長い時間の後に

【 長い時間の後に 】

言語学に革命をもたらした Chomskyの”Syntactic Structures”が出るのは1957年だ。翌年の1958年、Lambekは、文法の計算ルールは、たった二つの式で表されるという発見をする。

ただ、Lambekの理論は、言語学の学会では受け入れられなかった。1961年のアメリカ数学会でのLambekの発表は、言語学者からの敵意に取り囲まれたらしい。

「ただ、ノーム・チョムスキーとロバート・リースの二人だけが、私に研究を続けるようにと励ましてくれた。それでも私は、チョムスキーの生成-変形文法という新しい波が他のすべてを一掃するのを目の当たりにし( Chomsky’s generative-transformational grammar sweeping everything else aside )、他のことに目を向けるようになった。」

彼は、言語学の世界は、Chomskyに任せることにして、数学の世界に進む。

1997年、Chomskyは “Minimalist Program” を発表して、それまでの理論を一新する。

1998年、LambekはCategirial Grammarの新しい定式化 Pregroup 文法を発表する。2008年には、Lambekは、それらをまとめた”From Word to Sentence” を発行し、言語学の世界に戻ってくる。

Lambekは言う。

「現在の言語理論に詳しい読者であれば、このモノグラフの根底にある多くの考え方が、過去半世紀にチョムスキーとその学派によって得られた深い洞察に影響を受けていることにお気づきだろう。」

「私はミニマリストのプログラムを完全に理解したとは言えないが、技術的な詳細はともかく、精神的にはpregroup文法はそのようなプログラムを実行する試みと見なすことができると考えている。」

40年以上の時を隔てて、両者は再会することになる。

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「 ChomskyとLambek 」 を公開しました。
https://youtu.be/49ZgR7F-4P4?list=PLQIrJ0f9gMcN2nXtvKCK4ApBaVglV8Drx

資料pdf
https://drive.google.com/file/d/1RsK_P4iy5wllAQuCbghoZyyJdcpZSmYs/view?usp=sharing

blog:「長い時間の後に」
https://maruyama097.blogspot.com/2022/12/blog-post_08.html

まとめページ「ことばと意味の「構成性」について 」

参考資料
Noam Chomsky 
Minimalist Program
https://www.amazon.com/Minimalist-Program-Current-Studies-Linguistics/dp/0262531283/

Joachim Lambek
From Word to Sentence




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