不思議な数
【 不思議な数 −− e の (π√163)乗 】
今回も、数の一致の話です。ただ、これまでの例とは違って、厳密な一致ではなく計算から非常に近いことが予想されるという近似的な一致です。
ラマヌジャンは、数ページにわたる複雑な計算をして、どう見ても整数には見えない e の (π√163)乗という数が、整数262537412640768744 に極めて近いことを確認しました。
この整数に見えないけど整数かもしれない数は、「ラマルジャンの定数」と呼ばれることもあります。もっともこの呼び方は、人気の数学コラム「数学ゲーム」で1975年にマーティン・ガードナーがつけたものですが、この数を紹介した回は、エープリル・フールに当たっていて、冗談・フェークが満載です。彼のコラムにあるように、ラマルジャンがこの「定数」を整数だと推論した事実はありません。
【 他にもある、整数に「近い」数 】
この一致(正確にいうと近似がなりたつこと)は、偶然でしょうか、それとも他の理由があるのでしょうか?
実は、整数に「近い」とされる数は、他にもあります。先の例を含めてまとめてみましょう。
e の (π√163)乗 : 262537412640768744
e の (π√67)乗 : 147197952744
e の (π√43)乗 : 884736744
これらの数には共通点があります。それは、末尾の3桁がいずれも 744 になっていることです!
この一致は、偶然でしょうか、それとも他の理由があるのでしょうか?
【 744 は特別な数 】
コラムの後半では、今回取り上げた「ラマヌジャンの定数」と前々回紹介した「Moonshine予想」との世界には深い結びつきがあることを紹介したいと思います。
簡単にいうと、Moonshine予想」の世界にも、特別な数として 744 という数字が現れるのです。
二つの世界を、744 という数字が結びつけているというのは言い過ぎですが、二つの世界には、744という数字を含む共通の数学的構造が横たわっています。
【 163 も特別な数 】
「ラマヌジャンの定数」に現れる 163 という数字も、実は、特別な数です。
そのことを説明するためには、ラマルジャンと同じように、数字と数式に対して特別に鋭敏な洞察力を持っていたオイラーの発見にさかのぼる必要があります。
といっても難しい話ではありません。彼は、次の2次式が 1と40の間の全ての整数xに対して素数を出力ことを見つけます。
y = x^2 − x + 41
この式と 163 の関係については、スライドをご覧ください。
【 なぜ、e の (π√163)乗は整数に近い値を取るのか? 】
このコラムの最後には、なぜ、e の (π√163)乗は整数に近い値を取るのか? を説明しています。
いくつかの前提を、天下り的に利用しているのが難点ですが、そのことを除けば(!?)、
式の導出は初等的なものです。是非、お試しください。
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ショートムービー「 不思議な数」
https://youtu.be/djykQGgGttk?list=PLQIrJ0f9gMcMSINV-9gvh91Qj9pi3vgUv
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