Partial Trace
【 Partial Trace は周辺確率を導く 】
二つのベクトル空間 V, W のテンソル積で作られるV⨂W から、その一方( V あるいはW )への写像pを考えます。v, wをV, Wの要素として、 p(v, w) = v という( wを無視する)写像を考えればいいですね。
残念ながら、このpは線型写像にはなりません。
pが線形なら p(v, w1+w2) = p(v, w1) + p(v, w2) = 2v になるのですが、p(v, w1+w2) = v で2v にはなりません。
ただ、V⨂W からV, Wへの写像ではなく、End( V⨂W )からEnd(V), End(W) への写像を考えると線型写像になることがわかります。End というのはEndmorphism のことで、自分自身への写像のことです。f がEnd(V)に属するということは、f は、VからVへの写像だということです。
End( V⨂W )は End(V)⨂End(W)と同型です。f がEnd(V)に属し、g がEnd(W)に属する時、
tr_W( f⨂g ) = f tr(g) , tr_V( f⨂g ) = tr(f) g
と定義します。このEnd( V⨂W )からEnd(V), End(W) への線型写像 tr_W, tr_Vが、Partial traceです。
tr_W では、f⨂g のf は残っているのですが、gはtrace(=スカラー)になります。
tr_V では、f⨂g のg は残っているのですが、fはtrace(=スカラー)になります。
密度行列ρに対して、partial trace をとると、その結果も密度行列になることが分かります。こうして得られた密度行列を「還元された密度行列」といいます。
重要なことは、この「還元された密度行列」が、古典的確率論での「周辺確率」に相当するものになるということです。
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https://www.marulabo.net/docs/density2/
https://density2.peatix.com/view
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