数学的説明を少しスキップしました

【 数学的説明を少しスキップしました 】

これまでやろうとしていたことは、語から構成される文の文法性と語の意味から構成される文の意味を関連づけるために、この二つの「構成性」を結びつけるFunctorを利用しようということでした。

こうしたアプローチをFunctorial  Semanticsというのですが、この理論の創始者であるローヴェールは、興味深いことを言っています。

「二つのものを概念的に関連づけるためには、それらが共に共通のカテゴリーに属している必要がある。すなわち、数学的に言えば、両者が当初は異なるカテゴリーに属すると考えられていたのであれば、まず第一に、両者をFunctor的に、共通の第三のカテゴリーに移動させる必要がある。」

「しかし、もし両者を関連づけるこの試みが成功したならば、その時には、 こうした関連付けすべての最も明快な説明には、両者自身がもともと、この第三のカテゴリーの「市民」であったことを示すことを含まれているだろう。」

今回の例でしたら、文を構成する文法のカテゴリー PregX と意味をベクトルとして分散表現するカテゴリーFVectの、二つのカテゴリーが登場します。この二つのカテゴリーは、異なるものです。

ローヴェールのFunctorial Semantics のフレームを利用するためには、この二つのカテゴリーが、ともに共通の第三のカテゴリーに属することを言わなければなりません。

前回のセッションでは、「次回」にすなわち「今回」にそのことを説明すると言っていたのですが、残念ながら、今回のセッションでは、短い時間の中で、そのきちんとした説明をすることができませんでした。

「第三のカテゴリー」は何かの答えはわかっています。PregXもFVectも、ともに、monoidal categoryのcompact closed categoryに属します。ローヴェールの言い方を借りると、文法のカテゴリー PregXも意味を表現するカテゴリー FVectも、共に、compact closedなカテゴリーの「市民」なのです。

monoidal カテゴリーのグラフィカルな表現であるString Diagramについては、以前のセミナー「String Diagram を学ぶ -- カテゴリー論入門 (1)」で紹介したことがあります。
https://www.marulabo.net/docs/category01/

このセミナーの公開動画は
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcMaLQW9zspppyP1RECc4Hqv
このセミナーに向けたショートムービーは、
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcPSp_fL7-LZW0yOwYXyvXtbた
からアクセスできますので、ご利用ください。

ただ、そこでは monoidal カテゴリーの例がいろいろ出ているのですが(量子コンピュータの量子ゲート回路のカテゴリーも、monoidal カテゴリーの「市民」です)、monoidal カテゴリーそのものの数学的定義については、触れてはいません。

いつか、あらためて「Monoidal CategoryとString Diagram」のセミナーを開きたいと思っています。

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「 DisCoCat入門 2 」 を公開しました。
https://youtu.be/srTYzAL7Oks?list=PLQIrJ0f9gMcN2nXtvKCK4ApBaVglV8Drx

資料pdf
https://drive.google.com/file/d/1T8XLCwJrg9fVDuKubSXZVtfXbfVxt1fb/view?usp=sharing

blog:「数学的説明を少しスキップしました」
https://maruyama097.blogspot.com/2022/12/blog-post_18.html

まとめページ「ことばと意味の「構成性」について 」

セミナーに向けたショートムービー再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQIrJ0f9gMcN2nXtvKCK4ApBaVglV8Drx

セミナー申し込みはこちらからお願いします
https://discocat.peatix.com/

参考資料
Tai-Danae Bradley
What is applied category theory

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