回路を図形としてとらえる
【「回路」を図形としてとらえる 】
この節では、量子コンピュータを構成する「量子回路」も図形 = Diagramとしてとらえられるという話をします。
基本的には、「構成可能性 = Composability」の考えに基づいて、次のように考えます。
複雑な量子回路は、単純な量子回路から構成される
量子回路の場合、もっとも単純な量子回路を「量子ゲート」といいます。ですので、
複雑な量子回路は、単純な量子ゲートから構成される
ということになります。
今回は、量子回路を扱う前に、もう少し一般的に「回路 = circuit」を表現する図式 = Diagram について考えてみましょう。
複雑な回路のDiagramは、単純な回路のDiagramから構成される
ここで、Diagramの構成法としては、先に見た「並列合成」と「直列合成」の二つをとります。
ただ、この二つだけだと、実際の回路を構成するのには、ちょっと不便なことがあります。例えば、ある回路の出力を離れた回路の入力につなぎたい時、その線がほかの線とクロスすることが起こりえます。
そこで、回路上で隣りあう線Aと線Bがクロスする合成を認めることにします。これをA, Bの「Swap」と呼びます。Swapを繰り返し行えば(Swapの「直列合成」)どんな線同士のクロスも表現できます。(どんな順列も、元の並びからの互換の繰り返しで到達できます)
こうして、次のように「回路」を定義します。
複雑な回路のDiagramは、単純な回路の
Diagramから「並列合成」と「直列合成」
と「Swap」から構成される
【「回路」の特徴 】
こうした定義で合成された「回路」は、ひとつの特徴を持っています。それは、内部に、「ループ」を含まないことです。
この節で対象とする「量子回路」もループを含みません。これから「量子回路」をDiagramとして見ていくのですが、その「回路」の定義として、先の定義は役に立ちます。
(一般の電子回路では、フィードバックでループを含むものは珍しくありません。先の「回路」の定義は、一般の電子回路には当てはまらないことに注意してください。)
ショートムービー「Diagramと回路」を公開しました。
https://youtu.be/Ht-A2CATtdE?list=PLQIrJ0f9gMcPSp_fL7-LZW0yOwYXyvXtb
スライドのpdfは、次からアクセスできます。
https://drive.google.com/file/d/1cEfk5ss8HsP0DpO6kLAKU4qYfHbtoVii/view?usp=sharing
このシリーズのまとめページは、こちらです。ご利用ください。
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