「エントロピーと創発」 セミナーの構成プラン
【 「エントロピーと創発」セミナーの構成プラン 】
今回のセミナーは、「エントロピーと創発」がテーマです。
基本的な問題意識は、最近の大規模言語モデルの高い言語能力に触発されたもので、我々人間が作った大規模で複雑なシステムの上でも、新しい構造が「創発」されることがあるのかというものです。
それは、「人工知能」が、どのように人間と同様の知能を獲得することができるのかと言う問題意識と繋がっています。
【 今回のセミナーの目的 】
残念ながら、僕には、こうした問題にすぐに答えることはできません。
今月のセミナーの主要な目的は、「創発」という現象を考える上で基礎になるとおもわれる、次の二つの研究を紹介することです。
● Prigogineの非平衡熱力学と散逸構造論
● Jaynesの最大エントロピー原理とベイズ推論
【 Prigogineの非平衡熱力学と散逸構造論】
Prigogine以前の熱力学は、エネルギーも物質も外部と交換することのない隔離され孤立した系の、最終的には熱的平衡状態に達する系を対象にしていました。
Prigogineは、こうした従来の熱力学を、非平衡状態を取り込んだ熱力学に拡張します。現代の熱力学は、このPrigogineの非平衡熱力学に基礎を置いています。
エントロピーとエントロピーを生み出す不可逆的なプロセスは、一般的には、無秩序を生み出すと考えられていました。
驚くべきことに、平衡状態から遠く離れた非平衡状態では、不可逆なプロセスは、内部のエントロピーを最小の状態に保つ「自己組織系」を生み出すことを彼は見出します。彼はこうした構造を「散逸構造」と呼びます。
重要なことは、いわば、エントロピーの力で「創発」された「秩序」をもつ構造は、自然のいたる所に存在するということです。
【 Jaynesの最大エントロピー原理とベイズ推論 】
Jaynesは、Gibbsらの統計力学でのエントロピー概念とShannonの情報理論でのエントロピー概念が基本的には同一であることを明確に示します。
彼は、この二つのエントロピー概念の対応のもとで、統計力学的に最大のエントロピーを与える確率分布が、情報理論的に最小の情報を与える確率分布であることから、それがベイズ推論での事前確率を与えるという解釈を提案します。
Jaynesが提唱した、こうした解釈の強い形は、原理的に統計学的エントロピーが論理的な推論の形式を導くというもので、彼はそれを「最大エントロピー原理」と呼びます。
彼は、事前確率と事後確率の間の「相対エントロピー」が、ベイズ推論の構造を反映しているとして、その重要性を強調します。
「相対エントロピー」は、現在のDeep Learning 技術の中で大きな役割を果たしています。
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ショートムービー「 「エントロピーと創発」セミナーの構成プラン 」を公開しました。
https://youtu.be/Kc2Pp0o4yLs?list=PLQIrJ0f9gMcM1CSCpFfUuf25kD7b1JMM2
資料 pdf「「エントロピーと創発」セミナーの構成プラン 」
https://www.marulabo.net/docs/emergence/
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