「熊と狼」

「熊と狼」は次のような絵本である。そのメッセージは、シンプルで、わかりやすい。
 ある冬の夜、深い森の中で、熊と狼が出会う。
 二人は、雪の中を一緒に、歩き始める。
 寒さで凍った湖まで一緒に歩き、
 一緒に、降る雪を眺めて、そして別れる。
 次の年の春、二人は、花が咲き鳥がなく森で再び出会う。
「熊と狼は、お互い、また出会うことになった。二人は前とちょっと違っていて、少し姿は変わっていたが、すぐに一緒に並んで歩き始めた。彼らが共有する生き生きとした世界の中に。」
この絵本は、「彼らが共有する生き生きとした世界」を描いた絵本である。それは、ジョン・バエズのいう。「美しい世界」と同じものである。
-----------
"Bear and Wolf: A Tender Illustrated Fable of Walking Side by Side in Otherness" https://goo.gl/kNz97f
マリア・パポーヴァは、絵本「熊と狼」を、2018年の一番よかった絵本の一つにあげている。
次は、彼女のこの絵本へのコメントである。
「他者性は、常に、我々が我々自身を定義する方法であった。我々が似ていないものとの対比と区別によって、我々は、我々が何に似ているかを見つけ出す。私が以前に書いたように、我々は、我々から我々がそうでないもの全てを取り出した後に残るものである。」
「しかし、他者性は結びつきの最も美しい土台にもなりうる。表面の非類似性を削り下ろすことを通じて、我々は、同類であることの深い源泉を見出すことができる。そしてそれは、今度は、我々と他者についての、我々の理解を拡大するのである。」
「メリー・オリバーは、何が彼女の人生を救ったかについてふれた印象的な文で次のように述べていた。
 「世界の他者性は、混乱に対する解毒剤である。 ... この他者性のただ中に立つことで、人は、もっとも傷ついた心に、尊厳を取り戻すことができる」
写真の説明はありません。

コメント

このブログの人気の投稿

マルレク・ネット「エントロピーと情報理論」公開しました。

初めにことばありき

人間は、善と悪との重ね合わせというモデルの失敗について