ランベックのカテゴリー文法
【 ランベックのカテゴリー文法 】
今回のセッションは、ランベックのカテゴリー文法の紹介です。
最初にお断りした方がいいと思うのですが、カテゴリー文法の「カテゴリー」は、数学のカテゴリー論の「カテゴリー」とは、直接の関係はありません。
カテゴリー文法の「カテゴリー」は、従来の文法の「品詞(Part of Speech)」概念の拡大です。その拡大された「品詞」をカテゴリーと呼んでいます。
このカテゴリーは、語の連接によって引き起こされる計算上の「型」を持ちます。
カテゴリー文法の型は、文を表す型 s と名詞を表す型 n の二つの基本的な型から、x/y とx\yという二つの演算でリカーシブに定義されます。
型の導出ルールは、基本的には、次の二つです。
(x/y)y -> x
y(y\x) -> x
この二つのルールから、英文法の大きな部分をカバーできると言うのは、驚くべきことです。
ある文が文法的に正しい文であることの証明は、隣り合う語のカテゴリーの型の計算から、最終的に文のカテゴリー s を導出することができるかと言う問題に還元されます。
セッションのビデオとスライドに、いくつかの例を上げておきましたので、ぜひ、そちらを確認ください。
今回のセミナーでは、ことばの文法性と言う構成性を意味の構成性を結びつけようと思っているのですが、文法としてはランベックの文法を使います。ランベックの文法とローベールのFunctorial Semantics を組み合わせるのが、今回のセミナーのアプローチです。
ただ、文法と意味を結びつける方法は、他にもあります。
ランベックのカテゴリー文法は、語に型を割り当てるのですが、それは「型の理論」と深い結び付きを持っています。
「型の理論」としてのランベックの文法は、「型の理論」の Curry-Howard対応を用いて、文の型に、意味を付与することが可能です。これはこれで、文の意味について、とてもエレガントで強力なアプローチを提供します。
残念ながら、こうしたアプローチの紹介は、今回は、割愛しました。
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