11/30マルレク「量子コンピュータとは何か?」
11/30マルレク「量子コンピュータとは何か?」の準備に集中している。
前回のマルレクで、「今回取り上げる「エンタングルメントのエントロピー」とかの話題と比べると、「量子コンピュータ」は、難しくない」というような話をしたのだが、あの時は、直感的に感じていることを話しただけだったのだが。
実際に、講演の準備を始めて見て、「量子コンピュータ」の初等的な解説は、ちゃんとできるのではと思い始めている。
ポイントは、量子ゲート型の量子コンピュータで一番大事なところは、(まだ、物理的には実装されていないという意味で、あるいは、僕らの多くの目の前には、まだ、存在していないという意味で)バーチャルな「量子ゲート」を組み合わせたアルゴリズムの理解にあるということ。
それは、物理学の一分野ではないし、アルゴリズムを理解するのに、物理学の深い理解を必要とするわけではない。必要なのは、量子力学の最も基本的な原理の理解と、アルゴリズムを追いかける「根性」だけである。
量子力学の基礎の部分は、確かに直感と外れたところもあるのだが、半日程度、紙と鉛筆で演習すれば、基本的な考え方やノテーションは、理解できると思う。
あとは、基本的な量子ゲートの働きと、計算のやり方を理解し、その組み合わせで、アルゴリズムを作っていけばいい。代表的なShorのアルゴリズムまで、こちらも、半日の演習ぐらいでできるかと思う。
いくつか、参考文献を紹介したい。
前者、量子力学の基礎については、「理論的に最小限のこと」とタイトルにうたっている次の本がわかりやすい。さすが、Susskind だ。ただ、量子コンピュータを理解するのに、この本の「最小限のこと」が全て必要なわけではないのだ。
Susskind & Friedman "Quantum Mechanics: The Theoretical Minimum" Basic Books. Kindle
後者、量子ゲートを用いた量子アルゴリズムについては、UC Berkley のVazirianiが edXで公開していた次のコースが、「画期的」に簡単で分かりやすいアプローチを取っている。
"Quantum Mechanics and Quantum Computation :CS191x"
(現在、edXでは見れなくなっているのだが、Youtube版 のまとめサイトがある。https://goo.gl/4RhvEq )
もっと本格的に勉強したい人は、次の本が、教科書としてはいいと思う。
Nielsen, Michael A.. Quantum Computation and Quantum Information" Cambridge University Press.
各節におかれた "History and further reading" が、とても参考になる。
Nielsenの本は、大部で網羅的なのだが、チト高い。こんなのも、ネットで無料で手に入る。
Michael Loceff "A Course in Quantum Computing" https://goo.gl/CkyAz4
驚いたのは、この本、Community College向けと銘打っていること。講義用のビデオも公開されている。アメリカすごいな。マルレクも頑張らないと。
(もっとも、僕が、絶賛推薦中のVazirianiのビデオは、2013年ごろの公開だが、まだ、数百人しか視聴していないようだ)
マルレクは、2時間だし、トピックスとしては、アニーリング型の量子コンピュータも取り上げる予定なので、「概説」にしかならない。
是非、「紙と鉛筆」を使った演習を、二回(量子力学の基礎と量子アルゴリズム)はやりたいのだが。
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