なぜ、入門コースで「量子エンタングルメント」を取り上げるのか?

3/23ハンズオン、3/25マルレクは、いずれも量子情報理論の「入門コース」なのですがどちらのコースでも、「量子エンタングルメント」の話題を取り上げます。
量子論の周辺には「学ぶべきこと」がたくさんあります。その中でも、僕が、入門コースでも、「エンタングルメント」の紹介は外せないと考えているのには、いくつかの理由があります。
第一に、二つの量子が「もつれあった」状態は、とても不思議なものですが、現代の量子論では、それは量子のもっとも基本的な性質の一つと考えられています。
「エンタングルメント」を発見したのはアインシュタインです。物理学者のサスキンドは、これを「アインシュタインの最後の偉大な発見」と呼んでいます。(この点では、いくつか「因縁話」があるのですが、それについては別ポストで。)
第二に、量子論の歴史は古いのですが、「エンタングルメント」への注目が本格化したのは、21世紀になってからのことです。それは、新しい量子情報理論の重要な一部になっています。その点では、「エンタングルメント」を扱わない古い量子論との対比は明確です。学ぶなら、新しい理論を学んだ方がいいのです。
第三に、「エンタングルメント」は実践的にも重要な意味を持っています。量子情報理論の応用としては、「量子コンピュータ」のことを考える人が多いと思いますが、それ以外にも、「量子通信」や「量子暗号」といった重要な応用分野があります。おそらく「量子コンピュータ」より、こちらの分野が先に立ち上がりそうです。こうした分野では、「エンタングルメント」は、本質的で重要な役割を果たします。
3/25のマルレクで紹介する予定の、「超能力者の不思議なゲーム」の「必勝法」は、エンタングルメントを使ったものです。
3/23のハンズオンの最終課題は、量子通信の基本的なプロトコルである「量子テレポーテーション」の回路をプログラミングすることです。
ご期待ください。
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3月25日マルレク
「量子コンピュータをやさしく理解するための三つの方法」
告知ページはこちら。https://easyq.peatix.com/
予告編のビデオはこちらです。https://goo.gl/AuPbwh
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3月23日 ハンズオン
「量子コンピュータで学ぶ量子プログラミング」
告知ページはこちら。https://peatix.com/event/609555/
予告編のビデオはこちらです。https://goo.gl/wfSHc3
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