は蘇ります。
もっとも、表面を見ただけでは、この人の本当の能力は分かりません。彼が過去の記憶を持っているのを確かめるには、ちょっと面倒な計算をしなければなりません。
それは、この新しい周辺確率 𝑀^†𝑀と𝑀𝑀^†の固有ベクトルを計算することです。そうすれば、この固有ベクトルが、新しい周辺確率が記憶の担い手であることを確認できます。
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https://www.marulabo.net/docs/density2/
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